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ホンダNSXとの惜別 NA1とNA2、NC1 和製スーパーカー3世代を比較 後編

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ホンダNSXとの惜別 NA1とNA2、NC1 和製スーパーカー3世代を比較 後編

別次元の動的能力を獲得した2代目

ホンダのNSXらしく2代目でも、見た目だけでなく走行性能で欧州製スーパーカーへ対峙することが目指された。日本車として、信頼性と実用性も両立させていたことは、いうまでもない。

【画像】和製スーパーカー ホンダNSX 初代と2代目を比較 最新の特別仕様タイプSも 全94枚

2016年に北米で販売が始まったNC1型、2代目NSXの英国価格は約15万ポンド。金額でも、新しいNSXは欧州のスーパーカーに伍することとなった。

スペースフレームには、先進的な複合素材を採用。ボディの中心に、最高出力507psを発揮するドライサンプの3493ccツインターボV6エンジンを搭載した。しかし、初代のようにVTECは組み込まれていない。

そのかわり、3基の電気モーターがエンジンをアシストする。48psのモーターがエンジンと結合され、スターターモーターとフライホイールに当たる機能を担当。フロント側には37psのモーターが2基載り、フロントタイヤをそれぞれ駆動させる。

その結果、システム総合での最高出力は581psと、現代のスーパーカーらしい数字を達成。複雑なシステムの影響で車重は1725kgと軽くはないが、0-97km/h加速は2.9秒、最高速度は307km/hを誇る。

3基の電気モーターが叶える四輪駆動システムのおかげで、スタビリティは極めて高く、同価格帯のどのモデルより高速でのコーナーリングを可能としている。NSXを軽く感じさせるように。

初代NSXと比較すると、2代目NSXの加速力や現実世界での動的能力は別次元。たとえNA2型の最もホットな仕様を持ってきても、太刀打ちできないだろう。

意外にも初代と共通する部分が多い

アクセルペダルを踏み倒し、すべてのモーターとエンジンが協働して動く状況では、この世のものとは思えないほどに速い。ハイブリッドらしからず、テストコースでの全開走行時には爆音も響かせる。

パドックで走りを傍観していると、その音響に思わず鳥肌が立ってしまう。そんな興奮に魅了されたピーター・ブキャナン氏は、2017年に2代目NSXを自身のガレージへ迎え入れた。グラシック・ジャガーを楽しむ、家族持ちでありながら。

これまで約5600kmをNSXとともにした、ブキャナンが印象に触れる。「最初のドライブで、NSXのパフォーマンスに圧倒されたことは今でも忘れません。加速力やコーナリングは、信じられないほど」

「グッドウッド・サーキットへ、日曜日にドライブするのが楽しみの1つです。わたしの五感を、生き返らせてくれます。購入に至った動機は少し気まぐれなところもありましたが、今ではコレクションとして大切な1台。想像以上のクルマですね」

初代NSXと2代目との間には、四半世紀以上の時間のギャップがある。搭載する技術的な内容にも大きな違いがある。だが、実際に並べてみると共通する部分が少なくないことにも驚かされる。

どちらも技術の集大成といえるクルマであり、フェイスリフトを経ることで、その時代のライバルモデルに対抗できる内容を維持し続けてきた。2台ともにデジタルな技術とアナログな感覚との、素晴らしいブレンドで成り立っている。

限られたドライバーへ強く訴求するクルマ

子供を学校へ送り迎えできる実用性と同じくらい、サーキット走行に没頭することを許容してくれる。あるいは、英国から南フランスへのバカンス旅行にも問題ない。

最新のホンダNSXは、初代と同様に少なくないファンを生んだ。だが同時に、充分に評価しない人も少なくない。その理由まで、初代と共通しているように思う。

しかし筆者は、初代でも2代目でも、ホンダNSXが好きだ。年式を問わず息を呑むほど速く、驚かされるほど実用的であるという点を、とても気に入っている。

広く誰しもに愛されているわけではない、という点も良い。希少性やブランド力ではなく、メカニズムの精度や信頼性、最先端の技術を評価する、限られたドライバーへ強く訴求するクルマだといえる。

NSXは退屈なスーパーカーだと話す人がいることも、理解できる。恋愛ゲームにも似た感情なのだろう。周囲の気を強く惹くようなクルマを望んでいる人も多い。不安定な要素を少々はらんでいることの方が、良しとされる側面があるようだ。

だが、気を揉むような個性がないからといって、つまらないロボットになるわけではない。クラッチ交換が25万kmまで不要だとしても、新しいNSXに魂が宿っていないわけではない。

むしろ、それがホンダNSXを素晴らしいスーパーカーに感じさせてくれていると思う。理想のパートナーとして。

ホンダNSX 初代(NA1/NA2)と2代目(NC1)のスペック

ホンダNSX(初代/1990~2005年/英国仕様)のスペック

英国価格:55000ポンド(1990年時)/12万ポンド(約1824万円)以下(現在)
生産台数:1万8685台(NA1、NA2合計)
全長:4405mm
全幅:1810mm
全高:1170mm
最高速度:270-281km/h
0-97km/h加速:5.7-5.8秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1389-1399kg
パワートレイン:V型6気筒2977-3179cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:274ps/7100rpm-294ps/7300rpm
最大トルク:28.9kg-m/5300rpm-30.9kg-m/5300rpm
ギアボックス:5速マニュアル/6速マニュアル/4速オートマティック

ホンダNSX(2代目/2016年~/英国仕様)のスペック

英国価格:15万ポンド(約2280万円)
生産台数:2558台(2021年まで)
全長:4490mm
全幅:1940mm
全高:1215mm
最高速度:307km/h
0-97km/h加速:2.9秒
燃費:9.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1776kg
パワートレイン:V型6気筒3493ccターボチャージャー+トリプルモーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:581ps/6500-7500rpm(システム総合)
最大トルク:65.6kg-m/2000-6000rpm(システム総合)
ギアボックス:9速デュアルクラッチ・オートマティック

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