まだ内燃エンジン版がX3の販売の大多数
最近のBMWといえば、バッテリーEVによる新ラインナップ、ノイエクラッセが話題だ。iX3の後継モデル、ビジョン・ノイエクラッセXも発表されている。かといって、化石燃料を燃やして走るX3が、2025年にカタログから消えるわけではない。
【画像】屋台骨がモデルチェンジ間際! 次期「BMW X3」試作車 競合クラスのSUVと比較 現行X3も 全189枚
むしろ販売割合の大多数を、未だに内燃エンジン版が占めている。2024年末に、この中型SUVは4代目へバトンタッチする予定だ。
次期X3が基礎骨格とするのは、3代目と同じCLARプラットフォーム。完全な新世代というわけではない。それでも、開発を率いるマーティン・デリッツ氏は、大幅なアップデートを強調する。
「シャシーを含む多くを再設計し、より幅の広い運転特性の獲得と乗り心地の向上を目指しました。電動アーキテクチャも新しくなります。高度な運転支援システムも提供できる予定です」
今回試乗した4代目X3のボディは、しっかり保護フィルムで偽装されていた。しかし、見た目は話題のノイエクラッセXと異なることは明らかだ。
キドニーグリルはワイドになり、ボンネットの位置は高くなり、ホイールアーチは強調され、ルーフはなだらかに弧を描く。つまり電気モーター版のiX3と、内燃エンジン版のX3は、しっかり差別化されることになる。
全長は4755mm、全幅は1920mmとされ、現行型から42mmと23mm大きくなる。他方、全高は1676mmから1660mmへ低くなる。トレッドは拡幅されるが、ホイールベースは2865mmで変わらない。
車内の広さは殆ど変わりなし M50 xドライブも
車内も偽装されていたが、メーター用とインフォテインメント用のモニターパネルがダッシュボード上に載るのは間違いない。iドライブ・システムはアンドロイド・ベースで、ロータリー・コントローラーがセンターコンソール上に残されている。
ステアリングホイールは、最新のBMW 5シリーズと同じアイテムだが、スイッチ類は省略される。センターコンソールは一新され、シフトセレクターはトグル状。スマートフォンの無線充電パッドに、カップホルダー、USBポートが用意される。
内装は高級感を増したそうだが、目隠しが掛けられ、素材は確かめられなかった。運転姿勢は、このクラスのSUVとしてはスポーティ。フロントシートは再設計され、調整域が広い。ボンネットの位置が高く、リアガラスは狭め。視界は現行より悪いようだ。
車内の広さは、殆ど変わりない。ファミリーSUVのユーザーが、必要とする実用性は確保されている。荷室容量は20Lプラスの570L。リアシートは40:20:40で折り畳め、1700Lへ荷室を拡大できる。
英国仕様は、4気筒ガソリンのxドライブ20、4気筒ディーゼルのxドライブ20d、プラグイン・ハイブリッドのxドライブ30e、6気筒ガソリンのM50 xドライブという4種類。共通して8速ATが組まれ、プラグイン以外でもマイルド・ハイブリッドを採用する。
今回用意されていたのは、xドライブ30eとM50 xドライブ。フランスの一般道も走ることができた。
プラグインHVは大幅に能力向上
xドライブ30eは、改良を受けた2.0L 4気筒ターボに駆動用モーターが組まれ、駆動用バッテリーは18.9kWhから増量される。ガソリンを燃やさず走れる距離は59km伸び、システム総合での最高出力も強化される模様。
パワートレインは、発進時からとても静かで滑らか。粘り強く、市街地でも郊外でも上質な走りに浸れる。駆動用モーターは力強く、アクセルペダルを踏み込むと鋭く速度を高めていく。
スポーティなM50 xドライブに載るエンジンは、現行のX3 M40i xドライブの改良版。B58型と呼ばれる3.0L直6ターボの新仕様で、最高出力は400馬力以上が想定される。
動力性能は、xドライブ30eより間違いなく強力。特有の個性もあり、0-100km/h加速は4.8秒を下回るとか。X3 Mコンペティションが更新されるまでの間、4代目X3の頂点に立つだけの頼もしさがあり、電子制御のMデフも標準装備とのこと。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。スチールスプリングが支える。トレッドを広げ、アンチロールバーやリアアクスルの固定ポイントが強化されたという。
通常のタンパーが標準だが、オプションでアダプティブダンパーも組める。M50 xドライブの場合、ストラットタワーバーでフロントアクスルの剛性を高め、キャンバー角も寝かされる。
パワーステアリングには、新しくベルト駆動のシステムを採用。ホイールは、18インチから21インチまで選べるそうだ。
乗り心地と姿勢制御を向上 エンジンが重要な役割
これらの改良により、ステアリングフィールは改善。正確な反応と、一定の重みづけを得ている。また姿勢制御を引き締め、旋回時のボディロールを抑えつつ、乗り心地も同時に良くなっていることを確認した。
特に、アダプティブダンパーの制御は優秀。衝撃を巧みに吸収していた。運転体験は、従来よりさらに洗練性を増した印象。M50 xドライブには専用仕様のスポーツ・サスペンションが組まれ、走りの魅力を高めていると感じた。
今回試乗したのは、あくまでも試作車。かなりの距離のテストにかけられ、望ましい状態とはいえなかったはず。次期X3の実際を確かめるには、2024年後半の量産仕様を待つしかない。
BMW X5とシステムを共有するという、運転支援システムにも興味は湧く。無線アップデートに対応し、高速化されたインフォテインメント・システムと相乗することで、一層モダンな体験が提供されることだろう。
確かに、BMWは電動化への未来を着実に進んでいる。しかし、バイエルンのエンジンメーカーらしく、もうしばらくは直列4気筒と6気筒ユニットが重要な役割を担うことになりそうだ。
BMW X3 M50 xドライブ(プロトタイプ)のスペック
英国価格:6万8000ポンド(約1306万円/予想)
全長:4755mm
全幅:1920mm
全高:1660mm
最高速度:249km/h(予想)
0-100km/h加速:4.6秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1905kg
パワートレイン:直列6気筒2998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:401ps(予想)
最大トルク:50.9kg-m(予想)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
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