見た目はいかにもなスポーツカーでありながら、中身を見るとちょっと違う!? 今回はそんな“なんちゃってスポーツカー”にスポットを当て、スポーツカーとは言いきれないけど独特の魅力を持った6モデルを紹介していきたい。もちろん異議は認める。でも、やっぱりコレってなんちゃってスポーツカーじゃないかな?
文/長谷川 敦、写真/フォルクスワーゲン、ホンダ、日産、FavCars.com
「なんちゃってスポーツカー」なんて言わせない!! 独特のユルさが魅力だった愛すべきクルマ6選
そもそもスポーツカーに定義はあるのか?
これがスポーツカーの典型的なスタイル。写真はロータス エスプリだが、実はこのクルマもなんちゃってスポーツカーの候補のひとつになっていたりする
ルックスはごくフツーのロードカーなのにもかかわらず、実は高出力エンジンを搭載していたり、レースカー並みの足回りを装備していたりするクルマを「羊の皮を被った狼」などと呼ぶことがある。その反対に、車高が低くていわゆるスポーツカールックなのに、実際にはそこまでスポーティでないクルマも存在する。
だが、ここで注目したいのは、スポーツカーという呼称に厳密な定義はあるのかということ。結論から言うとそれはない。つまり、オーナーやメーカーがそのクルマをスポーツカーと呼べば、それは立派なスポーツカーなのだ。とはいえ、それではこの記事の根幹が揺らいでしまうので、まずは最大公約数的なスポーツカーのイメージを考えていこう。
スポーツカーの要素でもっとも重要なのがスポーツ走行に適したクルマであるということ。単なる移動や荷物運搬の手段としてではなく、ドライブすることを第一に作られたクルマがスポーツカーと言えるはず。
そしてルックスもまた重要なポイントだ、車高はできるだけ低く、座席数は少ないほうがスポーツカーらしい。誰もセダンやミニバン、SUVのことをスポーツカーと呼ばないことからもそれがわかる。エンジンが高出力であることは必須ではないが、やはりパワーがあればスポーツカー的要素はグッと濃くなり、車重も軽いにこしたことはない。
今回は上記の要素を満たしたクルマをスポーツカーと定義したい。だから“なんちゃってスポーツカー”はこれらの要素のなかから何かが欠けてしまっていることになる。もちろんそれがメーカーの意図したものであってもだ。ここまで考えたうえで、実際にどんなクルマがなんちゃってスポーツカーなのかを探っていく。
“ちょっと惜しい”…でも愛されてたスポーツモデル3車
●三菱 FTO
1994年発売の三菱 FTO。ミラージュベースではあるが、デザインはかなり異なっているのがわかる。1990年に登場したGTOの弟車とも言える位置付けのモデル
三菱自動車が1994年に発売したFFスペシャリティカーがFTO。先に登場していた4WDモデルのGTOの弟分的存在として誕生し、そのルックスもGTO譲りのものだった。ここで言いたいのは、FTOがFFだったからスポーツカーじゃないということではない。FFでもスポーツカーと呼ぶにふさわしいクルマは多数存在している。
FTOの基本コンポーネンツは同社のミラージュから流用されていて、エンジンは1.8リッター直4と2.0リッターV6を搭載。コンパクトなボディにV6エンジンの組み合わせはいかにもスポーツカーといったところだが、このV6は少々重く、後期には200ps仕様も登場するものの、いささかパワー不足気味ではあった。
エンジンが重いこともあって足回りは硬めにチューンされ、これが旋回性能の高さにもつながった。しかし、やはりFTOの立ち位置は中途半端な感はあり、どちらかと言うと、スポーツカーではなく当時流行っていたデートカー的な扱いを受けていた。クルマとしての出来も悪くはなかったが、販売成績を伸ばせず、2000年に1代限りでの歴史を終えている。
●ホンダ プレリュード
シリーズで初めてリトラクタブルヘッドライトを採用した2代目ホンダ プレリュード。車高が低くスマートなシルエットが女性もウケてデートカーとして活躍した
プレリュードはホンダが1978年にリリースしたFFクーペ。2001年にシリーズ終了を迎えるまで5世代のモデルが登場しているが、なかでもリトラクタブルヘッドライトを採用した2&3代目はスポーツカーと呼んでも問題なさそうなルックスだった。
FFでありながら可能な限りフロントを低くデザインし、当時の流行でもあったリトラクタブルヘッドライトが精悍なイメージに見せることに成功していた。
プレリュードの2&3代目の現役期間は1982~1991年だったが、この時期にはドライブすることを重視したスポーツカーよりもデートカーへの需要が大きく、実際、プレリュードもそうした要素を含むスペシャルティカーとして存在していた。
操縦性はクイックで、3代目では量産車世界初の4WD(4輪操舵)システムが採用されるなど、走りの面でも内容の濃いクルマと言えたが、スポーツカーと言いきるには少々微妙なラインにある存在だった。
●ロータス エスプリ(初期型)
イタリアのデザイナーが手がけたこともあり、それまでのロータス車とは一線を画すスタイルを持つエスプリ。スポーツカーとしての条件は満たしていたのだが……
イギリスの名門ロータスと言えば、クルマ好きにとっては間違いなくスポーツカーメーカーとして知られている。そんなロータスのクルマを“なんちゃって”候補にあげるのは少々気が引けるが、1976年にデビューしたエスプリ、特にその第1世代は、他のロータス製モデルに比べると若干残念なイメージがある。
人気スパイ映画の007シリーズでボンドカーとして登場し、路上はおろか水中でも活躍したこのエスプリは、名車と呼ばれ現在でも高い人気を保つロータス ヨーロッパの後継車種的存在でもあった。
ボディデザインはイタリアのジウジアーロが率いるイタルデザインが担当し、シャシーはロータスが得意とするバックボーンフレームタイプ。これにロータス製2リッター直4エンジンをミドシップ搭載する。と、ここまでのスペックは立派にスポーツカーのそれをクリアしている。
だが、このエンジンが少々クセモノであり、最高出力が約160psと、車体のキャパシティに対してやや非力ではあった。それゆえに、初期型エスプリに乗った経験のあるドライバーのなかには、スポーツカーとしてのエスプリをあまり評価しない声もある。
後期モデルではターボ仕様も追加され、最終的には3.5リッターV8ターボモデルが350psを発揮。この頃にはスポーツカーと呼ぶにふさわしいスペックを備えるようになり、2004年まで生産が続く息の長いモデルとなった。
見た目と中身のマッチングが…な3モデル
●トヨタ サイノス
1991年にリリースされたトヨタ サイノス。同時期のスプリンタートレノともよく似たフォルムであったが、トレノほどスポーツ志向の強いモデルではなかった
先に登場したデートカーと同様に、1980~1990年代に注目を集めたジャンルがセクレタリーカー。女性秘書(セクレタリー)が通勤に使うスタイリッシュなクルマをそう呼ぶことが多かったが、ここで紹介するトヨタのサイノスもセクレタリーカーとしての需要が見込まれていた。
初代モデルは1991年に発売。2ドアクーペのフォルムは洗練されていて、スポーツカーと言っても違和感はない。とはいえベースになったのは同時期に販売されていたコンパクトカーのターセル/コルサであり、当然ながらエンジンや足回りのチューンはスポーツ志向の強いものではなかった。
1995年には2代目が登場するものの、結局サイノスの歴史はこの2代目まで。セクレタリーカーの需要減少とともにシリーズの幕を閉じた。
●日産 パルサーエクサ
日産 パルサーエクサ。写真のコンバーチブル仕様は日産チェリー系販売会社創立15周年記念の特別モデルで、全国100台のみ限定販売されたもの
1970年代末期に日産が発売したパルサーはチェリーの後継車種にあたる。そのパルサーをベースにしたクーペモデルがパルサーEXA(エクサ)で、2代目パルサーの登場とともにデビューした。
正面からの見た目はスポーツカーそのものであり、2ドアノッチバックスタイルのボディもスポーツカーチック。だからエクサがスポーツカーなのかというと、少々話が違ってくる。
まずはエンジンがそこまでパワフルではないこと。デビュー年の1982年モデルに搭載されていた1.5リッター直4エンジンはEGI仕様で95psと控えめで、これでは足りないと思ったのか、翌年には115psを発生するターボモデルが追加された。
1986年にはパルサーのフルモデルチェンジに伴ってエクサもリニューアルされ、パルサーの名が除かれた「エクサ」のみの車名となった。ボディにも、まるでワゴンのように見える新バリエーションのキャノピーが加わり、スポーツカーらしさが薄れてしまった。このエクサも2代目限りでシリーズを終了している。
●フォルクスワーゲン イオス
フォルクスワーゲン イオス初期型。やや腰高な印象はあるものの、ルーフをオープンにした状態ではスポーツカー感が強い。V6エンジンモデルは250psを誇った
近年は高級路線にも力を入れているが、ビートルに代表される大衆車メーカーというイメージがまだまだ強いフォルクスワーゲン(VW)。そんなVWが2006年に送り出したEOS(イオス)は、かなりスポーツカーに近づいたクルマだった。
オープンカー(カブリオレ)タイプのイオスはゴルフとパサートの中間に位置するモデルというコンセプトで開発され、実際にゴルフとパサートがベースになっている。最大の特徴でもあるオープンスタイルは電動式ルーフの変形・収納によって実現した。スイッチオンでルーフが5分解され、ものの25秒でオープンカーへと変身してしまうのだ。
このイオスはメーカーの思惑ほどには売れなかったようで、2015年をもって製造・販売を終えていて、今では人々の記憶からも薄れつつある。スポーツカーとまでは言えないが、セダン的な感覚を保ちながらオープンカーの爽快感も味わえるというユニークな存在だった。
今回紹介した6台のなんちゃってスポーツカーは、なんちゃってではなく立派なスポーツカーだと考える人もいるだろう。このあたりは見解の分かれるところだが、たとえなんちゃってスポーツカーと呼ばれても、それがクルマとしての価値を下げることにつながるわけではない。
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みんなのコメント
1300ccの3ATですからスポーツカーではなかったなw
イエローのボンネットをカッティングシートでピカチュウにしてましたw
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〇 ▽ 〇 こんな感じです。
自動車雑誌のweb記事ならそんなとこほ間違えないでほしい