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【試乗】日産 GT-Rが2011年モデルで手に入れた「テールを破綻させない」基本性能【10年ひと昔の新車】

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【試乗】日産 GT-Rが2011年モデルで手に入れた「テールを破綻させない」基本性能【10年ひと昔の新車】

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、2007年にデビューした日産 GT-R(R35型)の2011年モデルだ。

日産 GT-R(2010年:イヤーモデル)
R32/33/34の、いわゆる「第2世代のスカイラインGT-R」は、日産独特の四輪駆動制御システム「アテーサE-TS」が、タイヤのグリップ状況を把握し、前後駆動配分を変動させる。そのため、本来の性能を引き出すのはなかなか難しかった。ところがR35 GT-Rは、トランスアクスル方式を採用して、トランスミッションとデフがリアに移動し、重量配分が改善された。これで基本性能が上がり、「誰でも」とは言わないが、そのパフォーマンスを扱えるようになった。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

そのGT-Rの2011年モデルが登場し、最高出力は530psにパワーアップ。あの怪物マシン、フェラーリ F40を50psも上回る。トランスアクスル化したとはいえ、トラクション性能でまだミッドシップ車に劣るはずのフロントエンジン車で、制御可能なのだろうか? その進化をサーキットで試すことになった。

大パワー車はタイヤが冷間時だと簡単にホイールスピンしたり、テールスライドしたりして、発進に気を遣うものだ。ところがGT-Rは安心してアクセルを踏み込める。0→100km/hの発進加速は、実測テストで3.0秒を記録した。これはホイールスピン量をコントロールするアテーサなくしてはありえない。ところがコーナーではVDC(いわゆるスピン防止装置)の制御が入り、3000~4000rpmでエンジンが頭打ちとなる。2011年モデルでさらにグリップが向上した20インチタイヤだが、それでも530psのパワーが簡単にブレークさせてVDCが介入し、エンジン回転を抑えてしまう。

そこで、手元のスイッチでVDCをカットする。通常なら2速で走るタイトコーナーも、トルクが強烈なので、立ち上がりでアクセルを踏み込むと簡単にホイールスピン、そしてテールスライド。カウンターステアを当てたり戻したりが忙しく、コーナー出口までなかなかアクセルを全開にできない。むしろ3速を選んでアクセルを踏み込んだ方が車速が伸びた。それでも全コーナーでパワードリフト状態となる。このクルマで速く走ろうとするなら、オン・ザ・レール的な走りはあり得ないようだ。

歴代GT-Rの中では、もっとも運転しやすいクルマだろう
そもそも大パワー車は非常に繊細な運転が必要だ。だからといって、グリップ走行では遅い。しかもリアタイヤが一気に滑った瞬間に、コントロール不能に陥るケースがある。それなら事前にパワースライドさせておいた方が安全だ。とはいえ、パワーをかけてタイヤを滑らせ過ぎてもダメだ。

要は、小さめのドリフトアングルがコーナリング中に持続する運転を心がけることだ。ミッドシップの場合、ハンドルをわずかに切り込むかゼロカウンターの範囲が理想的だ。このとき、後輪の滑り量にとても気を遣うのだが、GT-Rは、滑りながらもグリップしている感じなので、一気に滑ってしまう怖さの感覚が薄い。数周の試乗で試す機会は少なかったが、もっとドリフトアングルをつけても、テールは破綻しない感じだ。ターンインでも、もっと急激に回頭させてもいいようだ。

それにしても、530psなんて誰にでも扱えるものではないと思っていたのだが、乗ってみると、絶大な安定性を持っていることがわかった。最後の最後、破綻寸前で、たとえドライバーが適切なカウンターステアを当てられないとしても、E-TSが介入して前後配分を変えてカウンターを当てたのと同じ効果を与えてくれる。だからVDCをカットしていても、誰でも安全に使いこなせる。これはスゴい。最新のフェラーリでもなしえていないことだ。

それでも、本当に突き詰めて極限のタイムを出すには、E-TSの機構を知り抜かなければならないだろう。そこまでしなくてもいい、ストレスもなく、爽快に速く走りたいというレベルには、誰でもたどり着ける。それは車体の基本性能が向上し、感覚的に乗れるようになったからだ。

それにしても、R35 GT-Rというクルマは作り手のこだわりを感じさせる。何でも取り入れて進化させていこうとする作り手の「志」が、530psという途方もないスペックを持ったマシンを、安全な乗り物に変えた原動力なのであろう。

■日産 GT-R Pure edition 主要諸元
●全長×全幅×全高:4670×1895×1370mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:1730kg
●エンジン種類:V6 DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:390kW<530ps>/6400rpm
●最大トルク:612Nm<62.5kgm>/3200-6000rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:フロント縦置きトランスアクスル4WD
●10・15モード燃費:8.5km/L
●タイヤ:前255/40ZRF20、後285/35ZRF20
●当時の車両価格(税込):869万4000円

[ アルバム : 日産 GT-R(2011年モデル) はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

5件
  • 前回のzといいこれも現行って言う日産のやる気のなさ
  • 絶望的にカッコ悪い車。
    どんなに、性能が良くても、欲しくはならないね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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