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スバル アイサイト・ツーリングアシストを体験レポート 運転支援技術で楽になる状況は確実に増えた

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スバル アイサイト・ツーリングアシストを体験レポート 運転支援技術で楽になる状況は確実に増えた

2017年6月にスバル・レヴォーグ、WRX S4の年次改良に伴い、アイサイトVer3が進化し、車線中央維持と先行車追従操舵の作動領域拡大という性能がアップした。その機能を「ツーリングアシスト」と名付け標準機能となったことはお伝えした。今回はその機能を実際の道路上で、どの程度使える機能なのか?テスト試乗してきたのでレポートしよう。
<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

アイサイトにおける新機能とコア技術については、過去記事「アイサイトver3がさらに進化 全車速追従機能は、渋滞時でも完全追従」で紹介し、そしてクローズドコースでテスト試乗を行なった様子もお伝えしている。ここでは年次改良の中味の試乗テストをレポートしているが、アイサイトに関しては、リアルワールドでの体験ができていなかったので、今回のテストでその実力を試してみた。

まず、機能がたくさんあり、ごちゃごちゃして分かりにくいので整理してみよう。従来のアイサイトは衝突被害軽減自動ブレーキ、誤発進、誤後進抑制制御、車線中央維持、車線逸脱抑制、お知らせ・警報機能が、アイサイトの標準機能としてあった。これにメーカーオプションとして、「アドバンスド・セーフティパッケージ」があり、追加できる機能としてスバル・リヤビークルディテクション、ハイビームアシスト、サイドビューモニター、アイサイトアシストモニターが追加できた。

今回のアイサイトの進化ではこの標準機能に加えて、後退時自動ブレーキが追加されている。これまではエンジン出力を下げ、前後ともに誤発進しにくいように抑制制御されていたが、今回はさらに誤後進した場合ブレーキがかかるという機能が標準機能に追加されている。

そして話題になっている「ツーリングアシスト」機能もアイサイトの標準機能に加わった。これは従来からの車線中央維持と先行車追従操舵機能の作動範囲が拡大されたもので、より実用的になったというのがポイントだ。

さらに、この拡張されたアイサイトの標準機能に加えて、メーカーオプション装備できるようになったのが、従来のアドバンド・セーフティパッケージに追加してフロントビューモニターとスマートリヤビューミラーの機能が追加され、名称を「アイサイト・セーフティプラス」に変更している。

ということで、メーカーオプションの機能としては視界拡張の機能が2つ追加され、よりアクティブセーフティに役立つだろうということで、今回テストしたいのは、そこではなくツーリングアシスト機能だ。つまり、アイサイトの標準装備となる車線維持と先行車追従操舵の実力テストというわけだ。

■実証実験
スバルでは、われわれメディアを試乗させる前に、当然テストを何度も繰り返し、実際の路上でのテストも繰り返している。その結果を一部開示していたので、お伝えしよう。

まず、リアルワールドで、安心して使えて、使いやすい機能であることが開発目標のひとつだ。アクセル、ブレーキ、ハンドル操作の3つが高速道路上において、自動制御し、運転をアシストする機能で、従来は60km/hから100km/hの間でアシストする機能だった。

今回のツーリングアシストは0-60km/hと60km/hから120km/h(メーター表示では135km/h)での作動領域拡大となった。まず0-60km/hの状況、つまり高速道路では渋滞を含むノロノロ運転の状況だ。この場合のハンドル操作制御では、車線がはっきり認識できれば、中央を維持するようにハンドル操舵される。この際、メーター内表示では白線がブルーで表示される。また、渋滞で先行車によって白線が見えない場合、前のクルマを認識しつつ、白線情報で車線維持する機能が稼働する。表示はブルーの枠で先行車を囲う表示になり、白線は白く表示。このケースはおもに40km/h以下での機能になる。

そして白線がなく、前方も先行車でふさがれているような状況では、先行車を単独で認識し追従してハンドル操作される。この場合の表示は、白線は表示されず、先行車をブルーで囲う表示になる。こうした、大きく分けて3つの状況で切り分けてハンドル制御をしているわけだ。

さて、これらの機能が本当に使えるのか?という観点では、以下の頻度が低いことで、「使える」という判断ができるのではないか、というのがスバルの実証実験だ。

まずハンドル制御がOFFになる頻度が低い、カーブでのアシスト不足となる頻度が低い、分岐などで誤った方向へ作動してしまう頻度が低い、というそれぞれのケースを想定し、スバルの開発拠点のある群馬県太田市と静岡県大井松田までの東北道、北関東道、首都高速、東名高速でテストを繰り返した。

その結果、比較的走行速度の高い、東北道、北関東道では欧州車、国産ライバル車と比較しても、前述の頻度が最も少ないのがスバルだったとレポートしている。そして、カーブや渋滞の多い首都高速、東名高速でも同様にスバルがトップだったという。

■首都高速でのテスト
これらの説明は本当なのか?首都高速都心環状線、湾岸線を使いテスト試乗した。状況はきついカーブが多く、渋滞の多い首都高速と比較的、交通量は多いものの速度の高い湾岸線でのテストだった。試乗した車両はレヴォーグ1.6STI Sport Eye Sightで、レヴォーグの中でも1、2位を争う人気グレードだ。また、比較車両はないので、これまでの経験での「操作介入OFF頻度」を判断している。

出だしは首都高速のノロノロ運転の渋滞状況から。通常のACC稼動と同様に、ステアリングにあるボタン操作でアイサイトを稼働させる。すると、すぐに先行車を捉え、車速設定すると即座に追尾を始める。首都高など混雑した状況では、設定車間距離をもっとも短くしておく必要がある。車間を広く設定していると、空気を読んでいない運転のように見られるし、後続車のイライラが伝わってくる。

時折、渋滞により停止するが、3秒以内であれば再発進は自動で行なう。そして自動操舵では介入したことがはっきりとわかるように操舵トルクが手に伝わる。インジケーターにはハンドルが緑に点灯し、介入を知らせる。このふたつはドライバーに、アシスト機能が介入したことを理解させるには必要なことだと思う。

渋滞を抜け、順調に流れ出す。この状態までほとんどの操作は不要で、とくにアクセル、ブレーキは全く操作しないでも問題ない。手元のスイッチで、設定速度と車間距離の調整を交通状況に応じて変えてやるとより、普通に運転しているかのように走る。

だが、急なカーブの場面では車速との兼ね合いがあるが、低速であれば何ら問題なく自動操舵するが、速度が速いと制御しきれずOFFになるシーンはあった。感覚的には、横Gがかかるようなコーナリングまでは支援しない、という制御のようだった。

新機能の先行車追従機能の稼働速度範囲拡大という恩恵は大きく、0-120km/hまで対応しているということは、アクセル操作は不要に近い。遅い車に遭遇し減速している状況から、車線変更をアナログで行なった場合でも、スムーズに再加速をする。メーカーによっては、この再加速するまでの時間が遅く、追い越し車線に出てはみたものの、クルマは加速しない、3テンポほど遅れて加速し始める、という車両が多い中、自然な加速ができる制御だ。

一方操舵では、車線の中央維持ということだが、これはケースバイケースで、やや左より、やや右よりという場合があった。おおむね、中央を維持なのだが、どういうケースか判断できなかったが、やや左に寄ってる、という場合がある。こうした場合、となりに大型トラックがいると少し不安を感じ、手動でセンターに戻す操作をした。

ちなみに、ハンドルからの両手離しでは10秒以内は許容され、10秒を過ぎると警告音と表示が出る。約20秒でシステムはオフになるというようになっていた。

結果として、スバルが実証実験で示した、「頻度」での判断は難しいが、経験的には一人で長距離、空いている高速道路、渋滞時の高速道路などの状況では非常に便利で、運転が楽になることは間違いないと感じた。だが、交通量の多い高速道路では、まだアナログで運転したほうが落ち着くという印象だった。

■自動運転なのか
自動運転をレベルに分けて、現在はレベル2での運転支援機能というのが各社の現状だ。つまりドライバーが運転における全責任を負っているということであり、アクセル、ブレーキ、ハンドルが自動で操作されていても、ドライバーへの運転支援技術であり、自動運転とは定義されない。一部、ニッサンでは「スイッチ一つで自動運転」というTVCMを流しているが、これも運転支援技術にはかわりない。ちなみにセレナに搭載されるプロパイロットよりは滑らかに操作されている。

スバルでは、この自動運転という言葉による誤解を極めて慎重に捉え、現在のツーリングアシストも運転支援技術であると説明している。

そしてレベル2の運転支援技術では、クルマの周りに起きている現象を捉え、その状況に対して自動操作されているという言い方ができる。つまり、アイサイトの場合、ステレオカメラで見える状況に対して車両が反応しているということだ。そこで、さらに安心感を増すためにも、クルマの360度モニターにより、隣に大型トレーラーがいたら、少し離れるなど、人間が行なう自然な操作も可能なのではないだろうか。

こうした制御を積み重ね、その先には「予測」という機能、性能も求められるわけで、そうなると自動運転の世界が見えてくるかもしれない。

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