現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ホンダの誇り「NSX」が2022年12月に生産終了。日本のスーパーカーが世界の一線にとどまれない理由とは?

ここから本文です

ホンダの誇り「NSX」が2022年12月に生産終了。日本のスーパーカーが世界の一線にとどまれない理由とは?

掲載 更新 178
ホンダの誇り「NSX」が2022年12月に生産終了。日本のスーパーカーが世界の一線にとどまれない理由とは?

初代NSXにも設定されたタイプSの特徴とは?

ホンダ・スポーツの象徴ともいえる「NSX」の生産終了が発表されました。生産終了は2022年12月、それに合わせて全世界350台の限定車「タイプS」を発売することも発表されました。

>>ホンダ NSXのおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる

タイプSの詳細は今月発表されるということですが、現行NSXにとって最初で最後の限定車となるタイプSのテーマはパフォーマンスとデザインの追求で、専用マットボディカラーを設定するということがすでにアナウンスされています。

タイプSというグレードは初代NSXにも設定されたことがあります。当時のコンセプトは「ワインディングロードなどでの操る気持ち良さを際立たせる」で、エアコンなどの快適装備はそのままに、約45kgの軽量化、専用サスペンションチューニング、専用デザインのステアリングホイールやシフトノブ、軽量なBBSアルミホイールなどでスポーツドライビングの楽しさを追求しつつ、エンジンには手が入れられませんでした。

今回は3.5L V6ツインターボのパワーアップも期待できる?

第二世代となる今度のタイプSはパフォーマンスアップも宣言されています。それがコーナリング性能だけなのか、それともパワーアップも含むのか、現時点では不明ですが、タイプRと称するほどカリカリのチューニングではないにしても、多少のパワーアップは果たしていることが期待できそうです。

そして、その場合はフロントを駆動するモーターのパワーアップは難しいでしょうから、リア駆動を担う3.5L V6ツインターボのパワーアップが期待されます。ターボエンジンゆえにパフォーマンスアップは容易と考えられるからです。

現代スーパースポーツの開発スピードに着いていけなかった

現行NSXの日本デビューは2016年8月でした。コンセプトの発表は2012年1月で、ずいぶんと待たされた感がありましたが、当初は初代同様に横置きエンジンで開発していたにもかかわらず、開発途中で縦置きツインターボに変更したという裏話があります。

こうしてデビューが遅くなったことで、NSXのスタイリングが時代に対してズレていったのは否めず、販売面では苦戦していたようです。3モーターハイブリッドによる自慢の旋回性能も、続々と新技術が投入されるスーパースポーツの世界ではそれほど目立てなかったのでしょう。

実際、スーパースポーツの世界は初代NSXの頃と二重の意味でスピード感が違います。加速性能や最高速といった文字通りスピードに関するパフォーマンスは、0-100km/h加速で2秒台の競争になっていますし、最高速は400km/hを謳うモデルもあるほどです。

さらに、フルモデルチェンジのペースはどんどん速くなっていて、常に商品性を高めるために限定車や特別仕様をリリースすることが求められます。数台限定の商品企画というのも珍しくはありません。それが可能なのは、多くのスーパースポーツを扱うブランドが小規模で小回りが効くからです。

逆にいうと、ホンダのような規模で常に一線級の魅力を持つスーパースポーツをラインナップするというのは非常に難しいのです。そもそもNSXに期待されるのはホンダという大きなメーカーの持つ信頼性やクオリティであり、そのために必要な工程と、いまのスーパースポーツに求められるスピード感に、そもそもズレが生じてしまっているのかもしれません。

エンジン車全廃を宣言したホンダが目指すスーパースポーツとは?

もちろん、ホンダがNSXの生産終了を決めた背景には、2040年に全世界での販売を100%ゼロエミッション化するという目標に対して、エンジンを積んだスーパースポーツをいつまでもフラッグシップとして掲げてはおけないという事情もあるでしょう。

ひょっとして電動化時代のホンダにふさわしい、たとえば四輪独立モーター駆動を採用した第三世代のNSXの開発が進んでいたりすると、それが今回の生産終了につながった可能性もあります。ちなみに四輪独立モーターのNSXは、実験的には開発されたことがあり、2016年のパイクスピーク(アメリカの伝統的ヒルクライムイベント)でクラス優勝を果たしています。ファンとしてはそうした可能性にも期待したいところです。

なおアメリカ・オハイオ州にあるNSX専用工場における生産能力は最大8台/日と言われています。最後の限定車「タイプS」が350台限定だとすれば、それ以外のカタログモデルを生産する余力も十分にありそうですが、「S660」がそうであったようにファイナル宣言を機にオーダーが集中し、あっという間に生産能力を埋めてしまう可能性があります。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

※写真
1~5枚目:NSX 2020モデル
6~11枚目:最終モデル「NSX タイプ S」のティザー画像

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

178件
  • NSXが世界の一線にとどまれない理由とは?
    初代の正常進化版だったらよかったのかなぁって思う
  • あんな古いR35は未だに世界一級品だけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.05900.0万円

中古車を検索
NSXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2420.02794.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

600.05900.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村