第5世代エスカレード、2020年秋に北米発売
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】エスカレード、どう変わった? 内外装を従来型と比べる【比較】 全60枚
エスカレードも、ツゥ~んとした横目に。
近年のキャデラックSUV&クロスオーバーのトレンド、XT6に代表されるグリルフェイスで、新型キャデラック・エスカレードが登場した。
米ゼネラルモーターズ(GM)が新型エスカレードの世界発表に選んだのは、世界屈指のセレブタウン、カリフォルニア州ビバリーヒルズだ。
発表日は、アメリカ時間の2020年2月4日。GMがこの時期に単独モデルの世界発表を独自イベントで行うことは極めて稀。
理由は、旧来型の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)が事実上、廃止されたからだ。
デトロイトショーは、6月に新たにITとカルチャーを掛け合わせたイベントとして再出発する。
こうした自動車産業界の時代変化は、結果的に、エスカレードにとってはプラス要因になったと思う。
第5世代となったエスカレードは、ダッシュボードに38インチの曲面OLEDディスプレイや、自動車向け初搭載となるオーストリアのオーディオブランド・AKGのユニットを搭載。エンターテインメント業界の人々にとっては、大きな話題である。
エクステリアで第3世代から続いてきた、縦型ヘッドライトのフェイスが変わったこともエスカレード新時代の象徴として、ビバリーヒルズでは快く受け止められている。
それほどエスカレードのブランド価値は高いのだ。
エスカレード、なぜ1999年に登場したのか
アメリカに限らず、世界のセレブ御用達となっているエスカレード。
GMジャパン関係者は「会社経営者の方が多いです。年齢は幅広く20代も珍しくありません。欧州車を含め様々なクルマからの乗り換えがあります」と日本でのオーナー層もいわゆるセレブであることを証言する。
セレブに人気のエスカレードだが、その歴史はけっして古くない。誕生したのは、いま(2020年)から21年前の1999年だ。
なぜ、1999年だったのか?
理由は、アメリカでのSUVブームがプレミアムブランドにまで及んだからだ。
1990年代初頭、SUVブームの火付け役となったのが、2代目ジープチェロキー(型式XJ)だった。日本でもホンダ系ディーラーで販売されて人気を博したが、本国アメリカでも日常使いのクルマとして幅広い年齢層がチェロキーを指示した。
このトレンドに乗ったのが、ブロンコ後継のフォードエクスプローラーだ。チェロキーとエクスプローラーは、北米市場ではミッドサイズSUVと呼ばれる。
次に生まれたのが、フルサイズSUVというカテゴリーだ。シボレーではC/Kシリーズのラダーフレームを活用して、GMシボレーに飛び火した。タホ、そしてサーバーバンの登場だ。
商用やオフロードユースが多かったSUVに、ビジネスマンやセレブが乗る時代がやって来た。
こうしたお膳立てが揃ったことで、エスカレードの出番となった。
プレミアムフルサイズで独自路線を貫く
フルサイズSUVでに、ラグジュアリーという考え方を最初に取り入れたのは、フォードのプレミアムブランド、リンカーンのナビゲーターだった。
また、ダイムラーがメルセデス・ベンツMクラスをアラバマ州で生産を始めた。
こうした各社の動きに「われわれデトロイト本社上層部が刺激され、エスカレード発売を急いだ」と、GM幹部が90年代末、筆者(桃田健史)の質問に答えている。
2000年代に入ると、プレミアムSUV市場は激戦区となる。走りの良さを追求した、BMW X5。カスタマーサービスを拡充したレクサスRXなどが登場。
さらに、欧州系と日系はコンパクトクラスからフルサイズクラスまで、SUVとクロスオーバーのフルラインアップ戦略を加速させた。
その結果、2010年代にはアメリカ市場の6割以上が、ピックアップトラックとSUV/クロスオーバーを合わせたライトトラックとなり、アメリカの定番商品であるC/Dセグメントセダンの存在感がどんどん薄れている。
こうしたアメリカ車社会の大きな変化の中で、エスカレードは、ラグジュアリーSUVとして、独自の世界観を貫いてきた。
第5世代となっても、デトロイトのキャデラック商品企画チームが時代の風を感じる敏感なセンスで「ラグジュアリーのあるべき姿」を追及している。
その裏には、テキサスでのモノづくりが活きている。
アーリントン工場 エスカレード製造に誇り
テキサス州は、カリフォルニア州に次いでアメリカで自動車販売台数が多い。また、SUV所有者がとても多く、町中やフリーウエイはSUVだらけ。
「テキサスは、SUVカウンティ(群)だ」と自動車業界関係者が揶揄する。
エスカレードの最終組立ては、テキサス州アーリントン工場で行われている。アーリントン市はダラス市街地から車で20分ほどの距離にあり、アメリカン航空の本拠地であるダラス・フォードウォース空港にもほど近い。テキサス特有の平坦な土地に、日系企業を含めたビジネスパークが広がる。
GMアーリントン工場は、1954年創業。90年代以降はフルサイズSUVのマザー工場となった。現在は、エスカレードの兄弟車である、シボレー・タホ、サバ―バン、GMCユーコンが同じ製造ラインで混流生産されている。
筆者はこれまで10数回、アーリントン工場の現場を取材しているが、現場従業員が皆、この工場で働いていることを誇りを思っている。
なかでもエスカレードに対する想いが強い人が多い。
「GMの最上級プレミアムモデルを、手掛けている」という誇りと自信を持って日々の仕事に打ち込んでいる。
SUVカウンティのSUV職人たちが気持ちを込めて、GMプレミアムブランドの象徴であるエスカレードを世に送り出している。
テキサス発、日本でのエスカレード上陸は2021年になりそうか?
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みんなのコメント
まぁ日本のミニバンのオラオラ顔よりはマシか。