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ソアラ、プレリュード、シルビア……懐かしきデートカーの時代!

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ソアラ、プレリュード、シルビア……懐かしきデートカーの時代!

「デートカー」って!?


岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第205回

価格は31億円!? 「ロールス・ロイス」が製造した究極のフルオーダーモデルとは?


1980年代後半辺りから90年代前半辺り、、いわゆるバブル期には、「デートカー」と呼ばれるクルマが人気を呼んだ。

「デートカー」とは、、「デートのためのクルマ」であり、「女性に人気のクルマ」であり、「女性にモテるクルマ」を指した。

カッコいいクルマ、贅沢なクルマに乗っていれば女性にモテる、、このこと自体はずっと前からあったことだし、いわば普遍的価値観とも言えるだろう。

もちろん、「クルマなんて、どうでもいい。好きな人は好き、嫌いな人は嫌い!」という女性も多いはず。でも、もし、そうであっても、、好きな人が素敵なクルマに乗っていたら、「いいね!」とはなるだろう。

しかし、あのバブル期、ちょっとおかしかった。浮かれ病という病に侵され、日本全体が「盆踊り状態!?」といった感じだった。

クリスマス直近になると、5つ星ホテルには若いカップルが多く見られ、その手にはティファニーブルーの紙袋が、、。

紙袋の中には、当時爆発的にヒットしていたオープンハートペンダントを納めたケースが入っていたはず。


彼と彼女は、ティファニーでペンダントを買った後、5つ星ホテルでディナー。そしてそのままホテルで一夜を、、そんな贅沢な1日を過ごしたのだ。

ティファニーの店では、若いカップルの列が入り口の外にまで、、。ラグジュアリーブランドの店では、「常識的にはありえない」光景もみられた。

浮かれ病に侵されたのは大人も同じ。、、だが、なぜか、若いカップルに引き起こされたティファニー現象!?が、妙にクッキリと記憶に残っている。

ありえないといえば、、バブルマネーによるアメリカ不動産買収もすごかった。NYの名所にして、アメリカの魂ともいわれたロックフェラーセンターやエンパイアステートビルまで、日本マネーは買ったのだ。

そんな様相は、当然、クルマの世界にも及んだ。そして、生まれたのが「デートカー」なるもの。

僕が初めて「自分のクルマ」を持ったのは1959年。19才の時だが、いちばんの目的はデートに使うことだった。

真剣に好きなひとができたのだが、彼女の家には、ビュイック スーパーとシトロエン2CVがあった。要はクルマ好き一家で、クルマで動くことが日常。、、そんな環境にいるひとだったのだ。

だから、僕もなんとかしなければと必死に金策をした。結果、タクシー上がり再生中古車ながら、自分のクルマを手に入れた。このくだりは前にも書いた。

車種はルノー 4CV。「好きなボディカラーに塗る」というオプションに飛びつき、アイボリーとチョコレートの2トーンに塗った。


これは大成功。フランス車の粋みたいなものが、いい感じで表現できた。彼女も「素敵ね!」と喜んでくれた。

自由に使えるクルマをもったおかげで、デートの行動範囲は格段に広くなった。

彼女も僕も大好きだった湘南方面にも頻繁に行った。タクシー上がり再生中古車ながら、デートカーとしてフル活動してくれた。

しかし、日本での乗用車の普及が始まったのは1960年代後半から。

まずは小型大衆車や軽乗用車の普及から始まるが、若者たちが自分自身のクルマを選び買う、、そんな時代が来るまでにはまだまだ時間がかかった。

そう、そんな時代の気配が感じられ始めたのは1980年代に入ってから。そして、バブル真っ盛りの80年代後半から一気にヒートアップしていくことになる。

スタイリッシュなスペシャルティカー、、つまり「デートカー」の先陣を切ったのは、初代セリカか、2代目シルビアか、、そのあたりの流れはわからない。 

だが、流れに火をつけたのは、1982年に発売された2代目プレリュードと言えるのではないか。

それより1年前の1981年にデビューした初代ソアラを推す人も少なくないとは思う。ソアラが女性に大人気だったのも確かだ。

僕の周りにもソアラを買った人が3人いた。ほんとうにモテたかどうかは知らないが、女性と会うと、「あなたソアラに乗ってるのね!」みたいなことをよく言われたそうだ。

でも、ソアラは高価だし、若者にとっては簡単に手を出せるクルマではない。

となると、「デートカーの祖」はやはり2代目プレリュードと言っていいのではないか。


4295×1690×1295mm、、ゆったりしたサイズと低い車高は、ちょっぴり贅沢感のある、スタイリッシュな2ドア クーペを生み出した。

スタイリッシュとは言っても、気を衒ったところはない。低く伸びやかなプロポーションは、オーソドックスな3ボックスだからこそ、プレミアム感がより強く印象付けられたとも言える。

プレリュードは、日本車では珍しく「赤が似合い、赤が売れた!」。白のプレリュードもよかったし売れもしたが、赤が目立った!

走り的には、とくに突出したところはなかったものの、軽快でスポーティ。楽しく、気持ちのいい走りを味わわせてくれた。

ただし、1985年に追加された「2.0S i」はエンジンもシャシーも一段と強化され、走りの面でも注目される存在になった。

上記のプレリュードとともに、「デートカー」の全盛期を支えたのは「S13型、5代目シルビア」だ。

バブルが頂点に差し掛かった頃、、1988年に登場したが、ほんとうにスタイリッシュだったし、FRレイアウトがもたらすスポーツ性は走り屋にも大ウケした。

同年の日本COTYと同時に「グッドデザイン大賞」をも受賞。ルックスと走りの実力を兼ね備えた実力車だった。

イメージカラーのライトグリーンとブラックの2トーンカラーは、今でもしっかり記憶に残っている。ほんとうにいい色だった。

服装とのコーディネートの幅も広く、その辺りを気にする女性にも拍手で迎えられた。

エンジンは初めは1.8ℓだったが、1991年のマイナーチェンジで2ℓにアップ。後者のターボモデルは205ps / 28.0kgmを引き出し、FRとの組み合わせがもたらす「戦闘力」は「走り屋」をも熱狂させた。


そう、5代目シルビアは、一方では「デートカー」として、もう一方では「走り屋御用達グルマ」として、若い人たちに絶大な支持を受けたということだ。        

バブル時代は、女性間で「彼の持つクルマのランク付」が行われ、それによって女性のヒエラルキーも左右される、、そんな、ある意味、過酷な!?競い合いもあった。

アッシーくん、メッシーくん、(プレゼントを)貢ぐくん、、、男にとっては屈辱的かもしれないが、同時に、笑えもするような言葉も流行った。

でも、それはそれとして、「みんなが楽しかったのだから、よかったんじゃないの!?」と僕には思える。

ちなみに、僕はといえば、とうに結婚していたし、若くもなかったので、こうした楽しみは経験していない。

でも、街は活気に満ちていて、若い人たちは楽しそうで、カッコいいクルマが次々出てきて、僕にしても結構な収入があったし、、「楽しい時代だったなぁ!」と思う。

もし、バブル期に僕が「デートカー適齢期」だったら、どんなクルマを買っただろうか。

素敵な「デート相手」を見つけるために、必死にカッコいいクルマを買って、毎夜、六本木を流しただろうか、、。けっこう楽しい妄想が膨らむ。

今の時代感覚では、安い駐車場を探してウロウロするよりも、アプリを使ってサッとタクシーを呼ぶ方が女性ウケするかもしれない。

でも、週末の遠出や、美しい夜の街のクルージング、好きな音楽に包まれた二人だけの時間と空間、、こうしたものはクルマでしか得られない。

若い人のクルマ離れが進んでいるとされる中で、「今という時代のデートカー」ってどんなクルマなのかを考える、、、面白いテーマかもしれない。 


● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト


1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

本連載で毎回素敵なイラストを描いくださっている、溝呂木先生の春の個展が開催。昨年訪れたル・マン クラシックとパリの女性たちをテーマにした水彩画、模型、個人模型雑誌や画集などを展示販売します。在廊日には水彩画実演も行うそう。

会場/アルファロメオ池袋 
住所/東京都板橋区中丸町53-15 ヒルトップ・スクエア 1F
TEL/03-3530-0311
HP/https://ikebukuro.alfaromeo-dealer.jp
会期/2023年3月19日(日)~4月2日(日) 10~18時 入場無料 火曜定休 祝日営業
在廊日/(水彩画実演)3/19.21.26、4/2 入場無料


溝呂木陽水彩展2023春 アルファロメオ池袋
~Parisの女性とルマンクラシックinアルファロメオ池袋~

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みんなのコメント

10件
  • 90年代には、5代目セリカGT-R、6代目セリカSS-Ⅱと乗り継ぎました。
    独身時代はデートも大事ですが普段使いも大事なので、3ドアHBのセリカが最適でした。
    結婚してからは、休日家族とはスライドドアの妻の車で移動し、
    自分は通勤専用で良くなったので、2ドアオープンにしてます。
  • 今のアホファードを有り難がるキッズが可哀想だよね
    デートカーも知らずに貨物車乗ってイキってるんだから
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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