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【最新モデル試乗】速さと洗練が融合。トヨタ・プリウスPHEVを「現実的なBEV」と思う理由

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【最新モデル試乗】速さと洗練が融合。トヨタ・プリウスPHEVを「現実的なBEV」と思う理由

0→100km/h加速6.7秒の実力! 思いのままの速さを体感

 プリウスPHEVを公道でチェックした。従来型はHEVと内外装をわかりやすく差別化していた。対して新型はほぼ共通。その代わりというわけではないだろうが、走りで、はっきりと個性を主張する。

【最新モデル試乗】新型プリウスPHEVは主役の風格。「エコスポーツの代表」と考えるその理由

 最新PHEVは、2リッターエンジンとモーターの組み合わせ。HEV比で約5割増の高出力モーターと、従来型PHEVより約5割増の大容量バッテリーを搭載した。キャラクターは「プリウスのハイパフォーマンスモデル」である。
 満充電時EV走行距離は大幅に延長。従来型は約60kmだったところ、新型は19インチ車で87km、17インチ車では 実に105kmまで伸びた。メーカーはPHEVを「現実的なBEV」と説明するが、確かにこれだけの航続距離があれば、日常使用はEVとして機能する。実際、EVモードを選択すると、エンジンがかかることなく延々と走り、アクセルを踏み込んでもよほどでないと高い車速域までEV状態を維持する。しかも、モーターだけの走行でもけっこう速い。

 PHEVは静かなクルマでもある。HEVは比較的頻繁にエンジンが始動し、やや騒々しく感じられる。PHEVは元々エンジンがかかりにくいのが美点。加えて、静粛性自体も入念に対策されているようだ。
 絶対的なパフォーマンスはスポーティカーレベル。アクセルを踏み込んだときの加速フィールは爽快で気持ちいい。さすがは0→100km/h加速が6.7秒と、7秒を切っているだけのことはある。従来型のPHEVが11秒を超えていたのとは大違いだ。HEVも2リッターになりなかなかだと感じていたが、0.8秒も速い(2WD比)のだ。その差は明確である。
 ただし、初期の加速はHEVの2WDもけっこう鋭い。さらには、バッテリーの力を前後のモーターに配分するHEVの4WDはもっと速いと感じる。PHEVの本領は動き出しではなく、加速の伸びやかさ。アクセルの踏み込みにリニアに応え、力強く、どこまでもスピードが上昇する感覚がある。

 ブレーキも好印象だ。従来の蓄圧タイプからリニアにブレーキ油圧を増圧できるオンデマンド加圧タイプに変更した効果で、自然なフィーリングになっている。それは新旧を乗り比べると明白だ。おかげでアクセルとブレーキのペダル操作感が統一され、違和感なく踏み替えることができる。
 PHEVは回生ブレーキの強さが3段階から選べるのがHEVとの違いだが、設定変更にはセンターディスプレイで操作する必要がある。せっかくの機能なのだから、簡単に変更できるほうがいい。

速さだけでなくフットワークもスポーティ。新型は「ドライビングの歓び」を実感する

 HEVでも感心したフットワークには、磨きがかかっていた。操縦安定性の高さは特筆レベル。車重の重いPHEVでも好印象はそのままだ。より高い剛性を得た第2世代のTNGAプラットフォームとサスペンション、エアロダイナミクスの最適化をはじめ、駆動用バッテリー搭載位置を従来のトランク下からリアシート下に移動したことなどの相乗効果に違いない。

 洗練された乗り味はHEV以上。HEVの2WDはリアが軽いため荒れた路面では若干ばたつく印象がある。PHEVはその感覚が小さい。一段とフラットな乗り味になっている。PHEVは重量増に対応して、とくにリアの足回りを強化。その調節具合がちょうどいい。
 正確なライントレース性を実現したハンドリングにもあらためて感心した。切る側だけでなく戻す側もイメージしたとおりきれいに動く。無駄な挙動が出にくく、修正舵を要するシーンは少ない。加えて電動パワーステアリングのチューニングが巧い。イナーシャやフリクションを感じず、操舵力は重くなく軽すぎずない。切り始めからリニアに動き気持ちいい。

 居住性は及第点。後席で新旧PHEVを乗り比べてみたところ、車高の低い新型は、さすがにヒール段差がだいぶ小さくなるものの、ヘッドクリアランスは同等だった。前席下への足入れ性もさほど問題ない。シートもクッション厚みが適度に確保され、しばらく座っていてもお尻が痛くなることはない。いろいろ配慮されている。
 PHEVのラゲッジスペース床面はHEVよりも少し高くなっている。だが、これだけスペースがあれば実用上は問題ないだろう。リアシートを前倒しするとPHEVはフロアと段差なくつながる。外部給電機能が、標準装備されている点もうれしい。

 インフォテインメント系も多彩な機能を満載している。そういえば、従来型の特徴のひとつだった縦長のディスプレイは踏襲されていない。眼前のメーターパネルはちょうどステアリングホイールと重なる。これは少々気になった。

 プリウスPHEVは新型で第3世代。これまでは、せっかく設定があってもHEVで十分と感じた人が多数派だった。だが新型は最新PHEVらしく、「速さと洗練」というわかりやすい魅力を身につけた。時代も変化しPHEVに関心を持つ人は増えている。価格差は大きいものの、クルマ自体が 「愛車」として魅力的に進化したからこそ、新型はPHEVの販売比率が高まりそうな気がする。今まで輸入車に乗っていた人にとっても魅力的な存在である。

トヨタ・プリウスPHEV主要諸元

グレード=Z PHEV
価格=THS 460万円
全長×全幅×全高=4600×1780×1430mm
ホイールベース=2750mm
トレッド=フロント:1560/リア:1570mm
車重=1570kg
エンジン=1986cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=111kW(151ps)/6000rpm
最大トルク=188Nm(19.2kgm)/4400~5200rpm
モーター最高出力=120kW(163ps)
モーター最大トルク=208Nm(21.2kgm)
駆動用バッテリー=リチウムイオン
容量=51.0Ah
WLTCモードEV走行換算距離=87km
WLTCモードハイブリッド燃費=26.0km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=23.7/28.7/25.5)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=195/50R19+アルミ
駆動方式=FWD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m

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みんなのコメント

44件
  • 今のインフラ状況や電池技術では、現実的にはこれで十分と思うね
  • BEVは街乗りでは十分だが長距離はまだまだ不安
    特にサービスエリアなどで急速充電場に列ができていたら悪夢
    PHEVだとその不安は解消される
    予算に余裕があるのならHVよりもPHEVのほうをおすすめします
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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