6月18日、2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦決勝レース(51周)が宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、2番グリッドスタートの宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM'S)が優勝。序盤にポールシッターの大湯都史樹(TGM Grand Prix)をかわしトップに立つと、以降は危なげない展開で後続に大差をつけ、今季2度目のトップチェッカーを受けると、ポイントランキングトップに浮上を果たした。
2位は前戦欠場からの復帰戦となった野尻智紀(TEAM MUGEN)が獲得。3位には今季初表彰台獲得となる牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続いた。ランキングトップで今大会を迎えたリアム・ローソン(TEAM MUGEN)は終盤にタイヤ交換を実施し、その後は怒涛の追い上げで5位フィニッシュ。宮田にポイントリーダーを奪われたものの、12ポイント差のランキング2位にとどまっている。
【正式結果】2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 決勝レース
予選日に続き好天に恵まれたスポーツランドSUGOは、決勝レーススタート直前の時点で気温は28度、路面温度は36度を記録。うっすらと雲が上空を覆い、いくらか日ざしは和らいでいたものの、蒸し暑さは変わらず、タフなコンディションのもと51周で争われるレースがスタートした。
注目のスタートでは、3番グリッドの野尻と5番グリッドの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が珍しくスタートミス。坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)とローソンがそれぞれ3番手、4番手にポジションアップする。また20番グリッドの松下信治(B-Max Racing Team)がエンジンストールでコース上から動けず、スタート早々にセーフティカー(SC)が入る展開となった。
そのSCが入る直前、集団が4コーナーを駆け抜けていく中、16番グリッドスタートのジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM'S)がスピンを喫し、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と接触。関口はフロントウイングを破損しマシン下に挟みながら、ゆっくりとピットへ。アレジも一度はSC先導の隊列には戻ったものの、2周目にはピットイン。そのままガレージに入ってしまった。
レースは5周目にSCが隊列を離れリスタートが切られ、ここから数周は大湯が隊列をリードしていく。ピットウインドウが開いた10周終了の時点で、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、国本雄資(Kids com Team KCMG)、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、小高一斗(KONDO RACING)がピットイン。山本はピット作業に時間がかかり小高に逆転されてしまった。11周終了時には牧野とジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)がピットインする。
その11周目の最終コーナーあたりで、トップの大湯が突然失速。2番手宮田との差が一気に縮まると、12周目に入るストレートで一気にかわし、宮田がトップにおどり出た。大湯のペースは戻らず、翌13周目の1コーナーでは坪井にも並びかけられる。
イン側に位置どっていた大湯はわずかにリヤを滑らせコースオフ。坪井は間一髪のところで大湯の横をすり抜けポジションアップし、大湯はそのまま1コーナーアウト側に飛び出してしまった。幸いすぐにコースに復帰できたものの、ペースが戻らず大きくポジションダウン。
これで勝負権を失った大湯は30周目までは粘りの走りを見せたものの、ピットに戻りそのままガレージへ。最後までレースを走り切ることができず、リタイアとなった。
上位争いは、14周を終えた時点でトップが宮田、2番手に坪井が続き、その後ろにローソン、山下健太(KONDO RACING)、平川、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)と並ぶ。
タイヤ交換を済ませた中で最上位を走るのは野尻で、その後ろに牧野、大嶋、国本と続いていた。ここからは見た目上トップの宮田と“裏1位”の野尻との見えない争いに注目が集まるが、両者の差が38秒となった17周を終えるところで宮田がピットイン。チームも6秒と早い作業時間で宮田をコースへと送り出した。
宮田は野尻の前でコース復帰するが、冷えたタイヤの宮田に対し、野尻は急接近。SPコーナーではテール・トゥ・ノーズにまで近づいてきた。19周目に入った1コーナーで野尻がイン側に並びかけ勝負を仕掛けるが、これを冷静にしのいだ宮田がトップを死守。これで“裏1位”を確立した宮田は、じわじわと野尻との差を広げていった。
宮田がピットに入り、見た目上のトップは坪井に代わったが、なかなかペースが上がらない。坪井のペースにつかまるように、ローソン、山下、平川らも1分10秒前半~中盤のラップタイムで周回している一方、宮田は前方がクリアなこともあり1分8秒台のラップタイムを連発。みるみるうちに差は縮まっていき、30周終了時点で18.2秒、さらに32周目には13秒を切るところまで削ってきた。
坪井は35周を終えるところでピットインすると、可夢偉の前方、暫定8番手でコース復帰したが、冷えたタイヤで可夢偉をおさえきれずポジションを落としてしまった。
坪井がピットインしたことで前が開けたローソンがここからペースアップする。タイヤ交換組とそん色ないタイムで41周を走り切ってピットイン。それまでのペースが良かったこともあって、坪井の前でコース復帰に成功はしたが、総合順位では7番手と、表彰台争いからも大きく遅れることになった。
これで全車がピット作業を終え、宮田は堂々トップに返り咲く。この時点で2番手を走行する野尻との差は12.8秒も開いていたが、宮田はペースを緩めることなく、1分9秒台のラップタイムを連発。最終的には22秒という圧倒的な差をつけ、独走態勢でトップチェッカーを受けた。
宮田は第3戦鈴鹿に続き今シーズン2勝目。予選でのポイントも合わせ22ポイントと大量得点でランキングトップに浮上した。復帰戦となる野尻は、宮田には及ばなかったものの、タフなレースで2位を守り切った。3位の牧野は昨年の第8戦もてぎ大会以来の表彰台獲得となった。
終盤のピットインで7番手まで後退したローソンは、その後フレッシュタイヤで驚異的な追い上げをみせ、国本、可夢偉を攻略して5番手までポジション復帰した。さらに4番手の大嶋を0.1秒差まで追い詰めたが、わずかに届かず5位フィニッシュ。可夢偉が6位となった。
2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権、次戦となる第6戦は、7月15~16日に静岡県の富士スピードウェイで開催される。
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