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ポルシェ911の最新版「タイプ992」4台を一気試乗! ベスト992は果たしてどれか? 【対談編】

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ポルシェ911の最新版「タイプ992」4台を一気試乗! ベスト992は果たしてどれか? 【対談編】

Porsche 911 Carrera × Carrera S × Turbo S Cabriolet × Carrera 4 Cabriolet

ポルシェ911カレラ × カレラS × ターボS カブリオレ × カレラ4 カブリオレ

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911が目指すものとは

半世紀以上もの間、常に進化を続けてきた911。最新型であるタイプ992は、歴代モデルの何を変え、何を受け継いでいるのか。4台のタイプ992に乗って感じたその本質を、大谷達也と吉田拓生が語る。(インプレッション編/対談編)

吉田拓生「シャープなノーズの動きはリヤのスタビリティに自信があるから」

吉田拓生(以下、吉田):いやあ、今回はタイヤ空気圧の調整がいかに重要か、改めて思い知らされました。911はリヤへの負担が大きいせいもあって、リヤタイヤそのものや空気圧設定にはとても神経質なんですね。

大谷達也(以下、大谷):空気圧が高すぎると路面から大入力が加わったときにボディが細かく振動するみたいで、ちょっとポルシェらしくない感じがしました。ただし適正な空気圧に合わせると、それがすっと消えましたね。

吉田:スポーツカーは着座位置がリヤ寄りだから、なおのことリヤタイヤの影響が大きいのでしょう。

大谷:今回、改めて試乗して、吉田さんはタイプ992にどんな印象を持ちましたか?

吉田:とにかくノーズの入り方がシャープになったように思います。これってリヤのスタビリティに自信がある証拠ですよね。一方でボディが大きくなったのはちょっと残念。タイプ991まではボディが小ぶりで好きでしたが、タイプ992は見ためどおりに大きくなったように感じます。

大谷達也「2WDと4WDの差はドライの公道ではまったくといっていいほど感じない」

大谷:そこは表裏一体で、ボディが大きくなったからグリップレベルが上がってスタビリティが改善されたともいえますよね。それと、カレラとカレラ4で前後のトレッドが統一された影響で、タイプ991でははっきりとわかったRWDと4WDの差が、タイプ992では事実上、感じられなくなりました。ポルシェがRWDと4WDでディメンションに差をつけるのを止めた理由を、吉田さんはどのように見ていますか?

吉田:うーん、僕はそこまで考えたことがありませんが、RWDと4WDで差が感じられなくなったのは事実ですね。4WDの前後トルク配分を見ていても、トルクの大半は常時後輪に配分されていて、前輪はあまり仕事をしていない。この辺もRWDと4WDで差が感じられなくなった理由のひとつかもしれません。

大谷:国際試乗会でカレラSとカレラ4Sを乗り比べたときも、わかりませんでした。そもそもカレラ4Sを試乗した後でカレラSに乗ろうとしたら、ポルシェのスタッフに「乗り比べてもわからないと思いますよ」と言われたくらい。たとえばサーキット走行であるとか、路面がヘビーウエットであれば違いを感じ取れるかもしれませんが、少なくともドライの公道ではまったくといっていいほどその差は感じられません。

吉田拓生「もはや911のコーナリング限界を公道で引き出すのは不可能」

吉田:国際試乗会ではサーキット走行もあったんですか?

大谷:カレラSだけですが、サーキットも走りました。そのときは中速コーナーできれいにテールが流れて本当に扱い易いと思いました。

吉田:それでいえば、もはや911のコーナリング限界を公道で引き出すのはほとんど不可能ですよね。

大谷:吉田さんもそう思いますか! よかった!! もしかしたら自分の技量が足りなくて限界に到達できなくなったのではと密かに悲しんでいたので、その言葉を聞いて少し元気になりました(笑)。

吉田:後輪駆動のカレラでタイトコーナーを走っているとき、出口側でダダッと瞬間的にスタビリティコントロールが介入したくらいで、あとはタイヤの限界に近づいている手応えはほとんど掴めませんでした。

大谷達也「限界が見通せなくなったおかげで、ちょっとしたもどかしさも残る」

大谷:限界が見通せなくなったおかげで、達成感が得られないというか、ちょっともどかしさが残るような気がしました。それとタイプ992になって、911内のキャラクター分けや序列が微妙に変わったように感じています。

吉田:どういうことですか?

大谷:たとえば、これまでであればカレラはサスペンションストロークがゆったりしていて乗り心地重視、一方のカレラSは姿勢変化を抑えてシャープなハンドリングに仕上げられていたけれど、タイプ992ではハンドリングでも乗り心地でもカレラSがカレラを上回っているような気がするんです。ターボが乗り心地重視からハンドリング志向に大きく舵を切ったことも意外でした。

吉田:ボディ幅が広いターボSはカレラやカレラSよりさらに限界が高いことがわかっていたので、積極的に攻める気がしませんでした。

大谷:私自身は911が何らかの変革期に差し掛かっていると考えています。RWDと4WDでボディ幅が共通になったことも、911が変革期にあることを象徴しているのかもしれません。

吉田拓生「911はある意味で自作自演。最新が最良なのも当然のことだ」

吉田:僕自身はとにかく前後のトレッドを広げてシャシーのポテンシャルを上げて、あとは電子制御系をチューニングしておけば、たとえスポーツカーの後進国みたいな市場に持っていってもお客さんからクレームをつけられる心配がなくていいだろうというくらいに捉えていました。

大谷:タイプ992で導入されたウエットモードには確かにそういう効果もありますね。でも、ポルシェにはもっと遠くまで見通した方針というか戦略があるような気がします。

吉田:僕は、タイプ992は正常進化版だと思っていますが、そもそも911ってある種の自作自演じゃないですか。リヤエンジンという、物理的に難しいことがあらかじめわかっているレイアウトを敢えて採用しておいて、それを懸命に進化させている。これまで半世紀を掛けて独自の進化を遂げてきたリヤエンジン市場に他のメーカーが攻め込んでこないのは当たり前だし、同じ理由から911が「最新は最善」と言われるのも当然だと思います。

大谷:なるほどね。いずれにしても、私にはポルシェが今後911で何をしようとしているのかが、まだ見えていません。ただし、吉田さんが指摘したように、ディメンションを大きくとってシャシーのポテンシャルを高めておけば、どんなキャラクターのモデルでも造りやすくなる。その意味でいえば、タイプ992を造り出したことでポルシェは大きな可能性を手に入れたといえるかもしれません。

吉田:今後の911に期待というわけですね。

TEXT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ911カレラ

ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1298mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1580kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(47.9kgm)/1950-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR21
最高速度:293km/h
0-100km/h加速:4.2秒
車両本体価格:1398万円

ポルシェ911カレラ4 カブリオレ

ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1297mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1650kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(47.9kgm)/1950-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR21
最高速度:291km/h
0-100km/h加速:4.4秒
車両本体価格:1729万円

ポルシェ911カレラS

ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1300mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1590kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:331kW(450ps)/6500rpm
最大トルク:530Nm(47.9kgm)/2300-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR21
最高速度:308km/h
0-100km/h加速:3.7秒
車両本体価格:1729万円

ポルシェ911ターボS カブリオレ

ボディサイズ:全長4535 全幅1900 全高1301mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1785kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3745cc
最高出力:478kW(650ps)/6750rpm
最大トルク:800Nm(47.9kgm)/2500-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ:前255/35ZR20 後315/30ZR21
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:2.8秒
車両本体価格:3180万円

【問い合わせ】
ポルシェ カスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911

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