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アウトウニオンにサーブ、ネッカー、ランチア 1960年代の小さなファミリーカー 中編

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アウトウニオンにサーブ、ネッカー、ランチア 1960年代の小さなファミリーカー 中編

V型4気筒エンジンを搭載するアッピア

コレクターのフレドリク・フォルクスタッド氏にお持ちいただいた最後の1台は、ペールブルーのランチア・アッピア。リア・サスペンションにスライディングピラー式を継承した、最後のランチアだ。

【画像】1960年代の小さなファミリーカー アウトウニオンにサーブ、ネッカー、ランチア 全44枚

1953年の発売から1963年までの間に、9万8000台が製造されている。ザガートやピニンファリーナが手掛けた2ドアモデルは含まないから、ランチアとしてはかなりの多売だったといえる。

アッピアは、アルデーアの後継モデルとして、V6エンジンのアウレリアと並行して売られた。ブランドの経営を、多少立て直したことは間違いないだろう。優れた技術に小型ながら上品な雰囲気を併せ持ち、フィアット1100と良好に渡り合った。

エンジンは1090ccの4ストロークV型4気筒。観音開きドアのセンターピラー・レス構造を備えたボディも特徴で、シリーズ3まで改良が重ねられている。当初38psだった最高出力は、晩年には48psへパワーアップを果たしていた。

1956年のシリーズ2では、改良を受けた3ボックスボディと14インチのホイールを獲得。今回のシリーズ3では、ボディのシルエットは同じながら、フラミニア風の縦に長いフロントグリルが与えられている。当時のランチア・ファミリーらしい見た目だ。

シリーズ3単体での生産台数は5万5000台に達し、3世代のアッピアで最も高い人気を誇った。2系統のブレーキなども備え、技術的にも進んでいた。

生産国の個性が明確なスタイリング

4台揃った1960年前後のコンパクト・ファミリーカーだが、2台のイタリア車は近似して見えるかもしれない。アッピアもネッカー・ヨーロッパも、1950年代のローマの街並みを想起させる、チャーミングなスタイリングが与えられている。

一方で、球根のようにずんぐりと丸いアウトウニオン1000 Sは、ビートルが幅を利かせていた時代のドイツ車的。反面、その頃のデザイン的な感覚にとらわれていないのが、サーブ96。空力特性も配慮されており、必要以上の装飾もない機能美がある。

車内を観察して気付くのは、どれもがコラムシフトだということ。その頃に流行ったシフト・レイアウトだった。その構造を活かし、ランチアはフロント側にもベンチシートが用意され、広く見える。

サーブの白く大きいステアリングホイールは、左側にオフセットしている。ダッシュボードには丸いメーターが並び、ペダルは吊り下げ式。残りの3台は、フロアヒンジ・タイプだ。アッピアのインテリアはどこか禁欲的。後部席は、足もとの空間が広い。

アウトウニオンは全幅1694mmと、一番幅が広いものの、パッケージングでは及ばない。フェイクウッドのダッシュボードへ、温度計のように縦に長いスピードメータが据えられている。ステアリングホイールは卵型だ。

シートは肉厚で、車内空間にはあまり余裕がない。ドアを開くと、大きく湾曲したフロントガラスが出っ張り、乗降時に膝をぶつけそうになる。リアシートも正直狭い。

110km/hでの巡航は可能だが、伸びない燃費

4速MTのシフトフィールが一番良いのは、元フィアット1100のネッカー。ランチアも拮抗している。シフトレバーはゲートに沿って正確に動き、特に考えることなく、自然に変速できる。

アウトウニオンでは、1速が2速の下で、3速は4速の下。シフトの配置が逆で練習が必要だが、レバーの動きも滑らかではない。

サーブはその中間。フリーホイールが備わり、エンジンブレーキは効かないが、クラッチペダルの操作なしにシフトダウンできる。白煙で周囲を霞ませながら進む姿は、さほど速くは見えないけれど。

2ストローク3気筒エンジンは、低回転域では特徴的なバタバタというノイズを放つ。だが、回転数の上昇とともに滑らかさを高め、ノイズも変化。4ストロークの6気筒エンジンのような、美しい声を聞かせてくれる。

トルクが足りない出だしは、確かに賑やか。吹け上がりも鈍く、スピードを乗せていくには積極的な変速操作が必要ではある。それでも、サーブ96ならさほど面倒には感じられない。

アクセルペダルを踏み込むと、サーブもアウトウニオンも110km/hでの巡航が可能。特に気張る必要もない。燃費は9.0km/L前後といったところで、現代の1.0Lエンジンとは比べ物にならないほど悪い。

効率の悪さは、当時でも2ストローク・エンジンの課題だった。給油の度に、エンジンオイルをガソリンに混ぜなければならない手間も。

この続きは後編にて。

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