ル・マン24時間レースをまさに翌日に控えた2023年6月9日、フランス現地のサルト・サーキットにトヨタの豊田章男会長が記者会見に登場。ル・マンの水素カテゴリーに正式に参戦表明した。同時に参戦マシンのプロトタイプも初公開されたのでレポートしよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部
おお……ついにトヨタが水素でル・マン参戦を正式表明!! GRの参戦マシンプロトも初公開!!
■豊田章男会長がル・マン会場のプレスカンファレンスに登場!
ルマン24時間レースの行われるサルト・サーキットで開催されたACO(フランス西部自動車クラブ)のプレスカンファレンスに会長の豊田章男氏が出席した
同日、サルト・サーキットで開催されたACO(フランス西部自動車クラブ)のプレスカンファレンスに会長の豊田章男氏が参加。席上、ル・マン24時間レース100周年の祝辞と、レースを通じてクルマを鍛えさせてもらったとの謝辞を述べたほか、同レースの水素カテゴリーに水素エンジン車両での参戦を目指すことを発表した。 また、同時にその参戦車両のプロトタイプ「GR H2 Racing Concept」が世界初公開された。
ル・マン24時間レース会場となるサルト・サーキットで開催された記者会見で世界初披露された参戦マシンのプロトタイプ「GR H2 Racing Concept」
これは今年5月27日に開催された富士24時間レースでの記者会見で、ACOより公表された「ル・マン24時間レースは、2026年に最高クラス(ハイパーカークラス)において水素を動力源とした車両(水素エンジン搭載車もしくはFCEV)の参戦を可能とする」こと、さらに2030年までにトップカテゴリーのすべての参戦車を水素車両とする、という指針も発表されたことを受けての公表だ。
GR H2 Racing Conceptの全幅は2050mmと、GR010 HYBRID 2023年型よりも50mmワイドになっている
参戦マシンのプロトタイプとなるGR H2 Racing Conceptは、水素エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせ、公表されているボディサイズは全長5100×全幅2050mm。今回の参戦マシンであるGR010 HYBRID 2023年型は全長4900×全幅2000mmなのでかなりボディが大きくなり、よりワイドになっている。参戦車両の詳細については今後、さらに追加情報が公表されていく予定だ。
トヨタはこれまで、2021年スーパー耐久シリーズ第3戦より水素エンジンカローラで参戦し、2022年12月にはタイのチャーン・インターナショナル・サーキットにて開催された「IDEMITSU 1500 SUPER ENDURANCE 2022」にも同車両で参戦している。
今回の発表について、トヨタは『モータースポーツという過酷な環境下でその技術を鍛え、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、業界内外の仲間とともに水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」取り組みを加速させてきました。こうした“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”と“CN社会の実現”に向けた取り組みをさらに進め、新世代のル・マン24時間レースに挑戦していきます』とコメントしている。
■トヨタは水素でル・マンの頂点を狙う!
GR H2 Racing Conceptは全長5100mmと現在のマシンであるGR010 HYBRID2023よりも200mmも長くなっている
もともとル・マン24時間レースはさまざまなジャンルに前向きなカテゴリーなのはよく知られている。1991年にロータリーエンジンを搭載したマツダ787Bが日本メーカー初の総合優勝を飾っているなどの歴史がある。
ル・マンは2022年から100%レース用代替燃料を使用しており、すでに例年比で約65%のCO2削減に成功、カーボンニュートラルへも前向きなレースであることは間違いない。
現在、ル・マン24時間レースの最高峰カテゴリー「ハイパーカークラス」では、内燃機関+モーターのハイブリッドエンジンを搭載するトヨタ(TGR)の「GR010 HYBRID」が、2021年のデビュー以来WECシリーズ12戦中10勝と快進撃中。
また、トヨタは2021年に水素エンジンを搭載したカローラで富士24時間レースに参戦、以後もさまざまな場面でこの「水素エンジン搭載GRカローラ」でデモランを実施し、改良と認知度向上を続けている。
水素エンジンでのトヨタの新たなる挑戦に大いに期待したい!
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