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シンプルなルール変更で、F1モナコGPは退屈じゃなくなる? ラッセルがアイデア提案

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シンプルなルール変更で、F1モナコGPは退屈じゃなくなる? ラッセルがアイデア提案

 2024年のF1モナコGPは、トップ10が予選と全く同じ順位でフィニッシュ。1周目の赤旗でタイヤ交換義務を消化し、ピットストップする必要が無くなったこともあって、かなりペースを落としてタイヤをマネジメントするシーンも見られた。

 F1マシンが大型化し、重量が増すにつれて、スリリングなホイールトゥホイールのバトルを生むという点で、モナコの市街地コースが手狭となっているのは明らかだ。

■モナコGPって眠くならない? ハミルトン、レースを盛り上げる策を提案「特別なタイヤを用意して、ピット回数を増やそう!」

 後ろのマシンにオーバーテイクされる恐れが全くないことから、大胆なペースダウンとタイヤマネジメントが可能となっていた。

 こうした状況を受けて、適切なオーバーテイクポイントを設けるために、モナコのコースレイアウトを変更する必要があるという声が上がることもある。

 アイデアとしては、ヌーベルシケインに手を加える可能性(コース幅を広く、よりきついコーナーにすることでオーバーテイクポイントになるのではないか)や、新たなコーナーを作ることまで、様々なモノが議論されている。

 良く話題になるのは、ポルティエを左折してビーチ沿いの道路を少し走り、シケインに向かう長いストレート(とDRSゾーン)を確保するというものだ。

 コース改修の可能性について質問されたレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、次のように答えた。

「モナコは土地をどんどん埋め立てているから、(コース改修は)我々やF1が目を向けるべきことだと思う」

「ここにはたくさんの歴史があるけれど、すべてが進化している。今のマシンはとても大きいと思う。だからスポーツとしてプロモーターと一緒になって、考える必要がある。オーバーテイクのチャンスを生み出すにはどうすればいいか、とね」

 しかし、コーナーを増やすような思い切った変更は莫大な費用がかかるだけでなく、レースがより良くなる保証もないと言える。

 現代のF1ではオーバーテイクは難しく、オーバーテイクポイントが非常に限られているサーキットはたくさんある。一戦前のイモラもそうだ。

 また今年のモナコGPは前述したように、1周目の赤旗がレース展開に大きく影響している。この赤旗がなければ、少なくとも各車が1回ピットストップし、そこでレースに動きがあったはずだ。

 スローペースでラップを重ねたジョージ・ラッセル(メルセデス)が認めたように、速く走っても得るものがない状態だったのだ。

 タイヤ戦略によってレースのスリルが損なわれるのは、なにもモナコだけではない。セーフティカーが出動し、各チームが理想とするよりもかなり前にピットストップを余儀なくされ、フィニッシュまでタイヤマネジメントを強いられたケースは数多くある。

 素晴らしいレースとオーバーテイクを実現する鍵は、レースの様々な局面でマシン間のパフォーマンス差を確保することであり、そのための最良の方法がタイヤ戦略なのだ。

 モナコはタイヤへの負荷が少なく、今のタイヤはレースを1セットで走り切ることができ、アンダーカットもほとんど効かない。

 つまり戦略面での選択肢が非常に限られており、タイヤを使い切るような、他のサーキットで見られる危険性もない。

 メルセデスのルイス・ハミルトンはレース後、問題の本質はタイヤにあると指摘した。

「結局のところ、僕らのタイヤは1レースを走りきることができると思う」

「ここはタイヤのコンパウンドが硬すぎる。もっとスパイスを効かせるために、3回のストップを義務付けるとか……」

 しかし、ドライバーに複数回のピットストップを強いることは、少し人為的すぎると思われるかもしれない。また上位グリッドを得るため予選に向けて行なわれた作業を踏まえ、レースのランダム性が上がりすぎるという可能性もある。

 ハミルトンのチームメイトであるラッセルは、モナコで今回のようなレースが繰り返されないようにするための、より単純で論理的な解決策を思いついたようだ。

「もしソフトタイヤしか持ってこなかったらどうだろう」

「ソフトタイヤ1セットではレース全体を走り切ることはできない。2ストップが必要になるかもしれない。誰かが1ストップを試すかもしれない。週末をずっとソフトタイヤで過ごせば、多くの問題が解決すると思うんだ」

 ラッセルの提案は正しいもののように思える。ソフトタイヤでスティントを重ねる方が、一貫したスローペースでピットストップを減らすよりも良いと判断し、全開走行を選択するドライバーも生まれるはずだ。

 ドライバーの使い方によってタイヤパフォーマンスの差が生まれ、オーバーテイクのチャンスが生まれる可能性もあり、アンダーカットが非常に強力にもなるだろう。

 この変更には、新しいコーナーの建設や複雑なシミュレーション、FIAのホモロゲーションに何百万ドルも費やす必要はない。

 その代わり、スポーツ諮問委員会とF1委員会の簡単な投票によって、この1レースだけのルール変更をレギュレーションに盛り込む必要がある。

 なおF1競技規則にはすでにモナコだけに適用される状況があり、それがレース距離に関する条文だ。他のレースの距離は305kmを超える最小周回数とされているが、モナコはそれが260kmとなっている。

 ラッセルのアイデアに反対する者は少ないのではないだろうか。少なくとも、今回のような退屈なレース展開にはなり得ないだろうからだ。

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、何か違うことを試すことに前向きだ。

 彼は「週末は全体的には素晴らしいんだけど、残念ながら日曜日はちょっと退屈だった」と語った。

「でも景色は最高だ。もう少し良いレースをする方法が見つかれば良いんだけど……それが見つかれば、僕にとっても望ましい解決策になる」

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