重くなったタイヤでも素早いピット作業を実施するための取り組み
今年のF1日本GP、レース本番前にピットを歩いていると、ちょっと奇妙な光景に出くわした。なんと、メカニックたちが揃ってラジオ体操のような体操を行っていたのだ!
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写真のルノーのメカニックだけでなく、チャンピオン争いをリードする、メルセデスのピットの前でも、同じようにメカニックたち体操する姿を目撃している。基本的に個人主義で、プロフェッショナルとしてフィジカル面、体調管理も各自に任されているF1チームのスタッフが、みんな揃って体操とは?
ひょっとして、日本では「ラジオ体操」が普及していることをどこかで知って、日本GPのスペシャルイベントとして、みんなで取り組んでみたのだろうか、と疑問に思い、チーム関係者に質問してみた。その答えは、意外に真面目なものだった。
F1マシンは、今年レギュレーションが新たになり、タイヤの幅が平均で約25%ほど広がっている。具体的には、2016年まで、フロント245mm、リヤ325mmだったのが、2017年からフロント305mm、リヤ405mmに拡大(ホイール径は13インチのまま。ただし外径は10mmほどアップ)。
これにより、フロントはタイヤ単体で、1kgちょっと、リヤは約1.5kg重たくなった。ホイールとセットでは、フロントが約10kg、リヤがだいたい11.5kgと言われている。レースの中継を見ればわかるとおり、F1のメカニックたちは、この重たいタイヤ(しかも熱い状態)の交換作業を2秒台で終えることをターゲットとしている。
彼らに言わせれば、3秒台となるとノーグッドで、4秒台は最悪。5秒台はクビという厳しい世界で戦っていて、今年の大きく重たくなったタイヤでも、2秒後半で確実にタイヤチェンジをこなすために、真剣にウォームアップをするようになり、今シーズンに入ってから、自然とみんなで念入りに「スタートトレーニング(準備運動)」を行うようになったとのこと。
ドライバーはもちろんのこと、F1の世界ではメカニックもまた、アスリートとしてライバルたちと熾烈な戦いを繰り広げているというわけだ。コース上の0.1秒も、ピットでの0.1秒も、同じ0.1秒。それをチーム全体で争っていて、そのためにこんな努力までしているということを知ると、F1観戦がもっと興味深くなってくるのではなかろうか。
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