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WTCR:eシリーズ開幕戦はグエリエリ、タッシのホンダ・シビック・タイプR勢が連勝発進

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WTCR:eシリーズ開幕戦はグエリエリ、タッシのホンダ・シビック・タイプR勢が連勝発進

 7月14日(日)に仮想空間のザルツブルクリンクで開幕したWTCR世界ツーリングカー・カップの新たなeシリーズ『Pre-season Esports WTCR Championship』のシーズンオープナーは、エステバン・グエリエリ、アッティラ・タッシのALL-INKL.COM Münnich Motorsport勢のFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRが、幸先よく連勝発進を決めている。

 WTCRプロモーターであるユーロスポーツ・イベントは、開幕が延期されている現状に対しすでに4戦のeスポーツ・シリーズを開催してきたが、この7月14日から7週間にわたってEurosport TVでの中継を前提とした全6戦のPre-season Esports WTCR Championshipの実施を決断。プロゲーマーも参加できた従来のシリーズとは異なり、現実のWTCRに参戦するレギュラー勢のみを対象とするイベントに変更された。

WTCR:本格eシリーズを追加開催。リアルドライバーのみエントリーの全6戦を予定

 またレースフォーマットは10分間の予選後にトップ5シュートアウトが実施され、その成績によって12分間のレース1を開催。続くレース2も前戦結果トップ10のリバースグリッドから12分間のレースを実施する、約1時間の勝負が繰り広げられた。

 その注目の予選で最速をマークしたのは、2019年にPWR Racingから最高峰シリーズにデビューした2018年TCRヨーロッパ王者のミケル・アズコナで、今回はチームの体制発表前であることからCUPRA Racingのエントリー名で参戦。仮想空間ではあるものの、新型『CUPRA Leon Competición TCR(クプラ・レオン・コンペティションTCR)』での記念すべき初ポールポジション獲得となった。

 しかしレース1オープニングラップの1コーナーでは波乱が待ち受けており、そのポールシッターの背後から迫ったCyan Racing Lynk&Coのヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)が新型クプラにハードヒット。アズコナは早々にリタイアへと追い込まれ、巻き添えのタッシはスピンを喫し、オーレリアン・コンテ(プジョー308 TCR/DG Sport Compétition)やアンディ・プリオール(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)もトラブルを抱える事態に。

 これで楽になったのがグエリエリで、事前のeシリーズで現役勢唯一の勝利を飾っていたアルゼンチン出身のマイスターは、マット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing Team)やベンス・ボルディズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/Zengő Motorsport)らを従え、12分間のレースで一度も首位を譲ることなく快走。

 さらにレース最大時間経過直後の“ロスタイム・ファイナルラップ”では、4番手を走っていた現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)が、シム出身者の意地を見せてボルディズをオーバーテイク。最後の最後で表彰台の一角を獲得してみせた。

「初戦で勝てたのは良かったけど、ヤンとアズコナが最初のシケインで絡んだのは残念だったね。冷たいブレーキでのバーチャルな接近戦……この環境はかなりトリッキーなんだ。でもお陰でクリーンな状況を手にしたよ」と、ライバルを案じつつ初戦を振り返ったグエリエリ。

「ただ背後にはマットが張り付いていて、ハードにプッシュしてきたのでまったく気が抜けなかった。とにかく最初の勝利を飾れてうれしいし、選手権でも良いポイントが得られた。2位のマットと3位に滑り込んだノルビにもおめでとうを言いたい」

 続くレース2はトップ10リバースグリッドを採用するため、テッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)がポール発進となったが、1コーナーシケインで縁石を乗り越えオーバーシュート。これで首位に立ったのがタッシで、レース1に続き再びシビックが主導権を握る展開となる。

 その背後では、2周目に入ってミケリスがビョークを捕らえ2番手に浮上。さらに後方では、前戦で苦汁を飲んだアズコナが猛チャージを披露し、3周目にはニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS/Comtoyou Team Audi Sport)をアウトサイドから豪快にオーバーテイクし、4番手にまで上がってくる。

 その勢いは止まるところを知らず、続くラップのターン11では片側2輪をグラスエリアに落としながら、ビョーク、ミケリスを立て続けに仕留めて2番手に浮上。さらに首位タッシとの差も詰めていく。

 レース1同様12分間の決勝で最大時間を迎えたファイナルラップ。ついにシビックの背後に迫った新型クプラだったが、ターン12で勝負に出たアズコナもその仕掛けは成功せず。タッシが逃げ切りホンダ・シビック・タイプRが連勝。2位アズコナ、3位ラングフェルドのリザルトとなった。

「最初のレースは僕のプランとはかなり違う展開になって大きなクラッシュに陥ったけど、レース2ではうまくスタートを切り、ビョークを仕留めてからは後続にスリップを使われないようにギャップを作ることだけに集中した」と振り返ったタッシ。

「ミケルが2番手に上がってきてからは毎周のようにギャップを詰められたけど、僕としてはタイヤのマネジメントに意識を払っていた。でも最初のシケインで慎重になり過ぎていて、最後は緊迫した展開になってしまった。でもラッキーなことにトップチェッカーを受けることができた。とてもうれしいね」

 この結果、レース2でも8位入賞を果たしたグエリエリが選手権首位に立ったPre-season Esports WTCR Championship、続く第2戦は7月21日(日)のハンガロリンク戦が予定されている。

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