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自動運転レベル4の公共移動バスは2019年に始動@ドイツ・フリードリッヒスハーヘンとアーヘン

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自動運転レベル4の公共移動バスは2019年に始動@ドイツ・フリードリッヒスハーヘンとアーヘン

【ハノーバー商用車ショー(IAA CV)2018 見聞録】

これまでハノーバー商用車ショーの関連記事では、物流の世界、つまり商売としてモビリティに関わる社会では、電動化やコネクテッド、自動運転がどのような関心事であり、今後はどうしていくのか?ということに対し、各社の動向を見てきた。ここではより具体的にTier1の世界ではナンバー2とも言われるZFの動きを覗いてみたい。

エンジンに高出力だけを求める時代は終わっている最新のガソリンエンジン

メディア向けプレゼンテーションはCEOのウルフ=へニング・シャイダー氏が行なったが、その直後にテーブルインタビューの機会があり、ZFのトップが語った具体的な話をお伝えしよう。

シャイダー氏は冒頭、ZFの強みとして他社にはない魅力は、制御技術を含めた各種のトランスミッション、シャシー技術があることに加え、センシング技術を使った総合安全ポートフォリオがあり、一方で電動化技術、ソリューションの提供が可能であると。さらにEーモビリティ、自動運転に関わる技術、モノを持っていることだと説明している。

ーーシャイダーCEO
「われわれは、ADASにおいて、技術やシステムをそれぞれで提供することもできるし、統合したセットとした技術でも提供できることができます。また、それら要求に対するフレキシビリティとアクションの速さというのも強みだと考えています。提供できるエリアには乗用、商用はもちろん、建設機器や農業機器類にまで幅広いエリアを持っていることだと考えています」

ZFでは将来のモビリティに対し「see think act」という用語で説明しているように、see=障害物の検知という意味もあるが、情報を集めていくことも含んだ表現だ。そしてthinkは文字通り考えることであるが、センサーで得た情報に対して、どう動かしていくのかを考える、つまりアルゴリズムを作り出すAI技術を意味している。それらの情報から最後はact、アクションするということであり、ハンドルを切ったり、加減速をしたりというハード部品を動かすソリューションと技術を持っているということになる。シャイダー氏は、これら3つの分野をばら売りにもできるし、セット販売もできるのが特徴だと言っているわけだ。


ーーシャイダーCEO
「商用車へ提供するものは、モノを運んでお金を産み出す、商売につながらないと意味がないわけで、そこが乗用車とは大きく異なる点です。そのために、TraXonというハイブリッドトランスミッションであれば、効率がよく45%もの省燃費、つまりCO2削減に貢献できます。ZFは建設機器も含め、乗用、商用などプロダクトポートフォリオが広く準備でき、ビジネスの役に立つソリューションの提供ができます」

しかしながら、時代の流れは速く、かつてのような開発期間を掛けて研究開発ができるわけではなくなってきている。

ーーシャイダーCEO
「変化が速くなっているのは事実で、CEOが変わった中で、これまでの戦略で合っているのか? 自分たちの戦略がマーケットニーズに合致しているのか?という見直しは、以前は例えば1年に1回だったものが半年に1回という頻度になっています。そうしなければ、マーケットから取り残されてしまうからです」

こうした研究開発で将来のモビリティに向けての実証実験も準備しているようだ。


ーーシャイダーCEO
「来年2019年には公共移動のためのバスを使って自動運転の実験をやります。場所はフリードリッヒスハーヘンとアーヘンで始めます。また、Innovation Vanでは物流企業との提携も来年発表予定しています」ということだ。Innovation VanとはZFが提案する物流システムを具現化したもので、コネクテッドを活用し、自動運転を組み込んだ宅配システムのコンセプトモデルだ。


ZFソリューション

ZFの展示ブースでは先ほど説明した「see think act」を実践するための機器が展示もされていた。一部をご紹介すると、「see」の部分はセンサー類でデュアルレンズカメラ、レーダー、LiDER(IBEO社)が展示され、ワールドプレミアのソリッドステートタイプのLiDERだった。

「think」では、NVIDEA社と共同で開発しているAIが展示され、ワールドプレミアの「ZF ProAI」の新バージョンがあった。やはり、AI技術はこの先も重要な位置づけであることは間違いなく、smart logisticsには欠かせないものになっている。カメラやレーダーなどでセンシングされたデータをこのZF ProAIで解析し、シャシーをコントロールしていくわけだ。

電動系ではモーターの展示物もあった。CeTraxは大型バス用のモーターユニットで連接バスもこのモーター1基で対応できるという。最大300kWの出力があり、1段減速しているモーターだ。最高速で80~90km/hは問題なく、日本で言えば路線バスに最適な電動モーターということだ。

CeTraxライトはワールドプレミアで、乗用車用のモーターを商用車用に改良したもので、150kWの出力で4トントラックまで対応できるという。こちらはミッドライト・トラック用でモーターの2基掛けになっている。その上には300kWのCeTraxがあるというラインアップだ。

そしてクリアボディで造られたトラックヘッドには、レベル2の運転支援技術の高度化を展示したもので、トレーラーなど通常のトラックより死角が多いいトラックでも、レーダーセンシングでミラーの死角にいる車両はもちろん、人や自転車を検知できるセンサーを搭載している。またフロントにはセンシング角、高さのことなるタイプのレーダーを展示し、死角ゼロを目指すための装置を展示していた。

また、これらのセンサー類を搭載し、進化型としてZFが提案しているでは、大型トラックに対しては、限定的なエリアにおいて、レベル4での自律走行をし、トレーラー部の牽引を自動で行なうような提案をしている。つまり、トラックヤードなどに到着したトレーラーは、ドライバー不在の状態でも、トラックヘッドが自律運転され、牽引するトレーラーの入れ替えを自動で行なっておく、ということも想定できるシステムだ。 


Level 4 のInnovation Vanについて

イノベーションバンは、今後の配送需要増加に対応するためのスタディモデルで、配送トラック自身が駐車スペースを見つけ、自律走行機能を持ち、宅配業務が効率的にできるモデルだ。そしてEV化されゼロ・エミッションであり、騒音も軽減される。また、宅配業者と顧客の間では繋がることで、リアルタイムで通信され、もっとも効率的は配送ルートを算出しながら、いつ、どこで受け取るかを決めることができるシステムだ。


システムはカメラ、レーダー、LiDERセンサーで構成され、自動運転レベル4を想定したシステムとしており、ドライバーの労働軽減をはじめ、無事故、ゼロ・エミッションそして高効率な作業環境になると位置づけている。
 

e.GO mover

e.GO moverは「e.GO mover Mobile AG」とZFとの共同研究で開発された、都市部で自動運転される電動バスのコンセプトモデルだ。2017年にすでに発表しているe.GO moverは2021年までにレベル4を実現し、2019年には400人を、2020年に3000人、そして2021年に1万5000人を移動させる計画としている。

e.GO moverは高さ2.5m、幅1950mmの15人乗りのバスで、レンジエクステンダーも可能とした公共交通移動システムだ。サービスは独立したモバイルプロバイダーに接続することで、旧来のバス停に縛られることなく利用できる。このe.GO moverは2019年からの市場導入が予定されており、シャイダーCEOがインタビューで説明していた自動運転バスの実証実験をフリードリッヒスハーヘンとアーヘンで予定されている。

システムは言うまでもなくZFのセンサー、ZF Pro AI、そして電気モーター、アクスル、ブレーキ、ステアリングシステムなどのシャシー技術を搭載している。

ドイツの商用車ショーで見聞した事実として、こうした具体的なモノとシステム、考え方がすでにまとまっており、実際に動き始めているということも刺激的である。また、長距離、短距離、ハブステーション間での物流についてはコネクテッドの専門家であり、ZFの開発責任者にインタビューしているので、そちらを次回はレポートしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
 
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