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自家用車にも納得の能力 フォード・レンジャー・ストームトラックへ試乗

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自家用車にも納得の能力 フォード・レンジャー・ストームトラックへ試乗

英国の市場シェアは42%を占める

現行のP375型フォード・レンジャーは、発売から12年目を迎えた。モデルチェンジが控えているが、その最後まで、英国で最も売れているピックアップトラックの地位を譲ることはなかった。

【画像】フォード・レンジャー・ストームトラック 日本メーカーとジープのピックアップも 全121枚

2021年、レンジャーが英国で売れた台数は1万7830台。ピックアップトラックのシェアでは42%にも達する。日産ナバラに三菱L200、フォルクスワーゲン・アマロックの販売が終了したという理由もあるが、感心するほどの割合だ。

ちなみに、英国では商用バンのトランジットも、そのクラスでは最も多売。フォードにとっては、悪くない2021年だったといえる。

そんな現行型のラストを締めくくるべく、英国フォードはレンジャーに特別仕様を4種類用意した。MS-RTリミテッドにラプター・スペシャル、ストームトラック、ウルフトラックという名称が付けられている。

フォードによれば、ウルフトラックは優れた快適性と使い勝手、オフロード性能を求める、屋外での作業に従事する人へ向けたタフなピックアップトラックだという。そんな条件にぴったり、という読者もいらっしゃるだろう。

一方のストームトラックは、アクティブな仕事やライフスタイルをサポートする、突出した能力と装備、個性的なスタイリングを備えたプレミアム・ピックアップだと説明している。今回の試乗車は、こちらだ。

強みと呼べるドライビング体験

売り文句は置いておいて、ウルフトラックは基本的にはレンジャー XLTがベース。アクセサリーを取り付けられるパイプが、荷室に搭載されている。見た目は、グレーの塗装にマットブラックのグリル、17インチアルミホイールなどでコーディネートしてある。

他方、ストームトラックは特別なレッド塗装で仕上げられたダブルキャブ。フロントグリルに赤いアクセントが入り、LEDヘッドライトにボディキット、トノカバーやブラックのリアバンパー、ステッカーなどで差別化が図られている。

レンジャーが英国で人気を保ってきた理由の1つは、手頃な価格設定と、フォードから購入する上でのメリットなどがあった。だがそれだけではなく、ドライビング体験も強みと呼べるものだった。

カタチはピックアップトラックだが、実際に運転した印象は、少し古い大きなSUV。乗り心地と操縦性が、明らかにライバルより優れている。ハンドリングに定評のあるフォードとして、レンジャーにもしっかり力が注がれている。

荷台が空の状態では、重量配分がフロント寄りになり、リアが跳ねて落ち着きがなくなる。しかし荷物を積んだり人を乗せれば、簡単に改善する。

エンジンは商用車的な2.0L 4気筒ディーゼルターボだから、正直いって静かではない。それでも荷物が満載でない限り、充分パワフルに感じられる。カタログ燃費は10.6km/Lとされている。

たくましい動力性能で向かうところ敵なし

ストームトラックに載るエンジンのチューニングは、基本的にパフォーマンス重視のレンジャー・ラプターと同じもの。最高出力213psと、最大トルク50.9kg-mを発揮する。さらに、トルクバンドを上手に使える10速ATも組み合わされている。

四輪駆動車らしく、ローレンジとハイレンジも備わる。ドライブトレインからのノイズが大きくなり、燃費は悪くなるものの、オンロードでの安定性やオフロードでの走破性を引き上げることが可能だ。

今回の試乗では、ストームトラックの能力を完全には確かめられなかったが、レンジャー・ラプターの向かうところ敵なし的な、優れた能力は以前に体験済み。真冬の英国郊外など、まったく意に介さない環境だといえる。

たくましい動力性能のおかげで、最大積載量は1.0t。最大3.5tまでのブレーキ付きトレーラーを牽引することもできる。広い荷台には、ロープを掛けられるフックが随所に用意され、荷物の固定で悩む心配もない。

堅牢そうなプラスティック製ライナーも装備され、綺麗なレッド塗装を傷つける心配もナシ。ただし、荷室の後端とキャビンの窓下付近はボディが露出しているから、積み下ろし時は気を付けた方が良いだろう。

自家用車として選ぶ理由も理解できる

ダブルキャブの車内には、フォード・フォーカスと同程度の空間がある。リアシートにも、身長の高い大人が問題なく座れる。内装は、レンジャー・ラプター譲りのレザーと丈夫なファブリックが用いられ、スタイリッシュに仕上がっていた。

ダッシュボードは、12年前の発売という時間の経過を隠せない。中央のタッチモニターは小さく、メーターパネルは近年では少なくなったアナログだ。とはいえ、運転に支障はまったくない。

インフォテインメントのOSは最新バージョンだし、直感的に操作できる。期待通りの機能も実装されている。エアコンの操作パネルはアナログで使いやすい。次期型では、縦に長いタッチモニターへ集約されるそうだ。

フォード・レンジャーは、パワフルなエンジンに優れたシャシー、秀でたオフロード性能、装備が充実した広々とした車内に、大きな荷物でも困らない荷台が備わる。エアロクラス社製のキャノピーを載せれば、巨大なフリー空間も作れる。

少なくない英国人が、ピックアップトラックを自家用車として選ぶ理由も理解できる。そして、沢山の荷物を積んでアウトドア・レジャーを楽しんでいる。

能力に長けたモデルなだけに、お値段が気になるところ。モデル末期の限定仕様ということで、ベース車両から600ポンド(約9万円)だけの追加で、ストームトラックが手に入るという。

見た目はカッコいいし、運転した印象も良い。現行型を検討しているなら、逃さない理由はないかもしれない。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)のスペック

価格:3万4886ポンド(約540万円)
全長:5363mm
全幅:2083mm
全高:1873mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:9.0秒
燃費:10.9km/L
CO2排出量:241g/km
車両重量:2246kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:213ps/3500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1750-2000rpm
ギアボックス:10速オートマティック

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