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GT500参戦100戦目で掴んだ2勝目と、勝てなかった6年238日の歩み【坂東マサの『俺に書かせろ!』/特別編】

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GT500参戦100戦目で掴んだ2勝目と、勝てなかった6年238日の歩み【坂東マサの『俺に書かせろ!』/特別編】

 TGR TEAM WedsSport BANDOHの代表として国内トップカテゴリーであるスーパーGT GT500クラスに参戦しつつ、青年実業家としてさまざまなチャレンジを続ける坂東正敬監督。そんなマサ監督が日々のレースや、実業家としての活動のなかで、面白いと思ったこと、取り組んでいることについて、自ら筆をとる連載コラム『坂東マサの「俺に書かせろ!」』。

 通常はautosport web Premium会員だけが読める会員限定の特別なコラムですが、第25回となる今回はレーシングプロジェクトバンドウの約7年(6年238日)ぶりの勝利を祝して、会員以外の方にも読んでいただけるよう超特別大公開でお届けいたします。

ウェッズ&坂東正敬監督がヨシムラツーリングブレイクタイムに登場。加藤陽平TDとのトークショーも予定

* * * * * * *

 押忍! 坂東マサです。

 読者のみなさま! 19号車WedsSport ADVAN GR Supraが約7年ぶりに勝ちましたよ!

 今回はまず、前回の優勝から今回の2勝目までの約7年を振り返りさせてください。長いですけど、是非。

 2023年スーパーGT第3戦鈴鹿は、2016年第7戦タイ大会以来となる、僕らレーシングプロジェクトバンドウにとって実に53戦ぶりの優勝でした。2016年といえば、ドライバーは関口雄飛選手と国本雄資選手のふたりでしたね。

 2016年のタイでの勝利はGT500に参戦を開始してから6年目の勝利でした。国本選手にとってはチーム加入初年度、関口選手にとっては加入3年目でつかんだレーシングプロジェクトバンドウのGT500初優勝。マシン、タイヤともに相性のいいチャン・インターナショナル・サーキットでのポール・トゥ・ウインで、僕も泣きました。

 GT500では長年苦労が続いたレーシングプロジェクトバンドウ、ウェッズスポーツ、ヨコハマタイヤにとって、ようやく長いトンネルの出口が見えたと、タイでの勝利はそう感じさせる1勝でした。しかしその後は、レクサスRC FからレクサスLC500、LC500からトヨタGRスープラと、マシンが変わるたびにクルマとタイヤのマッチングと開発に時間がかかりました。それで結果に結びつかないレースが続くこととなり、僕はGT500の世界の厳しさを改めて痛感することになります。

 2017年、マシンはLC500に変わりました。ドライバーは関口選手と国本選手のコンビを続投。第2戦富士では国本選手の代役として当時若手の山下健太選手、第6戦鈴鹿1000キロでは小林可夢偉選手のGT500デビューを実現したり。ただ、連覇を狙ったタイではまさかの大失速で12位。このシーズンの最高位は第6戦鈴鹿1000キロでの4位と、表彰台すら獲得できずにシーズンを終えることとなりました。

 続く2018年は、関口選手がトムスに移籍したことを受け、前年に国本選手の代役も務めた山下選手を起用。すると、得意のタイとオートポリスで3位表彰台を獲得しました。着実にチームとしてもヨコハマタイヤとしても進化を示すことができたシーズンでしたが優勝には届かず。シリーズも11位という結果でした。

 2019年は山下選手に代わり坪井翔選手を起用。国本選手にとっては毎年のように相方が変わる難しい状況のなか、なんとかタイでは3位表彰台を獲得できました。しかし、その他のレースでは思うような結果を残せず、シリーズ順位は11位。一方で前年19号車をドライブした山下は、6号車WAKO’S 4CR LC500への移籍初年度でシリーズタイトルを獲得と、対照的なシーズンとなってしまいました。

 2020年と2021年には、坪井選手に代わって宮田莉朋選手を起用。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、得意のタイを含む海外レースが開催されず。GRスープラ初年度となった2020年は表彰台はおろか、最高位は第5戦富士での7位が精いっぱい。シリーズ順位も10位と苦しいシーズンに。

 2021年は国本選手と宮田選手のコンビでの2年目のシーズンとなりましたが、着実に進化をみせ、第4戦および第7戦のもてぎ大会において2位を獲得。シーズン中ポールポジションも2回獲得し、あと一歩という雰囲気はただようものの、この年も優勝はできず、結果的にシーズンも11位で終えました。

 2022年には宮田選手に代わって阪口晴南選手が加入。するとチームは快進撃を見せ、阪口選手が3回、国本選手が1回と計4回のポールポジションを獲得しました。しかし、決勝レースでは苦戦を強いられることが続きました。主にタイヤのウォームアップ面で課題を抱え、最高位は鈴鹿とオートポリスでの5位に……。

 期待を込めて臨んだシーズンでも満足のいくような結果は残せず。ただ、それまではシーズン最多ポールポジション獲得数は2回でしたが、2022年は4回と、確実にヨコハマタイヤの一発の速さを他チームへと知らしめたシーズンであったことは間違いないと考えています。

■このチームで勝ちたかった

 今年こそ2016年以来の勝利をと臨んだ2023年。大荒れとなった開幕戦岡山は9位に入賞も、第2戦富士ではセットアップに苦しみ12位に沈むことに。前回のコラムにも書きましたが、第2戦富士では36号車au TOM’S GR Supraにはラップダウンされ、すごく悔しかったです。しかし、同じヨコハマタイヤを履く24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zはレース終盤においても強さを発揮していました。

 そして迎えた第3戦鈴鹿では予選2番手を獲得。決勝でもスタートから好ペースを刻み続け、1回目のピットストップで36号車を逆転。その後ピットタイミングに応じて順位を下げる場面はあるものの、安定したペースで周回を続けました。

 残り17周という場面で大クラッシュが発生し、赤旗をもってレース終了となってしまうものの、首位を走っていた3号車Niterra MOTUL Zのピット義務消化違反によって19号車が優勝。実に6年238日(2429日)ぶり、53戦ぶりにつかんだ優勝、そして国内レースでは初めての優勝でした。

 また、国本加入から60戦目でもありましたし、実はレーシングプロジェクトバンドウのGT500参戦からちょうど100戦目(特別戦を除く)という節目でつかんだ優勝でもありました。苦しい時期が長かっただけに、何かのめぐりあわせを感じる、そんな優勝でした。

 ちなみに、そのほかにも『スーパーGTで一番長くヨコハマタイヤと戦ってるのは19号車(202戦)』とか『僕が監督になって133戦目』とか、『ウェッズカラーになって196戦目』とか、『チーム通算2勝目(織戸学さんも2勝だから並んだ!)』とか、記録を上げればキリがないです。

 レースの方は、国本選手の力走に始まり、阪口選手のアウトラップの速さ、阪口選手による2回目のピットインに入るタイミングの判断、チームのピット作業もミスなしと、ドライバー、エンジニア、メカニックをはじめとするチーム全員がミスなく、素晴らしい仕事をしました。

 もちろん、最終スティントで36号車の宮田選手がかなりハイペースで追い上げてきたので、残り10周は阪口選手と直接宮田選手の対決になると思いましたし、そこが第3戦鈴鹿の最大の見せ場になっていたのではないかとも思います。しかし……あの重い36号車(SW:40kg)が、軽い19号車(SW:4kg)以上のハイペースで迫ってくるというのもすごいですよね。

 まだ課題はありますが、素晴らしいタイヤを用意してくれたヨコハマタイヤ、セットアップを考えてくれた中山将エンジニア(彼にとっては初優勝ですよ)、サポートしてくれたTCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)、ミスなく、そして作業が速かったメカニック、スタッフ、ノーミスでずっとタイヤマネジメントとプッシュをしてくれた両ドライバーに感謝申し上げます。

 みなさまにヨコハマタイヤの進化をお伝えする事ができたこと、チャレンジしているヨコハマタイヤの姿をみなさまに結果でお伝えすることができたこと、それが一番嬉しいです。

 決勝は、途中終了となりましたが、ひとまずホッとしています。実は予選Q2でヘアピンとシケインでブレーキロックがありました。あれがなければ、24号車と同等のタイムは出せたかもしれません。いろいろな部分がぶっつけの予選でしたが、ポールポジション獲得で得られる1ポイントは欲しかったですね。でも、予選での1ポイントを悔しがることも、チームの求めてる結果が高くなっている証であり、成長の証だと思っています。

 中山エンジニアになって2年目、坂井正樹チーフメカになって2年目、佐野修平工場長になって2年目。新人スタッフと3年目のマネージャー、今年入ってきた新人とベテラン外注メカニックさん3人をはじめとする、このチームで勝ちたかった。僕は2回目だけど、初めて優勝を経験した人もいたので、いろいろな人の成長にもレースは役立っているのだと改めて認識しました。

 ものづくりは人づくり。まだまだ課題はありますが、引き続きシリーズタイトル獲得を目指して頑張ります。まだ今年も3戦しか終わっていないですからね。

 今回の優勝により、シリーズランキングは4位にあがりました。第4戦富士はサクセスウエイトを44kg積むことになりますが、50kgには満たないので燃料リストリクターの流量制限はまだ経験がないのです。ちなみに、実は19号車は燃料リストリクターの流量制限をまだ1度も経験したことがないのです。恥ずかしい……。

 さて、次戦となる第4戦富士は8月5~6日開催と、このコラムが掲載されてからも1カ月以上先となります。7月には富士と鈴鹿でテストもやるので、本命予想を立てるのは難しいところですが、GT500クラスは1号車MARELLI IMPUL Z(SW:36kg)、17号車Astemo NSX-GT(SW:34kg)、19号車(SW:44kg)、24号車(SW:6kg)、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(SW:12kg)と予想します。

 2連勝したいなぁ……。ちなみに、第3戦鈴鹿の24号車も、予選タイム抹消とならずもしポールからスタートしていれば、かなりの確率で勝てたと思っています。

 GT300クラスは、10号車PONOS GAINER GT-R(SW:27kg)、11号車GAINER TANAX GT-R(SW:18kg)、31号車apr LC500h GT(SW:9kg)、88号車JLOC ランボルギーニ GT3(SW: 15kg)、244号車HACHI-ICHI GR Supra GT(SW:33kg)と予想します。次の富士も是非、サーキットへお越しください。

 また、宣伝になりますが、レーシングプロジェクトバンドウのオンラインショップ、もしくは東京都町田市にある僕がオーナーのお店ガレージ19では優勝記念キャンペーンをやっています。ポスターなどもプレゼントしますので、是非一度オンラインショップも見てくださいね(限定商品残りわずか!)。

 僕はモータースポーツを通じて、諦めないことの素晴らしさ、挑戦をすることの素晴らしさ、文句を言わないことの素晴らしさ、信じることの素晴らしさを伝えたいと願っています。今後もモータースポーツ業界が盛り上がるように19号車は挑み続けます。この度はたくさんの応援、本当にありがとうございました。

 最後に、第3戦鈴鹿で大クラッシュに見舞われた23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生選手、お大事にしてくださいね。ゆっくりリハビリしていただいて、またサーキットで会いましょう!

 では、また次回! 2勝目を獲得した青年実業家より

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  • 勝ったらおもり積まれるから、遅くてもいずれは勝てる構図がつまらん
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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