乗車定員に達する前に満員状態になることが多い
通勤などで頻繁に利用しているひとなどは、路線バス車内で“お気に入りの座席”を決めているひとも少なくない。路線バスの座席で有名なのは、扉側最前方にある通称“オタシート”と呼ばれている座席。バス運転士の一挙手一投足が見られるとのことで、路線バス愛好家を中心に始発バス停では密かに“奪い合い”が展開されている。
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仮に始発バス停ですでに発車待ちしているバスのオタシートがすでに埋まっていたら、次のバスを待ってオタシートに座るのが愛好家の“流儀”にもなっている。運転士の運転風景を“ガン見”するだけならまだしも、ビデオをまわし続ける愛好家もいるようで、迷惑に思う運転士も少なくないようだ。
ただ悲しいことに、いすゞ・エルガ(日野ブルーリボン)の現行モデルでは、オタシートの位置に燃料タンクがあるため、オタシートが原則設けられていない(オプションで設定可能)ため、多くのバス愛好家がどこに座っていいのかとしばらく路頭に迷ってしまったとも聞いている。
オタシートの次に愛好家の間で人気が高いのが、最後部席の左右両脇。さらに中扉すぐ後ろの扉側の座席もお気に入りのひとつとなっている。中扉から後はフロアが高くなっているので、前方を見渡すことができるからだ。また冬季ならではとしては、足もとにヒーターがある座席も密かな奪い合いとなっている。「座れるならどこでもいい」というひとも多いが、じつはかなりこだわっているひとも多いのである。
それでは、座席数が少なめで、つり革なども用意され立ったまま乗車することもできる路線バスだが、果たしてこの路線バスに乗車定員というものはあるのだろうか。
まずはいすゞ自動車のウエブサイトで、いすゞの路線バス“エルガ”シリーズの諸元表で乗車定員を確認した。諸元表によるといくつか種類があるのだが、79名、80名、87名となっていた。例えば乗車定員79名の場合は座席数27、立席51、乗務員1名という内訳になっていた。
朝の通勤時間帯や悪天候時には、乗客がかなり多く車内はまさに“すし詰め”状態となることも珍しくない。このようなときほど、本来は乗車定員というものがより気になるのだろうが、いったん混み合うと車内移動もままならないので、乗車扉から降車したり、降車扉から乗車したりするケースも珍しくなく、乗車定員の把握などはほぼ不可能。また実際は乗車定員に達する前に、そこまで乗客がいなくても身動きがとれない状況となってしまうのが現状とのこと。
ちなみに経験したひとも多いかもしれないが、あまりにも車内が混み合った結果、降車ボタンが押されない限りは、バス停を通過するケースがある。
日本では前方のバスが車内混雑などで遅れていても、“こっちは空いているから”と追い抜くことはできないが、中国ではバンバン追い抜いていく光景を目にしたことがある。一説では担当する路線を何往復したかで、ギャラが変わるためと聞いている。
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