現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > PCやスマホのように自宅でアップデートできないのはなぜ? 「コンピュータ制御だらけ」のクルマにディーラー入庫が必須な理由

ここから本文です

PCやスマホのように自宅でアップデートできないのはなぜ? 「コンピュータ制御だらけ」のクルマにディーラー入庫が必須な理由

掲載 更新 7
PCやスマホのように自宅でアップデートできないのはなぜ? 「コンピュータ制御だらけ」のクルマにディーラー入庫が必須な理由

 いまやコンピュータ制御は必要不可欠な存在

 現代の自動車は、その発祥以来、ガソリンや軽油を燃料とするエンジン(内燃機関)を動力源とする点は変わらないが、駆動系、走行系も含めた作動に対し、多岐に及ぶコンピュータ制御を多く活用する点が過去の自動車と大きく異なっている。

一度経験すると付いていないクルマに乗れなくなるほど便利な装備11選

 逆にいえば、コンピュータテクノロジーなくして、現代の自動車がもつ高性能や使い勝手のよさを確立することは不可能ということなのである。まして、動力系まですべてを電気に頼るEVともなれば、コンピュータ制御は必要不可欠な存在としかいいようがないだろう。

 そのコンピュータ、電子デバイスによる本体(ハードウェア)と所定の働きをするソフトウェアの組み合わせにより、意図した目的が達せられることはよく知られるとおりで、日頃使っているPCやスマホを見ても明らかだ。そして、その性能向上、最適化のために行われてるのがソフトウェアのアップデート(最新化)である。このアップデート、ソフトウェアメーカーの製品内容に更新があった場合、随時自動で、あるいはメーカーの通知を受けたユーザーが手動で行うもので、やはりPCやスマホの利用者なら何度も経験していることだろう。

 このコンピュータシステムのアップデートが、自動車にも適用される時代になってきた。この動きは世界的な大きな潮流で、日本では、2020年9月にトヨタが運転支援システム「Toyota Safety Sense」の自動ブレーキに関する項目(対象車種:アクア、ヴィッツ、ノア、ヴォクシー他)で、2020年11月にはマツダが「e-SKYACTIV X」搭載モデルのエンジン/ミッション制御に関する項目(対象車種:マツダ3、CX-30)の対策が発表された。それぞれ旧ソフトウェア搭載車を対象としたもので、最新ソフトウェアへのアップデートにより、車両性能、機能の向上を図り、既存車両を最新モデルに準じた状態で使うことができるようにしたものだ。

 言うまでもなくユーザーサービスだが、アップデートはメーカー指定の整備工場(ディーラー)に車両を持ち込む方式で、PCやスマホのように、ユーザー個人がネットワークに接続して行うものではない。これほど便利になった世のなか、手順を明確に示したマニュアルがあれば、個人単位でのアップデートも可能なように思えるのだが、わざわざディーラーに持ち込まなければならない理由がいくつかあるのだ。

 自身でのアップデートは将来的に可能になるだろう

 まず、既存モデルのソフトウェアが、無線ネットワークによるアップデートに対応した内容になっていないことが挙げられる。PCやスマホのソフトウェアは、アップデートを前提として作られているため、ソフトウェアの供給側は新たに進化したソフトウェアを用意するだけで、ユーザー側はアップデート可能な状態となっているのだが、車両搭載の制御システムにはこの機能がなく、データのアップデートが可能な設備を持つディーラーでの作業が必要不可欠となるからだ。

 また、現状のアップデートシステムが、国土交通省が定めるサービスキャンペーンの枠組みを使って行われている点も関与する。このサービスキャンペーンというのは、製造車両に安全・環境基準に適合しない(あるいは適合しなくなる可能性がある)不具合が発見された場合、無償で車両を回収し、不具合のある個所の改修、改善を義務づけたリコール制度と同じ枠組に位置付けられたもので、道路運送車両法に照らし合わせたリコール届出、改善対策届出には該当しない領域の商品性、品質の改善措置を行う対策であるからだ。

 データ(ソフトウェア)のアップデートを、メーカーによる商品性、品質の改善措置と位置付けているため、所定の資格を備えた工場、人間(つまりディーラーの整備工場)でなければ作業を行えない、という法的な制約の影響を受けるからだ。

 実際のところ、OTA(Over The Air)システムの発展、充実化が確実視されている現状で、ユーザー個人による車両制御システムのアップデートは、将来的に可能な方向で進んでいくことは間違いなさそうだが、自動車という大きな運動エネルギーを持つ物体が対象となるだけに、万が一にもソフトウェアの不備が発生するようでは安全上、非常に大きな問題となる。セキュリティの問題も含め、確実なアップデートの方法が確立された時点で、個人によるアップデート作業の方式が可能になるのかもしれない。いずれにしても、自動車はソフトウェアの改善で、車両の性能向上、機能向上が常識化した時代に突入したわけである。

こんな記事も読まれています

人気のアクセサリー2点を装備しつつ価格を据え置いたプジョー408GTの特別仕様車が日本デビュー
人気のアクセサリー2点を装備しつつ価格を据え置いたプジョー408GTの特別仕様車が日本デビュー
カー・アンド・ドライバー
電脳交通がライドシェアの実証実験開始…新たに東京・高知・愛媛で、タクシー業界のドライバー不足解消へ
電脳交通がライドシェアの実証実験開始…新たに東京・高知・愛媛で、タクシー業界のドライバー不足解消へ
レスポンス
トヨタの「“最強”ライトバン」登場20年超でもなぜ売れ続ける? 使い勝手最強の“営業マン”マシン「プロボックス」一体何がスゴい?
トヨタの「“最強”ライトバン」登場20年超でもなぜ売れ続ける? 使い勝手最強の“営業マン”マシン「プロボックス」一体何がスゴい?
くるまのニュース
今週、話題になったクルマのニュース3選(2024.7.6)
今週、話題になったクルマのニュース3選(2024.7.6)
@DIME
白いボックスシートが広くて快適! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
白いボックスシートが広くて快適! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
ホンダが新型「軽バン」発表! 斬新“1人乗り&前後2人乗り”設定も!? 一方で「交換式軽バン」発売は? N-VAN同士で何が違うのか
ホンダが新型「軽バン」発表! 斬新“1人乗り&前後2人乗り”設定も!? 一方で「交換式軽バン」発売は? N-VAN同士で何が違うのか
くるまのニュース
50年前の[ベンツSL]が1000万に!! 中古狙うなら今は5代目!? [歴代ベンツSL]の中古相場が謎すぎ 
50年前の[ベンツSL]が1000万に!! 中古狙うなら今は5代目!? [歴代ベンツSL]の中古相場が謎すぎ 
ベストカーWeb
1シリーズ買うなら必見!人気の年式やおすすめグレードまで【人気のクルマ中古購入ガイド】
1シリーズ買うなら必見!人気の年式やおすすめグレードまで【人気のクルマ中古購入ガイド】
グーネット
モトグッツィV7に特別仕様車「V7 STONE TEN」登場!セブンだけどテン、でも排気量は850ccだ!
モトグッツィV7に特別仕様車「V7 STONE TEN」登場!セブンだけどテン、でも排気量は850ccだ!
モーサイ
男前度がグレードアップ。9月から予約注文受付開始の新型「ティグアン」のこと、もっと見たい!もっと知りたい!!【日本のフォルクスワーゲンに新型ラッシュ(2)】
男前度がグレードアップ。9月から予約注文受付開始の新型「ティグアン」のこと、もっと見たい!もっと知りたい!!【日本のフォルクスワーゲンに新型ラッシュ(2)】
Webモーターマガジン
【F1分析】FP2で新品ソフトタイヤを2セット使ってしまったレッドブル……扱いに苦労しているのか? フェルスタッペン「ミディアムの方が良さそう」
【F1分析】FP2で新品ソフトタイヤを2セット使ってしまったレッドブル……扱いに苦労しているのか? フェルスタッペン「ミディアムの方が良さそう」
motorsport.com 日本版
バイカー必見! パイオニアの新アプリ「MOTTO GO」がもたらす大きな利便性
バイカー必見! パイオニアの新アプリ「MOTTO GO」がもたらす大きな利便性
レスポンス
ビル内の配送と駐車はヒョンデのロボットにおまかせ! ヒョンデグループから2種類の「超便利ロボット」が登場
ビル内の配送と駐車はヒョンデのロボットにおまかせ! ヒョンデグループから2種類の「超便利ロボット」が登場
THE EV TIMES
新造形のLEDヘッドランプを採用して表情を変えたBMW4シリーズが日本上陸
新造形のLEDヘッドランプを採用して表情を変えたBMW4シリーズが日本上陸
カー・アンド・ドライバー
限定デザインのTOYOTA LAND CRUISER 70 Tシャツが成田空港に登場!
限定デザインのTOYOTA LAND CRUISER 70 Tシャツが成田空港に登場!
カー・アンド・ドライバー
有名な“廃道”も消滅!? 静岡の「大崩海岸」また崩壊「復旧断念して作った新トンネル」が早くも通行止めに 静岡
有名な“廃道”も消滅!? 静岡の「大崩海岸」また崩壊「復旧断念して作った新トンネル」が早くも通行止めに 静岡
くるまのニュース
「僕を信じてバトルをしていい」接触で友情を失いたくないフェルスタッペンが関係修復に動く。ノリスは態度を軟化
「僕を信じてバトルをしていい」接触で友情を失いたくないフェルスタッペンが関係修復に動く。ノリスは態度を軟化
AUTOSPORT web
将来は江ノ島へ直結「横浜藤沢線」 市境付近の進捗は? 未来の圏央道とJCTも形成
将来は江ノ島へ直結「横浜藤沢線」 市境付近の進捗は? 未来の圏央道とJCTも形成
乗りものニュース

みんなのコメント

7件
  • ディーラーが儲けるためではない
    失敗すれば即ミサイルと化すからだ
  • 困ってないのにアップデートをして簡単に取り消す愚

    自動車とパソコンでは文化が違う
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村