フォーミュラEはこれまで、ドライバーがレース中に充電のためピットストップを行なうというコンセプトを模索してきた。最近ではテストを行なうなど実現に近付いていたが、ついに2024-2025シーズンから採用されることがmotorsport.comの調べで分かった。
『ピットブースト』と呼ばれる新しいコンセプトは、ピットでGen3 Evoのマシンが10%のバッテリー充電を行なうというもの。充電は600kWで時間は30秒と予想されている。この技術は2年間開発が続けられたが、ついにゴーサインが出された。
■フォーミュラE東京E-Prix、2025年はトワイライトレースの可能性も!? 将来の姿はどうなるのか
これは当初、Gen3初年度の2022年に導入されることが期待されていたが、信頼性や安全性への懸念により、FIAとフォーミュラE側が納得して使用できる状態に漕ぎ着けるまでに時間がかかった。そして先月のプレシーズンテストではピットブーストのテストが行なわれ、各種データが分析された。
そしてこのコンセプトは承認された結果、2024-2025シーズンのダブルヘッダーの週末で実施されるという。フォーミュラEは同じ開催地で2レースを開催するフォーマットが多いが、その中で戦略を多様化させることが期待される。同シーズンはジェッダ、モナコ、東京、上海、ベルリン、ロンドンの6大会が2レース制となっているため、5月には日本でも画期的な急速充電が見られることになりそうだ。
ピットブーストは既に現行のスポーティングレギュレーションの一部として盛り込まれているが、来週のFIA世界モータースポーツ評議会において、新技術とアタックモードの併用方法について規則の微調整が行なわれる予定だという。
アタックモードでは350kWの追加パワーに加え、今季から4輪駆動も使えるようになるが、ピットブーストの登場でレースにさらなる戦略的要素が加わることになる。ただドライバーからは、セーフティカーのタイミングが悪いと有利不利が出てくるとの指摘もある。
2023-2024シーズンのチャンピオンであるパスカル・ウェーレインは、次のように語った。
「全車が同時にピットインすることはできない。1チームあたり1台しか入れないんだ」
「例えば、フィールドの半分……つまり11台が15周目に入り、残りが18周目あたりに入るとして、その間にセーフティカーが出たりすると、セカンドグループに大きなアドバンテージとなる」
「それはひとりやふたりが得をするという話ではない。トップを走っていたドライバーが、セーフティカーのタイミングが不運だったというだけでポイント圏外まで落ちてしまうことも十分あり得るんだ」
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