この記事をまとめると
■2023年12月3日(日)に「ヨコハマホットロッドカスタムショー」が開催された
特別な顧客だけが味わえるフェラーリのワンオフモデル! 最新作「SP-8」が贅沢すぎる
■筆者が会場内で見つけた最先端のカスタムカーを4台紹介
■日本のカスタムカー文化とテクニックやセンスには一見の価値がある
トレンドのスーパーカー×デザートスタイルをパンテーラで再現
去る12月3日に開催された31回目の「ヨコハマホットロッドカスタムショー」が、2万5000人に上る来場者を数え、大盛況のうちに幕を閉じた。その名のとおり、ホットなカスタムカーやバイクが所狭しと展示され、いずれも完成度の高さには目をみはるばかり。アメリカンカルチャーをベースにしたものが多いものの、いまやその世界観は様相を変え、カスタムのテイストは独自の進化をとげているといえよう。
そんなカスタム最先端にいる4台をご紹介しよう。
デ・トマソ・パンテーラ 雷雷公社/Art Racing
旧車をデザートバギーにカスタムするのは近年各国で大流行しているが、パンテーラをリフトアップしたものは珍しい。ファットなブロックタイヤへのコンバートに加え、オーバーフェンダーとプロテクトバーという過剰にも思えるカスタムだが、そもそもパンテーラにはグループ5仕様も存在したためか、違和感どころかカタログモデルとしても通用しそうなフィッティングを見せていた。
圧巻はリヤのエンジンフードを大胆にカットしてスペアタイヤを背負ったスタイル。V8ビッグブロックを搭載する同車だが、車体センターの奥深くに配置されるため、このスペースが確保できている。タイヤの前方にエアフィルターが見えていることに注目したい。
各プロテクトバーや大径リベットの処理、あるいは要所に施されたカモフラのペイントなど完成度、オリジナリティともに世界レベルといっても過言ではないだろう。製作を担ったArt Racingは、コンプリートカーカスタムを得意とするファクトリーで、356スピードスター、ジャガーXKSSといった宝石のようなモデルで有名だ。
DMCデロリアン Rudder International
デロリアンのカスタムといえば、バック・トゥ・ザ・フューチャーのタイムトラベルマシンが王道かと思いきや、愛知県のカスタムビルダー「ラダーインターナショナル」は、まったく別のアプローチで来場者の度肝を抜いた。
低く、太く、それでいてオリジナルのプレーンなフォルムを崩さないのは見事なもので、これにはヘアライン仕上げにこだわったオーバーフェンダーの製作や、ワンオフで製作したホイールといったディテールが奏功しているのは言うまでもない。
以前はマルティーニレーシングのストライプが加えられていたが、今回は同じポルシェでも1971年のルマンに出場したワークスマシン「SOW(メス豚)」をオマージュしたデコレーションだ。想像だけではピンクの肉屋ポルシェが、デロリアンに似合うとは思えないが、実車のマッシブなスタイルと24番のゼッケン(917は23番)はものの見事にマッチしたと言わざるを得ない。
そのほか、リヤの追加スポイラーやディフューザーなど明快なカスタムの方向性が示され、デロリアンのカスタムがBTTFテイストだけではないことを思い知らされる1台だ。
世界的にも通用する日本のカスタム文化のテクとセンス
フォルクスワーゲン Type1 Brook Motor Psycho
ホットロッドカスタムショーにはこれまでも数々のカスタムビートルが出品されてきたが、Brook Motor Psychoによるチョップトップマシンは、アワードを受賞したことでもわかるように、珠玉の完成度といっていいだろう。
チョップ済みの車体からカスタムをスタートしたとのことだが、ボディワークはもとより、クロム処理の足まわりやフルカスタムのエンジンなど、これぞホットロッドの王道ともいえるスタイルに仕上がっている。
また、派手なカスタムカーにありがちな細部の粗さなどはなにひとつ見当たらない。丁寧なことこの上ないカットラインやパーティション、あるいはパーツのチョイスひとつとってみてもパーフェクトと呼ぶにふさわしい。
日本のカスタムビルダーが世界中から高い評価を受けているのも、この1台を見れば大いに納得できるだろう。
シボレー・ベルエア 1950 Paradise Road
こちらは2022年度のホットロッドカスタムショーでベストアワードを受賞したシェビー。だが、一見してベースモデルを言い当てられる者はさほど多くないだろう。愛知県のパラダイスロードはアメ車のカスタムファクトリーとして知らぬ者はいないほどの存在で、ホットロッドといえば鉄板だ。
ハードトップがエアコンプレッサーで開閉するギミックや、ピックアップ風のリヤベッドなどに目を奪われがちだが、内外装の激変ぶりこそが真骨頂に違いない。
加えて、積載されたバイクのホイールもムーンアイズのオリジンを改造しているなど、徹底ぶりには驚きを禁じ得ない。
このシェビーに限らず、カスタムカーの頂点に位置するようなクルマたちは、眺めるだけでも時を忘れそうになる。
2023年のショーを見逃した方は、ぜひ2024年のショーを訪れることをおすすめしたい。日本のカスタムカルチャー、そしてテクニックやセンスに決して期待を裏切られることはないだろう。
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