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【ガソリン車に並ぶ選択肢】フォルクスワーゲンID.3へ試乗 58kWhで420km 後編

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【ガソリン車に並ぶ選択肢】フォルクスワーゲンID.3へ試乗 58kWhで420km 後編

瞬間的に解き放たれるモーターのトルク

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】ID.3 8代目ゴルフと比較 リーフも 全106枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


純EVのフォルクスワーゲンID.3は、アクセルペダルを軽く踏むだけで、力強い加速が得られる。とてもシャープな反応で、1720kgより車重は軽く感じられるほど。203psの数字以上に、強力な発進加速と中間加速を披露する。

ゴルフGTIと同等の加速性能だというが、0-100km/h加速の時間は未公表。最高速度は160km/hに制限されている。

瞬間的に解き放たれる電気モーターの最大トルクが、動的性能の個性を形成している。固定レシオのトランスミッションが組み合わさり、加速感は極めてリニア。高速道路の速度域まで、加速度は衰えない。

この速度を超えた辺りから、タイヤの転がり抵抗と空気抵抗が増していく。電気自動車にとっては、挑戦的な領域だといえる。

ドライブ・モードでアクセルペダルを放すと、抵抗を感じることなく惰性で進む。従来のクルマでは届かなかったような距離をスルスルと進む。さらにスイッチレバーを回しバッテリー・モードを選ぶと、回生ブレーキが効き、運動エネルギーを電気エネルギーとして蓄えられる。

回生ブレーキは力強く、ブレーキペダルを踏む必要はほとんどない。ブレーキペダルを踏んだ感触は一貫性に優れ、踏み込み量の調整はしやすく、不安感もない。

運転するほどに、ID.3の洗練度の高さが見えてくる。駆動系統からの音は、ほぼない。タイヤノイズや風切り音が相対的に目立ってしまうものの、どちらも充分に小さい。突出した上質感が味わえる。

最新の8代目ゴルフより運転しやすい

ID.3が土台とする純EV用プラットフォーム、MEBの強みに、フロント周りの自由度がある。モーターがリアに搭載され、最小回転直径10.2mという小回りを実現している。

ダイナミクス特性にも影響は大きい。高い次元での直感的な操縦性を確保しつつ、扱いやすさも備える。エコ、コンフォート、スポーツ、インディビジュアルのドライブ・モードすべてで同様。近似する価格帯の純EVの中では、ベストといえるだろう。

最新のゴルフより、ID.3は運転がしやすい。狭い道でもキビキビと活発に走り、小さな駐車スペースにもするりと回り込んで停められる。

高速道路でも予想通り、まとまりのあるマナーに仕上がっている。リアモーターの影響で、押し出されるような感覚があり、走行時のバランスがとても高い。

バッテリーは平坦なフロアに収められている。重心が内燃エンジンを積むハッチバックより、はるかに低いことも有利。車重は1700kgを超えるものの、しっかりとした減衰力を持つ足回りが、ボディロールを抑え込んでいる。

後輪へ伝わる太いトルクが鋭い瞬発力を与え、トラクションも素晴らしい。ステアリングフィールを崩すことなく、タイトコーナーから勢いよく加速できる。

ステアリングは電動アシストの可変レシオで、低速域での操舵感は軽く扱いやすい。速度の上昇に合わせて重みも適度に増していき、高速域ではどっしりした手応えになる。

電動パワーステアリングの中には、よりダイレクト感があり、機敏な特性を持つものもある。ID.3はセルフ・センタリングが強く、フィードバックが豊かだ。

訴求力の高い純EVの登場

標準のID.3は、固定式のダンパーに、18インチホイールの組み合わせ。試乗車はオプションも満載で、アダプティブダンパーに20インチホイールを履いていた。減衰力も反発力も強いようだったが、設定は悪くなく感じた。

タイヤは215/45サイズのコンチネンタル・エココンタクトだった。

総じて、フォルクスワーゲンID.3を選びたくなる理由は沢山ある。時間をかけて充電しなければ走れないことに変わりはないが、検討候補に加えたいモデルには違いない。

試乗した58kWhの容量を持つバッテリーの場合、AC充電器では11kWまで、DC充電器では100kWまでの容量で充電できる。フォルクスワーゲンによれば、DC充電器なら最短30分で、289kmぶんの充電が可能だという。

さらに大容量のバッテリーを搭載するID.3には、直流で125kWまでの受電に対応。充電時間はさらに短くなる。

ハッチバックとしての利便性や航続距離など、日常的な運転で求められる条件は、充電設備さえ整えれば充分満たしている。さらにID.3は、出色の運転のしやすさと上質な乗り心地を備え、素晴らしいドライビング体験も味わえる。

良く煮詰められた、典型的なフォルクスワーゲン製モデルに仕上がった。優れた技術力が魅力のコアを作る、訴求力の高い純EVの登場だ。

フォルクスワーゲンID.3(欧州仕様)のスペック

価格:3万3000ポンド(435万円/英国政府補助金適用後)
全長:4261mm
全幅:1809mm
全高:1552mm
最高速度:160km/h(リミッター)
0-100km/h加速:-
航続距離:420km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1650kg
パワートレイン:同期電気モーター
バッテリー:58kWh
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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みんなのコメント

2件
  • 固定レシオをトランスミッションと呼ぶのが適当なのか、転がり抵抗って速度でそんな変わったっけ?などとも思うが、58kwで420kmはすごいな。ミニキャブミーブが10KWで100kmだから、重くて速くなった割に7割程度は走るんだから(皮肉
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