イキナリだが、自動車を購入する形態について、「新車」と「中古車」とがある。
そして、ボクはどちらかというと「新車派」だ。
理由としては簡単だが、「好きな仕様を選べる」からだ。
だが、世の中には「中古専門」で乗り継いでゆく人もいるし、ボクはそれについてもよく理解できる。
ボク自身、ときどき「価格が大きく下がった中古車を購入し、少しの期間だけ乗って売却すれば、損失を少なく抑えながらもいろいろなクルマに乗ることができる」と考えているからだ。
911だけでも24種類。現代ポルシェの種類は増えすぎ?その理由を考えてみよう
中古市場で値が下がらないクルマといえば?
たとえば今人気のSUVだと、ポルシェ・カイエンあたりはいい選択なんじゃないかと思う。
2011~2012年あたりの年式(タイプ958)だと、500万円前後で購入できる。
これを購入し、1年くらい乗って売ったところで、ここから大きく売却価格が下がるとは考えにくい。
いくらなんでも、タイプ958のポルシェ・カイエンが1年足らずで「200万円台」まで相場が下がるとは思えない。
一般に、中古車の相場は「人気」によって形成される。
中古車における店頭での値付けにおいては、新車価格から年式分を減額(1年経てば何%、という具合にだ)するという考え方ではない。
中古車の価格設定(と買取価格)は、単にそのクルマに需要があるかどうかという考え方に基づいており、そのため「新車よりも高額な」中古車が存在したり、また「新車価格の1/10」といったクルマも出てくる。
とくに、スポーツカーやSUV、オープンカーといった、特定の人々が好むクルマは中古相場が「一定のところから下がりにくい」傾向がある。
「価格が下がれば欲しいと考えている人」が少なからずいるからだ。
スポーツカーやオープンカーは新車時の価格設定が高く、かつ新車時に販売された台数が少ないため、中古車となると需要と供給とのバランスが(新車販売時と)逆転するのだろう、とボクは考えている。
だから、「新車では売れなかったが(そのためタマ数が少ない)、中古市場では買い手の方が多く、やたらと高値」といったクルマもある。
SUVの場合、「一定のところから下がらない」クルマとして、他にも例がある。
トヨタ・ランドクルーザーや、メルセデス・ベンツGクラスは価値を維持するクルマとしてよく知られているところだろう。
これらは新車でも高い人気を誇るが、「新車では売れなくとも、中古市場では高値維持」なSUVとして、「トヨタFJクルーザー」「ホンダ・エレメント」といったクルマもある。
中古市場で値段が下がるクルマは?
逆に、セダンやコンパクトカーの需要は大きいが、供給も多い。
とくにメルセデス・ベンツやBMW,アウディのサルーンは中古市場ではかなり安いようだ。
これらのクルマは法人需要も多いと考えているが、「新車をリースで」という購入形態が多いのかもしれない。
だから、中古となると「需要が一気に減る」のだろうとも考えられる。
加えて、高級車イメージの薄いメーカーが発売するサルーンは中古市場では大きく価格が下る。
ホンダ・レジェンドはその代表格で、4代目となるKB1/2型(2004-2012)だと、新車では700万円近い価格設定であったが、2006年モデルあたりだと100万円を切り、50万円以下というモデルも散見される。
ホンダ・レジェンドは、NSXの各技術でもある「スポーツSH-AWD」のベースとなる「SH-AWD」を持っており、技術レベルが非常に高いクルマだ。
この価格でNSX同様のトルクスプリットAWDを体験できるのならば、「買って損はない」かもしれない。
50万円台の中古レジェンドを購入しても、売却方法をしっかり選べば損失は出ないだろう。
一方で、同じサルーンであっても、法人需要も強いが、個人需要も強いレクサスLSは価格が下がりにくい。
これは中古相場もかなり高いが、売るときも高いので「売買差額」は少ないだろう。
やっぱりポルシェの中古が一番オイシイ?
前置きが長くなったが、今回ボクが一番推したかったのは「ポルシェ」だ。
ポルシェはとてつもなく中古市場では強い。
やはりその強さを牽引するのはGT3RSといった限定モデルや、一般的な中古市場に出ることはなずないが、一時期「億」といった中古相場を形成した911Rの存在だ。
だが、そこまで行かなくとも「ポルシェはポルシェ」だ。
たとえば、初代(986)ボクスターや、二世代目の987ボクスターだと、「100万円台」で購入できる。
そして、誰がどう見てもそれらは「100万円で購入したクルマ」には見えない(つまり、見栄をはれるということだ)。
さらに売るときだってそんなに大きく下がらない。
ボクスターは世代を重ねるごとに911との共有パーツが減っているとされるが、逆に考えると初代に近いほど「911に近い」構成を持っている、とも考えられる。
そして911カブリオレもオススメだ。
中古市場での流通量はクーペ版の911に比較すると1/10で、そのためクーペよりは高値相場が形成されているが、そのぶん売るときも高い。
996世代の911ターボもいい選択だ。
新車価格だと1500万円を超えているが、中古だと500万円台(それ以下の個体すら存在する)で購入できる。
なんといっても3600ccツインターボ、出力は420馬力だ。
2000年前後という年式を考えると「割高」とも考えられるが、GT3系の価格上昇に引っ張られ、911ターボ系の相場もやや上昇しているように思える。
GT3系はもはや中古相場が高くなりすぎて「危険」な印象もあるが、911ターボはもしかすると「買ったときより高く売れる」可能性もありそうだ。
中古車だと、様々な技術を安価に体験できる
自動車史上、いくつかエポックメイキングな機能や構造がある。
トルクスプリット4WD、デュアルクラッチ、直噴エンジン、ターボエンジン、ハイブリッド、アルミボディといったものだ。
同様に、駆動方式も実に多彩だ。
FR、FF、MR、RR、そして4WD(これもミドシップやリアエンジン、フロントエンジンがある)。
ボディ形状だってクーペやセダン、オープン、ハッチバック、SUVといったように多くのもの、さらにはカテゴライズできないものも存在する。
ボクは、クルマを愛するものとして、少しでも多くの技術や駆動方式/レイアウト、ボディ形状を体験したい、と考えている(やはり試乗だけではなく、自分のクルマとして購入し、乗らなければわからないところもある)。
新車、かつ最新モデルでリアルタイムでそういった「新しい機構や構造を持つクルマ」「今までに体験したことがないクルマ」に乗り継いでゆくのが理想ではあるが、現実はなかなか厳しい(金銭的に)。
だから、割安な中古車を乗り継ぐことで、より多くのクルマを自分のモノとして、数年遅れながらその技術に触れ、レイアウトやパッケージングの違を体験し、理解してゆくのも悪くない、と思う。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]
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