最も美しいトミカは何か考えた
そして、この実車の美しさを見事に小さなボディに再現したのが、トミーだった。トミカの117クーペが登場したのは1974年で、品番10番の2代目モデルだった。ちなみに初代は、ホンダNIII360で、このモデルは、トミカの爆発的ヒットで供給不足に陥り、香港に委託生産したモデルなので、品質的にはかなり問題のあるものだった。
それを生産基盤の整った国内製造に戻し、満を持して登場したのが117クーペだったのだ。ホイールもいまのホットスタンプ方式と異なり、トミカの歴史上最も美しい1Eホイールが装着されている。金型の造形、塗装、仕上げと、すべてが完璧で、製造から50年が経っているというのに、まったく当時の輝きが衰えていない。
もちろん、最近のベトナム製トミカは、ボディへの印刷技術などが進化して、50年前のトミカよりもはるかに精度が上がっているのだが、ミニカー自体の美しさは、やはりメイドイン・ジャパンにかなわない気がする。
トミカが、生産拠点を海外に移したのは1985年のプラザ合意によって、為替が短期間に2倍の円高になってしまったことがきっかけだった。ただ、最近の円安回帰によって、メイドイン・ジャパンのトミカを復活させる環境は整ってきたと思う。イベント用の単発商品で、多少値段が高くなってもいいから、一度メイドイン・ジャパンに再挑戦してほしいなとボクは思っている。
文:森永卓郎
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次のコラムも楽しみにしているだらあ。