この記事をまとめると
■日産が「キューブ・リフレッシュド&レトロ・コンセプト」をベースとした限定車を発表
今度のNISMOはGT-R史上最強! 見た目も大幅変更された2024年モデルのGT-Rが堂々お披露目【東京オートサロン2023】
■奈良日産を通じて中古車をベースに「キューブ・レトロリノベーション」として販売する
■限定20台を準備し、価格は160万円前後を予定している
話題になったデモカーが手に入るチャンスがやってきた!
昨年より来場者が約5万人増加という形で幕を閉じた東京オートサロン。このイベントでは、国内外の自動車メーカーをはじめ、さまざまなサプライヤーやチューニングショップなどが自慢のデモカーを持ち込んで、展示および販売するという世界最大級のカスタムカーショーとして、いまでは世界中から多くのクルマ好きが訪れる一大イベントだ。
そんなオートサロンの会場でひときわ大きなスペースを持つ日産ブースでは、今回、パティシエとして徳島県で活躍する高橋初姫さんの仕事をサポートする形で、中古車のK13型マーチをベースにリメイク及びカスタムを施した「マーチ patissier CONCEPT」を展示し、これが大きな話題となった。
ド派手なチューニングカーなどが多いオートサロンという会場で、こういったキャラクターのクルマ、それもマーチともなれば、正直なところやや日陰な存在になりがち。ではなぜ、この車両が大きく注目されたのか。
それは”中古車をリメイク”したモデルということも要因として挙げられる。このクルマは、ステアリングやドアノブ、紫外線などでダメージを受けたヘッドライトやワイパーアームをすべて新品交換し、リフレッシュを施している。中古車にひと手間かけてやることで、価格を抑えつつ気持ちのいい状態を実現し、中古車に第二の命を吹き込む。こうした提案をメーカーが率先して行ったことが最大のポイントであった。
ちなみに、この中古車をリノベーションするという企画、じつはいまに始まったことではないのだ。そう。日産の中古車リノベーションで蘇ったこのマーチは、企画的に言えば第2弾(R34GT-RのZ-Tuneも中古車ベースの製作であったが今回は除外)。
では、「第1弾は?」
その答えは1年前、2023年の東京オートサロンで展示されていた「キューブ・リフレッシュド&レトロ・コンセプト」だ。これも先述のマーチ同様に、中古車をベースにリメイクしたデモカーであった。このときもやはり、すでに販売終了となっていたZ12型キューブの中古車をベースに仕上げた点が話題となった。
この会期中にメーカーサイドに寄せられた声が、「これを販売してくれ!」という感想。通常、メーカーがこの手のイベントで展示するクルマの多くは「コンセプト」であり、販売を前提にしていない。しかし、このコンセプトモデルは、「中古車をリメイクしてひと手間加えただけ」という、市販しようと思えばできる仕様。日産も企画した時点で、「その気になれば市販できるかもしれない」と内心で思っていたはずだ。
そして日産は”その気”になったのだろう。1年の歳月を経てついに誕生したのが、今回紹介する「キューブ・レトロリノベーション」だ。
「古くても新しい」がキーワード!
この「キューブ・レトロリノベーション」が販売されるという情報、じつは2023年12月の取材時に筆者はチラッと日産の広報部から聞いていた。なので、「いつ発表なのか?」と少し期待してたのだが、それが2024年1月19日、ようやく正式に発表となったというわけだ。
今回販売されるこのクルマは、2023年の東京オートサロンで展示された「キューブ・リフレッシュド&レトロ・コンセプト」そのものだという(架装品の一部だけ変更)。つまり、誰もが憧れるであろう”デモカー”そのものを手に入れることができるのだ。それも日産から直々にだ。
「キューブ・レトロリノベーション」は、本来のコンセプトである中古車がベースというのはそのままに、「リフレッシュパッケージ」と「カスタムパッケージ」というプランが用意されている。
前者は、手が触れたり紫外線の影響で発生した傷や経年劣化で痛んだ部分(ステアリングやドアノブ、フロアマット、ヘッドライトなど)を新品の純正部品に交換する内容だ。後者は、目玉でもある標準車とは異なる、流行りの技術やオリジナルのスタイルを取り入れるカスタマイズを行うといったもの。
そして、それぞれのプランはさらに細かく分かれている。リフレッシュ及びカスタムのプランの詳細は以下だ。
リフレッシュパッケージ(価格は工賃込みで概算)
・エントリー:バッテリーやワイパーアームなどの交換(7万4835円)
・スタンダード:コーティングパック、ワイパーアーム、ガラスランラバー交換など(27万2595円)
・プレミアム:ヘッドライト交換、運転席まわりのスイッチ交換、カウルトップ交換など(39万1776円)
カスタムパッケージ(価格は工賃込みで概算)
・エントリー:ホイールカバー、シートカバー(10万6430円)
・スタンダード:2トーンボディステッカー(グレー色)、グリル交換(57万3698円)
・プレミアム:ステッカー2種類(リヤウインドウ&ボディサイド)、インテリア加飾(75万764円) 上記のプランをユーザーが選択して組み合わせ、予算に応じて施行してもらうのが大まかな流れ。これに車両代や諸費用が加わる。
このような企画を行うことになった理由には、展示の現場で「市販化の声」も多くあったのはもちろん、世の中で加速するSDGsに対する日産としてのひとつの解答でもあると担当者は語る。また、マーケティング調査をしていると、中古車の購入を考えている人は「20~30代の若者」が多いというデータも出てきたそうだ。そんな若年層に、「安価な中古車を通して日産車の良さを知ってもらい、今後の新車販売につなげたい」という狙いもあるそう。キューブは販売終了から数年経ったが、たしかにいいクルマで、業界内からもいまだに評価が高い。今後の日産ファンを獲得する入口としてはピッタリな1台だ。
いま販売されている新車の多くは、登録車であれば250~400万円程度がボリュームゾーン。この金額の新車を若者が購入するのはなかなかハードルが高い。筆者自身もこの層なのでよくわかる(というか買えない!)。
しかし、この「キューブ・レトロリノベーション」は、日産の手がこれほど入っていてなんと160~170万円程度で収まる価格設定なのだという。販売はさまざまな協議をした結果、販売会社である奈良日産を通じて行うという。架装も同社だ。
肝となるベースの中古車は、奈良日産が厳選した認定中古車のなかから選ぶことになっているので、品質はお墨付き(ユーザー側での選択は原則不可)。中古車には嬉しい保証ももちろん付帯(奈良日産の保証規定に準ずる)。納期は選択したプランによって異なるが、3週間から2カ月以内が目安。用意されている台数は限定20台だ。
リフレッシュをしつつ、カスタマイズパーツを装着する流れとなっているので、プラン次第ではドアノブやステアリング、ワイパーアームやヘッドライトなどが新品交換となる。中古車を感じさせない気持ちのいい状態で中古車を楽しめる。
この手のサービスはありそうで意外とない。手間が掛かるこんな提案をメーカー主導でやってしまうのだから恐れ入る。
「保証があるとはいえ、故障したら奈良まで持って行かないとなの?」という不安もあるかと思うが、日産の認定中古車であれば、基本的な修理は最寄りのディーラーで可能とのこと。なので、基本的に奈良日産で販売された同車を関東や九州、北海道など各地の人が購入してもメンテナンス面は問題ない。
ただし、一部専用パーツがあるので、必要となったらその際は最寄りのディーラーを通じて要相談とのこと。
実車を確認したが、もう新車で売ってないキューブといえど、まるで純正オプションをフル装備した新車のような佇まいとなっていた。これなら、「最近オプションマシマシの新車を買ったのヨ」と言ってもまったく違和感がない仕上がりだ。
印象的な「キューブ・レトロリノベーション」専用のデカールやシートカバー、グリルやホイールキャップも特別感満載。しかも、これらは専用パーツだから、他人とまず被ることもなく、所有感も満たされる。ボディカラーは茶色がベースで、その上にプロテクションフィルムを架装。よってシックでオシャレな2トーンカラー仕立てとなる。質感も良く、違和感がないのはさすがといったところ。「最初からこの色だった」と言っても差し支えないレベルだ。
成約者にはオリジナルのキーケースが進呈されるのも嬉しい。ボディカラーの選択や現在のキューブオーナー、中古車の持ち込みに対応する予定はまだ未定とのことだが、今後の反響次第では、パーツの供給状況などを鑑みてさまざまな展開を考えているという。
「キューブ・レトロリノベーション」の気になる販売日は1月22日となっている。注文などの詳細は以下のURLでも確認できる。
https://u-car.nissan.co.jp/campaign/naranissan_cube/
古さを感じさせることなく、いまでも愛車にしている人が非常に多い名車のキューブ。新しい中古車の楽しみ方を自動車メーカーが先陣を切って提案してくれたのは、中古車業界的には大きな一歩と言えそうだ。今ある資源を有効に使う。こういったクルマの楽しみ方こそ、本当の”エコ”なのではないだろうか。
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古臭くならず壊れもしないのでいまだに廃車にせず乗ってます。新型出せば売れると思いますが出さないでしょうね。勿体ない。