■歴史のある自動車メーカーの多くが所有する過去車両を展示する博物館
メルセデス・ベンツ、ポルシェ、フォード、そしてトヨタなど歴史のある自動車メーカーの多くは過去の車両を展示する博物館を持っています。1933年に創業した日産自動車もそのひとつ。同社は神奈川県座間市に「日産ヘリテージコレクション」という過去の生産車両やモータースポーツ車両などを保存する施設を所有し、一般公開もおこなっています。
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自動車メーカーのミュージアムには「メーカーを問わず幅広く歴史的車両を展示する施設」と「自社の過去の車両を展示する施設」の2タイプに分かれますが、日産は後者。実は日産ヘリテージコレクションの車両は展示・公開するために集められたのではなく、あくまで過去の遺産を保管しておくことを目的とし、その一環として公開もされているという位置づけなのです。
コレクションホールに足を踏み入れると、その規模の大きさにも驚かされます。たとえばトヨタ博物館に展示されている車両は「約140台」、メルセデス・ベンツ博物館は「160台以上」と公式ウェブサイトで説明しています。
しかし日産自動車グローバルブランドエンゲージメント部の中山さんによると、日産ヘリテージコレクションは「展示して見られる状態の車両が280~290台」とのこと。その台数の多さは圧倒的で、見ごたえたっぷりです。ちなみに、バックヤードも含めれば約450台の車両を保管。中山さんは「いまもどんどん増えているのでレストアが追い付かない」と言います。
■新車メーカーがなぜ過去のクルマを大事にするのか
そもそも、自動車メーカーはどうして過去の車両を残しておくのでしょうか?
「日産はものづくりの会社です。生産されたクルマは、私たちの技術力やデザイン力の全てがつまっており、まさにNISSAN DNAそのものです。そのDNAを継承し、次の新しいクルマづくりに役立てる一方、できるだけたくさんの方にこの”NISSAN DNA”に触れていただくきっかけとなるように」
日産ヘリテージコレクションの公式ウェブサイトにはそんな狙いが書かれています。
また中山さんは「過去の車両は守る価値があるからです。守っていかないと、どこかで世の中から消えてします。だから大切にして未来に残していくのです」と教えてくれました。
保存されているコレクションはダットサンブランドのトラックや乗用車など日本の自動車産業黎明期ともいえる戦前の生産車からはじまり、戦後の日本の自動車の発展を支えた市販車、実験車両やモーターショー展示車両、そしてモータースポーツ車両など多岐にわたります。
40代の筆者(自動車ライター工藤貴宏)は、自身が物心つきはじめたころからクルマ好きに成長していく1980年代から1990年代前半にかけて家で使っていた車両(ケンメリ、ジャパン、そしてR30型スカイラインやA31セフィーロ)、また免許を取得してはじめて買ったS13シルビアなどを見てノスタルジーを感じました。
日産の創業以来の主要モデルが展示されているので、ここに来ればどの世代でも同じ感情を得ることができることでしょう。ちなみにここに保管されている市販車両の7割以上は、軽い整備を施すだけで走れるコンディションだそうです。
■レース車両はキレイに修復、ラリー車両はベコベコのまま
モータースポーツの車両も、日本グランプリに出場し数周だけとはいえポルシェの前を走って知名度を高めた「プリンス・スカイラインGT」をはじめ、サファリラリー参戦車両など多くの車両が保存されています。
そんな車両を見て気が付いたのは、レース車両とラリー車両の保存状態の違い。レース車両が万全の見た目なのに対し、ラリー車両のいくつかは車体にヘコミがあったりフェンダーがなかったりと、きちんと修復されていないのです。理由があるのでしょうか?
これについて中山さんは「実は分けています」と教えてくれました。
レーシングカーはスタートの状態と同様に修復する一方で、ラリー車は『フィニッシュラインコンディション』といってゴールした状態を保つ修復をおこなっています。これは車体のダメージ自体がラリーを戦った勲章として考え、その実績を称えるためにあえてダメージを残してレストアしているのだそうです。
もちろんダメージはそのまま残しますが、車体やメカニズムはしっかりと修復され、ダメージを受けた部分にはサビ止めなどの処理が施されているとのこと。「レストア時はシワになった鉄板などダメージを受けた部分にステッカーを張るのが実は難しい作業」と裏話も教えてくれました。
ちなみに以前は、この保管庫に空調がなかったので展示車両へのサビやカビの発生が悩みのひとつだったそうです。しかし現在は空調完備となったので、安心して長くコンディションが保てるようになったといいます。
日産ヘリテージコレクションは予約制ですが一般にも公開されおり、ウェブからの申し込みで来訪可能。タイミングによってはレストアした車両の同乗試乗体験もできるというから、なんとも太っ腹ですね。
今回の取材では、自動車メーカーというのはクルマを作るだけでなく文化を作る企業だということがいっそう強く理解できた気がしました。
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