■一方通行じゃないけどすれ違いは無理!? 約300m区間の“険道”とは
国道や県道と言うと、しっかり整備された走りやすい道路をイメージすると思います。ところが、日本にはとんでもなく狭かったり、荒れている“酷道(こくどう)”や“険道(けんどう)”と呼ばれるワケアリ道路があり、またそれらを好む愛好家も少なからず存在します。じつは筆者(野岸“ねぎ”泰之)も嫌いではありません。というわけで、今回は神奈川県のとある険道をバイクで走って来た様子をレポートします。
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当初は神奈川県北西部、相模原市緑区の津久井湖北側にある、最狭部が1.7mという神奈川県の中でも“横綱クラス”の険道「神奈川県道515号三井相模湖線」を走る予定でした。ところが現地に到着すると、災害で道路が崩れたとのことで長期通行止めとなっていました。そこで、次なる険道に向かうことにしました。
目指したのは「神奈川県道518号藤野津久井線」です。こちらも神奈川県相模原市緑区、山梨県境に近いエリアを通っています。相模原市内方向からのアクセスは、ライダーに人気の国道413号、通称“道志みち”青野原付近から右に枝分かれする形になります。
国道から分かれてすぐに、道路上には注意喚起の標識が現れました。読むと「3.8km先(牧馬峠)車幅2.0m以上の車両通行不可(Uターンも出来ません)」とあります。注意標識は新旧ふたつ、ご丁寧に道の左右に設けてありました。
古い方の標識には、牧馬峠付近300mにおいて「期間 昭和55年8月26日から当分の間」とあります。標識のある場所はセンターラインもある普通の県道ですが、峠区間はかなり以前から細く、改良が進んでいないということでしょうか? 少し進むと、さらに電光掲示の道路情報板があり、この先の幅員減少をアピールしてきます。
その後、道は徐々に山深くはなっていきますが、道志川を望む橋があったり、旧街道のようなのどかな光景が広がるなど、標高を上げながら快適なツーリングルートが続きます。
そんな時、道路脇に1枚の看板が現れました。そこには「観光バスは、ここでUターンしてください(この先幅員減少、全線Uターン場所がありません)」との文言。いよいよ狭小区間が迫ってきたことを感じます。
それにしても、過去に観光バスが立ち往生した事例があったのでしょうか……カーナビやネット情報などに触れられない地図だけの時代なら、そんなこともあったのかもしれません。
さらにのどかな風情の道を走ることしばし……その光景は突然目の前に現れました。道路上に紅白に塗り分けられた鉄骨による門が、まるで関所のように行く手を規制していたのです。脇の看板には「車幅2.0m以上の車両は通行出来ません」としつこく書いてあります。つまりこのゲートで、物理的に車幅が2mを越える車両ははじかれることになります。
その先に進むと急激に道幅は狭くなり、先の見通せない蛇行した道になっています。対向するクルマ2台がすれ違いができそうな退避スペースは、1カ所だけそれらしき場所がありましたが、もしクルマで訪れたなら「頼むから対向車よ、来ないでくれ!」と祈るような気持ちで走ることになるでしょう。こんなとき、バイクで来てよかったな、と思う瞬間です。
しかし、最も道幅が狭いと思われる場所ではギリギリ乗用車1台分ほどのスペースしかなく、ほかでも場所を選ばないと、バイクとクルマがすれ違うことさえギリギリな印象です(ちなみに、これほど幅が狭い道路にもかかわらず交通量はそこそこあります)。反対側にも同じ紅白のゲートがありましたが、そこを抜けたときは、心底ほっとしました。
この牧馬峠の頂上付近約300mは、路肩が弱く崖も迫っているため、物理的に大きなクルマが入れないよう規制しているといいます。狭小区間は費用対効果の面で整備困難エリアとなっており、整備の予定もないとのこと。険道としては“大関クラス”とはいえ、鉄骨ゲートが立ちふさがる様子はインパクトがありました。
通り抜ける際に緊張感はありますが、大型トラックと遭遇することがない道、と考えればツーリングライダーにとっては悪くないかも……と考えてしまう一方、やはり“険道”と呼ばれるだけあって整備された道路よりも危険度が高いことは容易に想像できます。荒れた路面の上でバイクを扱うことに自信のないライダーは、あえてこの道へ進入することは避けた方が賢明でしょう。
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みんなのコメント
始まりに幅規制の鉄骨が有って親切ですよね。
5ナンバー以下の車しか乗らない林道マニアなので、不自由は感じません。
(むしろ、ヘタクソは怖気づいて入ってこないので助かります。)
神奈川県は必要な道にお金を掛けているけど、脇道(林道は管轄違うので当然)などほとんど使われない穴場道は険道です。
バイクの方は対向車や浮き砂カーブにはお気を付けください。