好調な北米市場
マツダから8月7日に今期第1四半期のリザルトが発表された。
販売数は前年同期と変わりはなかったが、連結売上高は対前年11%増で第1四半期として過去最高を記録し、営業利益も対前年68%増と好調ぶりをみせた。まずは販売台数から見てゆく。
2022年に始まったマツダの「ラージ商品群」は、環境負荷低減と顧客の上級志向を満たす内容を備える収益性の高い大型SUVを指す。第1弾としてCX-60、続いてCX-90、CX-70、CX-80の合計4車種が展開され、その効果が北米市場での販売台数に現れている。
グローバルの販売台数は、前年と同水準となる30万9千台に留まった。日本市場はCX-8の販売終了やCX-60の新車効果が弱まり、新型への過渡期となったため、販売台数は対前年で-31%となる2万9000台に減少している。
一方で北米市場はラージ商品群が好調で、第1四半期として過去最高となる14万6000台の販売台数を記録。さらに第1四半期として過去最高のシェアを達成する好調なセールスを見せた。
この結果は昨年7月に2直操業を開始した米国アラバマ工場と、メキシコ工場の稼働が改善され、北米市場で過去最大となる販売台数の記録に貢献した。
このほか欧州市場も好調で、対前年12%増となる4万9000台を記録した。一方で急速に電動化が進む中国市場では、内燃エンジン搭載車の競争激化により対前年-9%の1万8000台に留まった。
ASEANを含むその他の市場では、ベトナムが対前年+16%と好調だったが、マレーシアが-18%、タイは-50%と減少し、全体で対前年-10%となる6万7000台だった。
過去最高の収益を記録
第1四半期の連結売上高は対前年11%増となる1兆2056億円で、第1四半期として過去最高の記録を打ち立てた。営業利益は対前年68%増の504億円で、親会社株主に帰属する当期純利益は対前年34%増の498億円となる。
ラージ商品などを中心とした連結出荷台数の増加が収益改善に寄与し、33億円の増益を実現する要因となった。
販売奨励金の増加により351億円のマイナスだったが、円安で為替レートが18%上がり439億円の増益となった。これにより最終結果は好転し、対前年で増収増益を達成した。
このほか、原材料、物流費、鉄鋼などの材料の上昇に加え、調達部品のエネルギーコストや人件費の増加などにより78億円の減益要因となった。しかしコスト改善で38億円増益、固定費他で123億円の増益を果たしたことが好結果に貢献した。
今年度の展望は
決算報告の場で、今期のニューモデルの展開と投入について述べられた。
北米市場では、CX-70に加え2024年後半にはCX-50ハイブリッドモデルを導入し、北米市場として初の年間60万台の販売を目指すという。このほか日本市場と欧州市場に今季CX-80を導入し、ラージ商品全4車種がグローバルで揃うことになる。
ラージ商品は前年の約2倍となる約20万台を販売する見通しで、今期はグローバルで140万台の販売を予定している。
決算説明会ではSUVの「ラージ商品群」のみが紹介されたが、マツダはこのほかクルマ好きに向けたロードスターの存在を忘れてはならない。
1989年のデビュー以来世界中で支持され、2人乗り小型オープン・スポーツカーとして異例となる120万台以上が生産された。
ロードスターは現行のND系で4代目となる。現在も熟成を続け、2024年1月からのマイナーチェンジ版では、走りを楽しむクルマだけに、アシンメトリックLSDやDSCトラックといった走行安定性を高める装備が追加されたのは、ロードスターを育ててきたマツダならではの改良だ。
マツダはファンに向けた「マツダ・ファン・フェスタ」を以前から開催しており、2024年は4月の菅生に続き10月に富士スピードウェイ、11月は岡山で開かれる。ファンを楽しませるイベントを用意するところに、マツダのクルマ造りに対する愛情が感じられる。こうした地道な心配りがブランドを躍進させる要因といえよう。
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