現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 今、グランドツアラーが熱い!──スポーツカーとは違う、その魅力とは?

ここから本文です

今、グランドツアラーが熱い!──スポーツカーとは違う、その魅力とは?

掲載 更新
今、グランドツアラーが熱い!──スポーツカーとは違う、その魅力とは?

あくまでも自分が試乗した範囲の話ではあるが、ここ10年近くはスーパースポーツカーに乗る機会が本当に多かった。それらを発表された順に記すと、マクラーレン MP4/12Cとランボルギーニ アヴェンタドールが2011年、ランボルギーニ ウラカンが2013年、マクラーレン650Sが2014年、フェラーリ488GTBとマクラーレン570Sが2015年、そしてホンダ NSXは2016年に登場した。ポルシェ 911のタイプ 991と991IIがデビューしたのもこの時期のことで、なかでも911GT3や911ターボには深い感銘を受けた。

さらには、これらをベースとするバージョン違いも多数登場した。アヴェンタドールであればSVやS、570Sだったら540C、570GT、570Sスパイダーといった具合だ。したがって、実際にテストをおこなったり、インプレッションを執筆したりしたクルマはかなりの台数になる。

アストンマーティンのいいところがギュッと詰まっている──新型DBS スーパーレッジェーラ試乗記

これらがとても興味深かったのは、各メーカーが自分たちの個性を明確に主張していたところにある。マクラーレンは常に純粋なスポーツ・ドライビングの楽しさを追求し、ランボルギーニは派手なスタイリングとは裏腹に4WDをベースとする非常に高度で洗練したスポーツモデルを作り出すいっぽう、フェラーリは独特の華やかさを失うことなくメカニズムの完成度を飛躍的に高めてきた。

そしてポルシェは常にポルシェで、優れた実用性と高度なハンドリングを実現、常にスポーツカーの“メートル原器”であり続ける。だから、各ブランドが送り出すスポーツカーのニューモデルに触れるのはいつも興味深く、そして新鮮だった。この思いはいまもまったく変わっていない。

そうした勢いがなくなってしまったわけではないけれど、ここ2~3年でじわじわと存在感を高めているのがグランドツアラーだ。

新世代のグランドツアラー代表として挙げたいのが、2016年デビューのアストンマーティン DB11だ。同じ年にはフェラーリ GTC4ルッソも登場した。そして2017年にベントレー コンチネンタル GTが3代目に生まれ変わり、DB11には高性能バージョンのDB11 AMRが追加された。

では、スポーツカーとグランドツアラーの違いとはなにか? 

両者は完全に相容れないものではなく、またスポーツカー的な要素とグランドツアラー的な要素の両方を持ったモデル(フェラーリ 812スーパーファストなど)もあるので、一概には言えないけれど、基本的にはワインディングロードやサーキットでコーナリングを楽しむモデルがスポーツカーで、長距離ドライブでその最良の一面を発揮するのがグランドツアラーといえる。

そうした使用目的の違いは、クルマの成り立ちにどのような差をもたらすのだろうか?

エンジンでいうと、どちらもパワフルなことが求められるのは間違いない。ただし、スポーツカーではコーナーリングでの素早い反応を重視してレスポンスの鋭いエンジンが歓迎される。また、コーナーでマシンを操っている実感を味わうには、エンジン音もある程度は聞こえたほうがいいし、エンジンを高回転域まで引っ張る楽しさも求められるだろう。

いっぽうのグランドツアラーでは、鋭いエンジン・レスポンスより、滑らかな回転フィールや静粛性のほうが重要になる。これは、長距離を淡々と走り続けても疲れにくくするため。また、高速道路での追い越しといったシーンを考えれば、中低速域での分厚いトルクが期待されるが、必ずしも最高回転数が高い必要はないのだ。

サスペンションはどうか? スポーツカーではハンドリング・レスポンスが重視されるため、ある程度は硬い足まわりにならざるを得ない。いっぽう、タイヤがグリップしている様子を正確に伝えるため、ステアリングはインフォメーションが豊富なことが重要視される。

グランドツアラーの場合も、高速走行安定性を確保するため、ある程度は硬い足まわりが必要になるのは同じだ。とはいえ、あまり硬すぎてゴツゴツ、ドンッドンッと始終突き上げられているようでは気が休まらない。やはり無用な振動を伝えることなく、高速域でもスムーズに走る能力が求められるだろう。

スポーツカーとグランドツアラーの違いはボディ形状にもあらわれる。コーナーリング重視のスポーツカーは軽量かつ低重心であることが重要になるから、ボディは背が低くてコンパクトになる。軽量化という観点からいえば、室内の快適装備も最小限とならざるを得ない。

いっぽう、グランドツアラーでは乗員とその荷物をたっぷり積むスペースが求められるし、俊敏なコーナーリング性能に対する要求値もあまり高くないので、スポーツカーに比べれば背が高めで全長も長くなることが多い。

このように、スポーツカーとは多くの面で対照的なグランドツアラーだが、嬉しいことにスポーツカー同様、各社各様の個性が表現されていて、こちらも実に楽しい。

アストンマーティンは華麗なスタイリングと贅沢な室内、そしてV12気筒エンジンの官能的な響きにその魅力が凝縮されている。「走りの実感」という面ではグランドツアラーでありながらスポーツカーに近い要素も持ち合わせているのがアストンの特徴だ。DB11はまさにそういった魅力を備えていたが、シャシーのスタビリティという面ではいまひとつの部分が残っていた。

それがDB11 V8のデビューによって大きく進歩したと思ったら、今度はさらにスポーティなDB11 AMRが登場してわれわれをあっと驚かせた。端的にいえば、グランドツアラーとスポーツカーの境界線をあいまいにする存在といって差し支えない。

ベントレーの新型コンチネンタルGTも、スペック面ではスポーツカー的要素を高める改良が施された。しかし、実際にステアリングを握っているときの感触はあくまでもグランドツアラーであって、スポーツカーとは別世界だ。ビビッドな感触よりも無用な振動を打ち消すことに苦心したそのステアリング・フィールはスポーツカーとの違いを明確に物語っているし、どこまでも滑らかな乗り心地も同様。いっぽう、インテリアの華やかさは一段と向上し、どんな長距離ドライブでも乗員を飽きさせないはずだ。

フェラーリ GTC4ルッソはスポーツカーとグランドツアラーの魅力を見事にブレンドしている。つまり、スポーツカーのように使えば全身からアドレナリンがわき出るような快感が得られるいっぽうで、ロングクルージングでは心平穏に走り続けられる。

このふたつの世界を高い次元で両立している秘密は、最近のフェラーリの目を見張るような技術力にあるといっていい。未来的なのにどこかクラシックなインテリア・デザインも素晴らしいし、そのクオリティ感にも不満はない。グランドツアラーでもフェラーリらしい華やかさは存分に楽しめると断言できる。

かくもユニークで魅力あふれるグランドツアラーの世界。今後、ニューモデルがさらに登場し、個性豊かな世界が一層広がっていくことを期待したい。

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

車検費用はクレジットカード払い可能?支払い方法の種類と車検に関するQ&Aを紹介
車検費用はクレジットカード払い可能?支払い方法の種類と車検に関するQ&Aを紹介
グーネット
ヤマダHD、戸建て住宅とヒョンデのEV「コナ」をセット販売
ヤマダHD、戸建て住宅とヒョンデのEV「コナ」をセット販売
日刊自動車新聞
レッドブル離脱のエイドリアン・ニューウェイ「バトンを後進に渡し、新たな挑戦をする良い機会」F1継続か、あるいは?
レッドブル離脱のエイドリアン・ニューウェイ「バトンを後進に渡し、新たな挑戦をする良い機会」F1継続か、あるいは?
motorsport.com 日本版
日産「新型エルグランド“VIP”」発表! めちゃ豪華内装の「“4席”仕様」に注目集まる! 800万円超えの「V6超高級ミニバン」とは
日産「新型エルグランド“VIP”」発表! めちゃ豪華内装の「“4席”仕様」に注目集まる! 800万円超えの「V6超高級ミニバン」とは
くるまのニュース
クルマのバッテリーの寿命は何年? 最近は予兆なしで突然死することもあるので、事前のチェックが大切です
クルマのバッテリーの寿命は何年? 最近は予兆なしで突然死することもあるので、事前のチェックが大切です
Auto Messe Web
日産ローレルHT 2000GX(昭和45/1970年6月発売・C30型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト057】
日産ローレルHT 2000GX(昭和45/1970年6月発売・C30型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト057】
Webモーターマガジン
ホンダとの再タッグ控える42歳アロンソの魅力と2年後の懸念。中国で高まるF1機運【中野信治のF1分析/第5戦】
ホンダとの再タッグ控える42歳アロンソの魅力と2年後の懸念。中国で高まるF1機運【中野信治のF1分析/第5戦】
AUTOSPORT web
ヤマハ、新アイテムを投入に「次戦でいくつか使う」初めての“劇的な変化”に好感触/MotoGPへレステスト
ヤマハ、新アイテムを投入に「次戦でいくつか使う」初めての“劇的な変化”に好感触/MotoGPへレステスト
AUTOSPORT web
F1と公式スパークリングワインの『フェッラーリ』。ふたつに共通する伝統と技術の融合
F1と公式スパークリングワインの『フェッラーリ』。ふたつに共通する伝統と技術の融合
AUTOSPORT web
トヨタがインドで新型SUV『アーバンクルーザー・タイザー』を発表…Aセグメント再参入
トヨタがインドで新型SUV『アーバンクルーザー・タイザー』を発表…Aセグメント再参入
レスポンス
トライトンの導入で夢じゃなくなった「三菱パジェロ」復活! ランクルのひとり勝ちに待ったをかける存在になる!!
トライトンの導入で夢じゃなくなった「三菱パジェロ」復活! ランクルのひとり勝ちに待ったをかける存在になる!!
WEB CARTOP
【速報】エイドリアン・ニューウェイのレッドブル離脱が正式発表! 天才デザイナーの今後の去就に注目集まる
【速報】エイドリアン・ニューウェイのレッドブル離脱が正式発表! 天才デザイナーの今後の去就に注目集まる
motorsport.com 日本版
新しいトヨタ・クラウンに、“ナイトシェード”モデル登場へ!──GQ新着カー
新しいトヨタ・クラウンに、“ナイトシェード”モデル登場へ!──GQ新着カー
GQ JAPAN
ドリフトは日本発祥……ならば日本人たるもの1度はやってほしい! ドリ車にオススメのモデル4選と中古の現状
ドリフトは日本発祥……ならば日本人たるもの1度はやってほしい! ドリ車にオススメのモデル4選と中古の現状
WEB CARTOP
田都カラーに続き 東急初の“電車風”連節バスに「大井町カラー」登場 Q‐SEATも再現!
田都カラーに続き 東急初の“電車風”連節バスに「大井町カラー」登場 Q‐SEATも再現!
乗りものニュース
スバル「レガシィ」25年生産終了が米で決定! 「とうとう終わりか…」惜しむ声続々と! “伝統のセダン”終焉の反響は?
スバル「レガシィ」25年生産終了が米で決定! 「とうとう終わりか…」惜しむ声続々と! “伝統のセダン”終焉の反響は?
くるまのニュース
絶景ツーリングに出掛けよう!「ZHSR絶景ハントスタンプラリー」が7/21まで開催中
絶景ツーリングに出掛けよう!「ZHSR絶景ハントスタンプラリー」が7/21まで開催中
バイクブロス
夜行高速バス「ドリーム号」、深夜の乗務引継ぎを見学する
夜行高速バス「ドリーム号」、深夜の乗務引継ぎを見学する
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2580.02870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1248.02990.0万円

中古車を検索
DB11の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2580.02870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1248.02990.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村