RAV4サイズ 航続距離470km
クルマの電動化は既定路線。将来的にBEVが主流を成すのも間違いないだろう。そのBEV市場をリードする1社となるニッサンが満を持して投入したモデルが「アリア」である。
【画像】日産アリア 細部まで撮影【75年前のたま電気自動車と】 全95枚
外観を見てのとおり全長4595mm、全高1655mmのSUVパッケージングを採用。国産SUVではRAV4と同等サイズである。キャビン実用性の確保やバッテリーの積載性からバランスのいいパッケージングだ。
アリアにはバッテリー容量で2仕様、それぞれにFFと4WDを用意。4WDは前後に独立して制御されるモーターを配したツインモーター式を採用している。
試乗した「B6」のFF仕様はアリアのラインナップでは走行性能面のベーシック仕様となり、66kWhのバッテリーを搭載し、モーター最高出力は160kW(218ps)。
ちなみにリーフのバッテリー容量は40kWh、モーター最高出力は110kW(150ps)であり、スペック面でも車格を大幅向上したのが理解できる。
なお、WLTCモードに於ける1充電走行距離はアリアのラインナップでは最長となるモデルであり、470kmとなっている。
長駆レジャーにも余裕とまでは言えないし、長距離用途では事前に充電スポットを調べる必要もある。ただ、一般的な日帰りレジャーなら満充電で賄える計算で、条件が揃えば内燃機車代替の道も見えてくる。
進化する「電動」の味付け
駆動用モーターが独特だ。
一般的なBEVに用いられる同期モーターはローターに永久磁石を使用するが、アリアは巻線界磁式と呼ばれるローター側にも電磁石を用いたモーターを使用している。
低トルク稼働時の効率と希土類(磁石)不要が利点。メンテナンス性が短所とされている。
新方式のモーターを採用して走りも変化するか、とも考えて試乗に臨んだが、結果はリーフやノートで培ってきた制御技術の現時点での集大成といった印象だった。ブレがない。
先代ノートeパワーでは、電動ならではの起動と低回転域のトルクを活かしたダッシュ力が見所。強い蹴り出しをして暴れ馬にしないのは巧みだが、いささか誇張しすぎてドライブフィールの洗練さに乏しかった。
即応性と初期加速のよさを残したまま、加速度の繋がりを滑らかにしたのが現行ノートeパワーで、その改良の延長上にアリアがある。
アリア開発で得た制御技術をノートに先行採用させた、と考えてもいいだろう。
どんな感じ?
1.9tを超える車重にして動き出しにタメがない。スッと発進する。
重量が増せば駆動系の捻れなどの“逃げ”がもたらすタイムラグやトルク変動を意識させない。それでいて重みを感じさせる余韻とでもいうような“加速の繋がり”もある。
ノートより上級クラスの味わいを、電動できっちりと表現したパワーフィールと言えよう。
パワー制御の特性を変えるドライブモードとして、エコ/ノーマル/スポーツの3モード設定。これとは独立して、エンブレ回生力を強化するeペダルを設定。
ドライブレンジは「D」「B」の2レンジ設定。走行状況や運転スタイルに応じて、加減速特性を選択できるのもアリアの特徴だ。
加速特性の違いはドライブ3モード。浅いペダルストロークではモード名の通りの印象だ。
モードとeペダルの違いが出るのはエンブレ回生。
最も弱いのは「エコモード」のeペダルオフ。アクセルオフ時はコースティング(空走)状態。
eペダルオフの「ノーマルモード」は、一般的ガソリン車の巡航ギアでのエンブレに相当する。
eペダル「ON」にすると?
eペダルオン時と「スポーツモード」のエンブレ回生は強力で、ガソリン車なら巡航ギアから2段くらい、4000回転くらいでエンブレを利かせた感覚である。
ガソリン車のエンブレよりもはるかにコントロール性がよく、静粛性にも影響はないが、それでも加減速を抑えた滑らかな運転ではeペダルオンはエンブレが過剰。
エンブレを多用、あるいはスポーティなフィールを好むドライバー向けだ。
なお、回生協調電子制御ブレーキを採用しているが、フットブレーキでは挙動安定のため軽い制動でも後輪ブレーキを作動するため、厳密に言えばエンブレ回生より効率が低下するとのこと。
付け加えれば4WD車は後輪制動でも回生するので、回生効率がFF車よりも向上するという。
重量物のバッテリーは、床下に配置。低重心に加えて重量物を重心近くに置くのは運動性向上ではとても有利である。
逆に落ち着きや据わりなど安定の側面が不利な点。
この辺りをどう折り合わせるかがフットワークの腕の見せ所だ。
走り/乗り心地について
全般の印象では、重量を活かしたしなやかさと安定感が持ち味。操舵追従は初期反応を穏やかに、狙いのラインに収まる。
高速の直進もコーナリングも高い全高に比べて据わりがよく、山岳路も高速も気構えることなくこなせる。
運転時のサイズ感もほどよく、馴染みやすい。先読みのしやすい特性でもあり、修正操舵に神経質になる必要もない。
乗り心地については速度抑制舗装などの小さな段差乗り越えでの細かな突き上げ・ピッチングが目立ったのが気になったが、乗り味はプレミアムを実感するに十分だ。
大きめの段差乗り越え・うねり路面などではサスストローク速度を抑えたしなやかな路面追従感を示し、車体挙動の収束感も良好。
サスストローク量が示す「硬さ」に比べるとゆったりとした味わいがある。
欲を言えばリアサスの動きにもう少し沈み込みが欲しいが、ノートの4WDがそうであるように、アリアも4WDモデルはリアサスを積極的にストロークさせる設定になる模様。
走りの質にこだわるなら4WDモデルを待ってもいいだろう。
「買い」か?
ニッサンの電動化技術の柱の1つがモーターの即応性やトルクの精密制御。動力性能だけでなく、操安性や車体挙動制御まで関わってくる。
サスもパワートレイン制御と連動した設定になる。当然、チューニング代は2WDより4WDのほうが大きく、アリアの走りの神髄を求めるならeフォース(e-4ORCE)と命名された全輪駆動制御技術を採用された4WDモデルが本命である。
性能的には試乗したB6のFFモデルはアリアの入門仕様ということになるが、冒頭でも述べたとおりeパワーの開発で得た知見を活かした最新モデルを実感するには十分。
ベーシックモデルといっても半自動駐車支援機能を含むプロパイロットや前席パワーシートなどを標準装備し、高速道路ハンズオフ走行を可能としたプロパイロット2.0やリモコン駐車機能のOP選択も可能。スカイラインなどの上級クラスからの乗り換えでも不足ない内装・装備も揃っている。
しかも価格は装備揃えなら60kWh仕様のリーフe+と大差ない。
BEVの運用面のハンデや実用用途でのコスパを考えれば一般的とは言い難いが、BEVへの乗り換えを考えているならばコスパも適応用途もウェルバランスのモデル。とくに、ニッサンの電動車を乗り継いできたユーザーには魅力的なモデルである。
日産アリアB6(FF) スペック
日産アリアB6(前輪駆動)
価格:539万円
全長:4595mm
全幅:1850mm
全高:1655mm(プロパイロット2.0車:1665mm)
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.5秒
バッテリー電力量:66kWh
航続可能距離:470km
CO2排出量:0g/km
車両重量:1920kg
パワートレイン:モーター1基
最高出力:160kW(218ps)/5950-13000rpm
最大トルク:30.6kg-m/0-4392rpm
ギアボックス:電気式無段変速機
最低地上高:180mm
乗車定員:5名
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みんなのコメント
トヨタ以外はみんなデザイン良くなってきてる
一時期の停滞期を突破した感じ
使い方次第ですけどセカンドカーですね