2024年10月から納車開始!
情報キャッチの早い方々ならばすでにご存知と思われる、“折り畳み可能でエポックな造りの電動バイク”──発表時から外国でも好評を博していたICOMAの「タタメルバイク」、その試乗レポートです。
このバイクを製作したのは、株式会社ICOMA代表取締役の生駒崇光氏。2016年に浮かんだ構想から試作を開始し、試作車の発表がネット上でバズったのが2021年。その後、正式に会社を興したのが2021年という流れを経て、初期ロット受注を2023年5月から開始。今年2024年の10月から順次、市販モデルの納車が始まります。
実を言うとこのタタメルバイク、生駒さんのラボが筆者とご近所ということもあって、千葉県柏市の小さなテストコースで開催された初期モデルの試乗会にお誘いいただいたことがありました。
初期のタタメルバイクの動力性能には、もう少し力が欲しいと感じたことを覚えています。ハンドリングには不安感が少なく、ジオメトリーは理にかなっていたようにも記憶しています。
それはともかく、コンパクトに畳めて、ガソリンの臭いもせず、室内に持ち込んで普通に保管できるという点で、実に画期的な車両であることに間違いはなく、改良を施された市販モデルの完成が楽しみでした。
走行状態から畳んで四角い格納状態にするには、ほんの数分しかかかりません。慣れてしまえば1分程度で畳めてしまいます。ただ、スタンドをかけるときだけ、バッテリーや構成部品の数で重さを感じるかもしれません。
【 画像ギャラリー 12枚】電動「タタメルバイク」市販モデルに試乗!軽快、静か、そしてオシャレに街を行く!……の写真を見る!
※以下、「■~」は写真の説明文。写真は【画像ギャラリー】にまとめてあります。
■一連の収納&展開シーンは同社の広報担当でもあるグラフィックデザイナーの磯部凛さんにお願いしました。スタジオまで完備!
■走行写真は同社久保谷尊さんに流し撮りしていただきました。
■タタメルバイクの発表後、有志が集まり電費テストと試乗を一日フルに実施した日の記録写真。電動関係に痛バイク関係、自作四輪の愛好家が結束を深めていった時期です。
耐久テストに、筆者も協力……ブラッシュアップ!
市販モデルの熟成に向けたさなかのある日、生駒氏のラボから連絡を受けて訪ねると、耐久テストをしたいというお話でした。
バッテリーは消耗しだい交換。時期は冬。60kgのウエイトを後ろに積み、好きなように走ってもらいたい……という要請でした。関節的な可動部分が磨耗したりガタが出るかもしれませんよ~と、あらかじめ予想されることをお話しておいて、真冬の深夜の郊外で騒音を出さず(ステップはガリガリに削れたけど)、ひたすら走らせて、各部のガタの出かたやモーターの回り具合、ハンドリングの変化をテスト。
ウエイトの重さは私の体重よりも重く、コース設定したルートの最終エリアには激坂もあって、速度を5km/hにまで低下。それでも試作型のタタメルバイク号は各部にかなり負荷をかけられながらも頑張ったように思います。
規定距離を走り終えるころには、率直に言って各部バックラッシュが増えてガタが生じたほど。そんな荒っぽい使い方も想定に入れ、生駒さんと開発スタッフはタタメルバイク製品化に向けてブラッシュアップに励んだのです。
■タタメルバイクの右7:3。ボディ側面のカバーでホールドしやすい構成。ステップの位置は前よりで、窮屈さはあまり感じません。
■左斜め後ろからのアングル。スイングアームのメカっぽさに、意外やトラデ ィショナルな角度のショックユニットが目を引きます。
市販モデル、短いホイールベースに合わせて走ってみる
そんな経緯もありまして、市販モデルとしていっそう改良されたであろうタタメルバイクを改めて眺め、少し感慨深くなりながら試乗させていただきました。
タタメルバイクは短時間で乗り慣れる車両です。交通法規を遵守しつつもある程度流れに乗って走らせた方が安全な場面もあるため、30km/hを少し超えて走れる“モード3”に設定して走らせてみました。ほかにも「電力消費を抑え低速重視」のモード2などがありますが、実際、モード3の方が一般的使用状況に近いと考えたからです。
出だしはスムース。耐久テストで60kgのウエイトを積んでいたときとは打って変わって軽快に走ります。個人的には特徴的と感じていたリヤショックユニットの角度はヤマハの初期のモノサスを思わせる傾斜設定であり、よくタタメル機能を持たせながらこのサスの取り付け方ができたものだなあと感じ入るばかりです。
ただし、このコンパクトさと引き換えになっているのが短いホイールベース。不整気味な舗装路面ではピッチングの面でどうしても弱く、大きなバイクと比べると前後に揺すられがちで安定の面で不利なのは否めません。なので、調子に乗ってスピードを出さず、安全上必要があっても法定速度プラスα程度までにとどめて走るのが法的にも快適性的にも良好のようです。
直進性が外乱によって著しく落ちることはありませんが、後輪のサイズが小さいこともあって路面のデコボコにちょっと弱いのは仕方がないでしょう。また、適度な速度で走るのは、バッテリーを消耗させにくくなるという面からも好ましいでしょう。
■収納可能なハンドル周り。展開時にはこのように一文字ハンドル風に。
■シートの着座面は展開時には後ろにスライドさせ、ポジションに余裕ができるように考慮&作り込まれています。
■やや簡素ながらフロントサスにもバネ&ダンパーが付いていて、衝撃を緩和。本文でも述べましたが、当たりが取れていない初期はピッチングもそれなりにあるので、慣らしも含めてスクーターなどよりも丁寧に扱う方が長持ちの秘訣となりそうです。
■スイングアーム後端には収納時の移動がしやすいようにローラーが付いています。随所にロボット変形的な収納のためのアイデアが散りばめられているのです。
■後方からシートとボディ上部のカバーを撮影。シート後部にはスタンドをかける際などに便利なレールを搭載。基本的にはボディ側面のパネルには触れずに、各種動作ができるようになっている。
バッテリーが空になるまで試乗……静かで楽しい!
電動車両としてとても気になるそのバッテリーの消耗も、表示がゼロになるまで試走実験してみました。
普通にスクーター的に市街地で使用してみて、フル充電状態から“エンプティ”状態になって完全に止まるまで、モード3で23kmほど走りました。速度のリミットを下げたモード2以下ではもっとたくさんの距離を走れるかもしれませんが、実用性を考えるとモード3で20km程度を走行したら充電できる体制を構築(充電場所を確保)しておくのがよいようです。静かで、楽しいです。今の時代には大事ですね。
一方、ボディ側面のパネルをアレンジして遊べるのも、このバイクの特徴。オーダーで特注するもよし、オーナー自身でイラストを入れたり“痛車”にして楽しむもよし。スクエアなボード全体が使えるのですからアレンジしやすいでしょう。バッテリーの交換や充電の際も、このパネル(左側)を開けて行います。
興味を持たれた方は、ぜひ機会をみて試乗していただきたいと思います。直近ではライコランド東雲店でも試乗展示をされていたようです。
■メインスイッチのボタンを長押しすると走行可能になります。画面左側の「1」は、デフォルトで走行モードが「1=ゆっくりペース」にセットされていることを示しています。
■走行モードの変更はこちらのボタンで「+」を押していくと「1」→「2」→「3」と速度の伸びが上がる。試乗と電費の実験は、モード3で実施しました。
○「タタメルバイク」主要諸元&価格
バイク状態:全高1,000mm×全長1,230mm×全幅650mm
折り畳み状態:全高690mm×全長:690mm×全幅260mm
規格:原付一種(普通免許で運転可能)
車体重量:63kg
最高速度:≦45km/h
航続距離:≦30km(満充電時)
フロント/リアサスペンション搭載
フロントホイール:10インチ
リアホイール:6.5インチ
※国内メーカースクーターと同等の走破性
モーター:定格出力600W 最高出力2000W
バッテリー:リン酸鉄リチウム電池(51.2V)
バッテリーライフサイクル:2000~3000回
バッテリー定格容量:12Ah(約0.6kWh)
耐荷重:100kgまで
サイドパネル:サイズH350mm×W570mm (素材やカラーの変更が可能)
USB出力完備
○価格
価格:498,000円(税込み/送料別途 2024年10月頃から順次渡し)
取材協力:ICOMA Inc.
レポート&撮影●小見哲彦/ICOMA
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みんなのコメント
が、重いし、高いな。