現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 4.4mを超えても「ちゃんとミニ!」 新型カントリーマンへ試乗 らしい走りのゴーカート・モード

ここから本文です

4.4mを超えても「ちゃんとミニ!」 新型カントリーマンへ試乗 らしい走りのゴーカート・モード

掲載 15
4.4mを超えても「ちゃんとミニ!」 新型カントリーマンへ試乗 らしい走りのゴーカート・モード

初代から300mm長くなった3代目カントリーマン

新しいミニ・カントリーマン(旧クロスオーバー)は、もはや「ミニ」のイメージを継承していないように見えるかもしれない。先代までは、小さなハッチバックへ通じる雰囲気が漂い、サイズも大きかったとはいえ、まだ小ぶりと呼べた。

【画像】4.4mを超えても「ちゃんとミニ!」 新型カントリーマン 競合クラスのSUVと比較 全103枚

確かに、モデルチェンジを経て、カントリーマンは4433mmへ全長を伸ばした。先代から120mmも成長し、初代と比較すると300mm以上も長くなっている。

とはいえ、サイズがすべてではないことを知った。ブランドのスピリットを現代的に体現し、明るく楽しい体験を与えてくれるからだ。ちゃんと「ミニ」している。

この3代目は、ミニがバッテリーEVへのシフトを加速するタイミングで登場した、最初のモデル。電動クロスオーバーのエースマンは、間もなく登場予定にある。まったく新しい電動の3ドアハッチバック、クーパーも控えている。

ただし、内燃エンジン版もまだ廃盤にはならない。3ドアと5ドアのハッチバックには、大幅なアップデートが施されることになる。

成長したカントリーマンは、収益を得やすいクラスに相当することになった。先代までは、ファミリー・ハッチバックと比較されがちなサイズ感だったが、3代目はファミリー・クロスオーバーの領域へしっかり踏み出している。そのぶん、ライバルは多い。

プラットフォームは、複数のパワートレインへ対応したBMWグループのUKL2。BMW X1やX2と共有し、製造もBMWのライプツィヒ工場で行われる。ミニとしては、初めてのドイツ製だ。

モダンさとレトロさを巧妙に融合した車内

今回試乗したカントリーマンは、トップグレードのジョン・クーパー・ワークス(JCW)。300psと40.7kg-mを発揮する2.0L 4気筒ターボガソリンを搭載する、最もホットな仕様となる。

よりファミリー向けの設定として、1.5L 3気筒ターボもある。前輪駆動に加えて、四輪駆動も選べる。

現代のミニを作るうえで課題となるのが、1959年のオリジナル、モーリス・ミニ・マイナーを思い起こさせるスタイリングを与える方法だろう。カントリーマンは、オフローダー的に角ばらせつつ、巧みにそれが表現されている。

他方、Cピラーは太く、ルーフラインは後方へ長い。実際に目の当たりにすると、数字以上に大きく感じられた。

JCWでは、専用のフロントグリルとエアロキットを装備し、CピラーがJCWのエンブレムで飾られる。同時に、きらびやかなクロームメッキ・トリムは排除。無駄を削ぎ落とした美しさと、リサイクル素材の利用へ意識が配られている。

インテリアは、モダンなシンプルさとレトロな風合いを、巧妙に融合。従来のミニ・ファンの期待にも応える仕上がりだろう。明るく開放的で、適度に高級感も備わる。他に流されず、楽しさを演出できている。着座位置は高めで、視界は広い。

ボディの拡大に合わせて、車内空間も広がった。フロントシート側はもちろんだが、リアシート側も130mmスライド可能で、身長の高い大人でも窮屈に感じることはない。荷室容量は460L。現行の日産キャシュカイ(旧デュアリス)より大きい。

思わず見惚れる円形タッチモニター

ダッシュボード表面は、リサイクルされたポリエステル素材で覆われ、ツートーンのコーディネートが華やか。トリムグレードに合わせて、多様なデザインが設定されるという。JCWの場合は、レッドとブラックの2色になる。

中央には直径9.4インチの、丸いインフォテインメント用タッチモニターが突き出ている。ミニによれば、OLEDタイプの採用は量産車初だとか。初めて乗ると、大きなスピードメーターが美しく描き出され、思わず見惚れてしまう。

少し時間が過ぎると、メーター用モニターが備わらず、ダッシュボードに殆どスイッチが存在しないことへ気付く。モニターの下には、イグニッションとオーディオ、シフトセレクター、エクスペリエンス・モードのハードスイッチが並ぶ。

さらに下部には、スマートフォン用のワイヤレス充電パッドと、カップホルダーが2つ。小物入れも備わる。JCWではヘッドアップディスプレイが標準装備で、速度などが投影される。

インフォテインメント・システムは、BMWのiドライブがベース。円形モニター用に改良を受けており、ミニ独自のアプリも実装する。画面上部はメーター用エリアで、ヒーターなどのインターフェイスが周囲にレイアウトされる。

試乗車ではソフトウエアの動作が遅くなる場面があったが、アップデートで改善されることへ期待。エアコンの温度などはスライダーで表示され、タップすると拡大されるものの、実際に押せるハードスイッチの方が操作はしやすい。

ミニらしい操縦性のゴーカート・モード

音声操作システムが実装され、パーソナルアシスタントとして、スパイクと名付けられた犬のキャラクターが反応する。子どもには喜ばれそうだ。

先述したエクスペリエンス・モードには、8種類がある。タッチモニターのグラフィックやドライブモードを統合したもので、その名の通り運転体験に変化を与えてくれる。

例えばゴーカート・モードを選ぶと、JCWではブラックとレッドのグラフィックになり、タコメーターが描かれる。タイムレス・モードでは、クラシックなグラフィックのスピードメーターが描かれ、カラーもセピア調に変化する。

モードを切り替えると、サウンドロゴも鳴る。スーパーファミコンからサンプリングしたような、デジタル音が。

またゴーカート・モードでは、エンジンのレスポンスやサウンド、サスペンションなどがスポーティに。シャープな走りを味わえる、いわゆるスポーツ・モードだ。同様にコアはノーマル、グリーンはエコと考えるとわかりやすい。

このゴーカート・モードは、特にミニらしい操縦性を体現したものだろう。同社の開発技術者と会話を交わすと、必ずといっていいほど「クラシックなゴーカート・ハンドリング」を提供したい、という考えを口にする。

SUVにとって、簡単な要求ではないかもしれない。それでも、ステアリングホイールを握ってみると、確かにダイナミック。遊び心を感じ取れる。

個性的で望ましいクロスオーバーの選択肢

ステアリングの反応は、ダイレクトでクイック。素早い旋回を軽々と披露する。印象としては、X1よりシャープでファン。それでいて、操縦系には適度な重み付けもあり、安定性も疎かになっていない。

JCWの場合、サスペンションが通常より引き締められ、乗り心地は硬め。我慢を強いるほどではないが。試乗車は20インチ・ホイールを履いていたが、段差の衝撃は充分になだめていた。

四輪駆動システムは、トラクションのバランスを高めながら、カーブでの落ち着きに貢献。タイヤサイズは2代目からワイドになり、グリップも充分以上といえた。

BMW譲りの4気筒ターボガソリンは、パワフルでレスポンシブ。0-100km/h加速5.6秒を疑わない勢いがあり、トルクも太く粘り強い。質感もプレミアムだ。

車内で聞こえるエンジン音には、レーシングカーへ影響を受けたという、人工音が重ねられる。JCWを名乗るホットハッチ的な気分を高める、と感じる人もいるだろう。

とはいえ、ドライバーズカーと呼べるわけではない。楽しさがプラスされるJCWであっても、カントリーマンは実用的なファミリー・クロスオーバーだといえる。

しかし、ミニらしいプレミアム感や若々しい雰囲気は大きな魅力。実用性も悪くなく、サイズは合理的なもの。ライバルモデルへ埋もれない、個性的で望ましい選択肢が誕生したといえる。ミニと呼べる大きさではないが、確かにミニだと感じた。

ミニ・カントリーマン・ジョン・クーパー・ワークス ALL4スポーツ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万425ポンド(約752万円)
全長:4433mm
全幅:1843mm
全高:1656mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:12.0-12.8km/L
CO2排出量:177-188g/km
車両重量:1660kg
パワートレイン:直列4気筒1984cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps
最大トルク:40.7kg-m
ギアボックス:7速オートマティック(四輪駆動)

こんな記事も読まれています

やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web

みんなのコメント

15件
  • zoo********
    全長4.5m、全幅1.85、車重1.65トンの立派なサイズのSUVでゴーカートモードに入れて街中を駆け回るのはやめてほしい。
  • ******
    原宿とかにいる、標準体重を30キロはオーバーしてるのにゴスロリとか着てる女子と似てる
    ドスロリ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

178.9209.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.0495.0万円

中古車を検索
ミニの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

178.9209.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.0495.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村