ハミルトン、辛い幼少期乗り越える原動力となったセナに感謝「僕を奮い立たせてくれた」

　F1第19戦アメリカGPで2019年のドライバーズチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトン（メルセデス）。第20戦ブラジルGPで彼は、敬愛するF1界のレジェンド、アイルトン・セナを意識した特別仕様のヘルメットでレースを戦う。

　ハミルトンは近年、ブラジルGPでは毎回セナのトリビュートヘルメットを使用しているが、そのデザインはそれぞれ微妙に異なっている。今回のデザインは、後頭部に6つの星が描かれている。これはハミルトンがF1で獲得した通算タイトル数と同じだ。

　現在はブラジル人ドライバーがF1のグリッドに並んでいない状況だが、だからこそハミルトンの想いも人一倍強いようだ。

「これは彼（セナ）への敬礼のようなものだ」

「今はブラジル人ドライバーがいないけど、ブラジルがアイルトンをどれほど想っているかは分かっているし、彼は僕のことを奮い立たせてくれるんだ」

　そう語ったハミルトンは、セナが自身の少年時代にどのような影響を与えたのかについて話し、セナが1994年のサンマリノGPで事故死した後も、彼の遺産が今も残り続けていることについて切々と語った。

「彼については何年も語ってきた」

「少年時代の僕にとって、テレビに映るその人はスーパーマンのように見えたんだ」

「スーパーマンは僕の大好きなスーパーヒーローで、その時はスーパーマンになりたかった。そんな僕はアイルトンの言動や生き様を見てきた」

「スティーブニッジで育った僕は、絶えずいじめに遭っていた。そんな中で、あの人の信念、絶対に諦めないという姿勢、そしてアグレッシブなドライビングスタイルは僕を奮い立たせてくれて、ひとりの人間として自分の力で生きていく原動力になった」

「彼が残した遺産は、未だにF1の世界に残っている。彼は今でも歴代最高のドライバーのひとりと言われている」

「彼は本当に国全体を動かした。僕はそれほどのことを成し遂げたドライバーを知らない。ファン・マヌエル（ファンジオ）もそうかもしれないけど……ただ、アイルトンが亡くなった時は、ダイアナ妃が亡くなった時と同じくらい人々が外へ繰り出した。アイルトンが亡くなったことはブラジルにとっても大きな出来事だったけど、世界中の人々にとっても同様だったんだ」