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BYDとヒョンデに続く日本進出メーカーはベトナムのビンファストか? 軽規格化できる小型EV「VF3」という気になる存在

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BYDとヒョンデに続く日本進出メーカーはベトナムのビンファストか? 軽規格化できる小型EV「VF3」という気になる存在

 この記事をまとめると

■ビンファストは2024年にVF3を2万5000台納車した

ベトナムの売れ筋車ワンツーはビンファストとヒョンデ! それでも憧れのクルマはトヨタ・三菱・マツダ!!

■ベトナムは駐車場整備がされておらず駐車場所に困らないコンパクトSUVの人気が高い

■ベトナムでもBEVには購入時も含めてさまざまなインセンティブが用意されている

 ベトナムで2番目に販売台数の多いクルマ

 ベトナムの自動車メーカーであるビンファストが公表したところでは、2024暦年締め(2024年1~12月)での、マイクロクロスオーバーSUVスタイルBEV(バッテリー電気自動車)となるVF3の納車台数(販売ではない)は2万5000台となり、ブランド内モデル別販売台数2位となっている。

 さらに、VAMA(ベトナム自動車工業会)非加盟となるビンファストが発表する納車台数を暫定的に販売台数とみなし、VAMAが発表したVAMA加盟メーカーの販売台数、さらにVAMA非加盟のヒョンデの販売台数を合算した、暫定的なものとはなるものの、ベトナム国内での2024暦年締め車名別年間新車販売ランキングでは、トップがビンファストVF5となり、次いで2位がVF3となった。VF5はタクシーやライドシェア車両としてのフリート需要も目立つので、純粋な自家用需要で見れば、すでに地元メディアでは「ベトナムの国民車」とも呼ばれているが、VF3がベトナムでもっとも売れている自家用車といってもいいだろう。ちなみに駆動方式は後輪駆動のみとなっている。

 全長3190×全幅1679×全高1622mmは、全幅が5ナンバーサイズギリギリ近くまでワイドとなっているものの、日本の軽自動車規格内に収まっており、200mm近くも幅を狭めるというのは厳しいようにも見えるが、SUVらしさを強調する意味からもワイドフェンダーとなっているので、トレッドサイズを狭め、ワイドフェンダーをやめれば、日本でも軽自動車規格で販売できるのでは……、などとついつい考えてしまう。

 中国メーカーでは、BYD以外でもすでに日本の軽自動車規格に近いサイズのBEVをラインアップしているメーカーもある。メーカー自体が日本進出を意識しているかどうかも気になるところだが、日本の商社などが中国メーカー製BEVを軽自動車規格に合わせて日本向けに出荷、そして販売・展開できるかを模索しているとの話もある。ビンファストも、日本市場進出第一弾はVF3(軽自動車規格になれば)からとなれば、インパクトは大きいだろう。

 ビンファストは進出先の国に現地生産のための生産工場を構える傾向が目立つ。タイやインドネシア、インドなど、主要自動車消費国ではすでにその動きが始まっている。日本にも進出するならば、日本国内に生産工場を構える可能性は高い。

 ちなみにVF3は全幅が車格に対しワイドなこともあり、見た目は2シーターに見えてしまうのだが、5名乗車となっている。

 ベトナムは、まだまだ四輪車自体の数が少ないこともあり、ハノイ市内で見た限りは幅の広い歩道を駐車場代わりに使っている光景もよく目にした。駐車場整備はそれほど意識して行われているようには見えなかった。とくに中心市街地などで駐車スペースに困りにくいということもあり、マイクロコンパクトとも呼んでいいサイズのVF3の人気が高まっているのかもしれない。

 価格は2憶9900万ドン(約165万円)であり、ひとつ上のビンファストBEVとなるVF5が5億9000万ドン(約293万円)ということを考えれば、使い勝手もよく価格もそれなりに手ごろなBEVとなるので、「国民車」と一部で呼ばれるほど販売に勢いがあることも納得してしまう。

 中国企業もベトナムでは優位にBEVを販売できない

 東南アジアやインドのモーターショーへ行くと、ビンファストは展示ブースを積極的に構えている。ベトナム国内ではICE(内燃機関)車や商用BEV、BEVバスなどもラインアップするが、ベトナム以外では乗用BEVのみを展開し、展示ブースには必ずVF3が展示されている。

 本稿執筆段階では、中国のBEVメーカー「NETA(ネタ)」の経営危機が報道されている。NETAは、とくにタイで顕著だったのだが、スペックを抑える代わりに買い求めやすい価格を実現したローコストBEV「NETA V」がまさに爆発的なヒットになった。しかし、そもそも収益性がいまひとつとなっていたなか、タイでは中華系BEVの乱売傾向が目立ってしまった。2025年春のバンコクモーターショーでは、より収益性の高い上級モデルへ販売比重を高めていくようなことを説明していたが、その動きが間に合わずに経営危機となってしまったようである。

 ビンファストも人気が出そうだからと安易にVF3で本格的に海外市場に打って出ると、そのあとの身動きがとれなくなる可能性があるので、そのあたりは慎重に見ているようである。

 ハノイ市内では2035年までに市内を走る路線バスすべてをBEV化することを目標としているが、そのほか一般自家用車などの車両電動化への具体的なアクションはまだない様子。

 そんなベトナムでもBEVには、購入時も含めてさまざまなインセンティブが用意されている。ベトナムでは、新車購入時の登録関係諸費用が高いとのことなので、2024年にはその登録関係諸費用の減免がBEVを中心にひんぱんに行われた。

 ハノイ市内のあるガソリンスタンドでは、オクタン価95のガソリン1リットルあたりの価格は1万9960ドン(約111円)であった。一方、BEVの充電に係る電気料金は、政府の一部補助もあってガソリン代よりかなり負担軽減となっている。ビンファスト車オーナーに関しては、フリートユーザーを除く個人ユーザーに限り、2027年6月末まで充電料金が無料化されており、いままで四輪車を所有したことのないような、新規四輪車ユーザーの囲い込みにも成功し、現状のような大ヒットとなっているようである。

 巨大コングロマリットのビングループ傘下のビンファストだけに、思い切った販売支援策がとれるようである。ベトナムにおける中国メーカーの多くはICE車をメインにラインアップしている。たとえ性能的にビンファストを上まわっていても、販売支援(政府支援もベトナム国内生産車に限定されることが多い)やその後の充電料金無料など、ここまでインセンティブで差がついてしまうと、ほかの市場のようには優位にBEVを販売していくこともできないようである。

文:WEB CARTOP 小林敦志
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