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新型Sクラス試乗 マイナーチェンジ車 リモートパーキング標準装備モデル

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新型Sクラス試乗 マイナーチェンジ車 リモートパーキング標準装備モデル

もくじ

どんなクルマ?
ー S400/S560ロング4MATIC試乗
ー リモートパーキングアシスト初採用

「立ち消えになった」コンセプトカー20選 あなたは何台知っている?

どんな感じ?
ー ストローク制御 大きさ/重さをどう抑える?
ー スポーツモードはどうか?
ー S560 4気筒休止をチェック

「買い」か?
ー リモートパーキングアシストを体験

どんなクルマ?

S400/S560ロング4MATIC試乗

Sクラスのポジショニングやコンセプトを書き連ねるのも今さらだが、個人的には先代(W221)以前と以後で印象がちょっと違っている。先々代以前ではプレミアムのトレンド、とくに北米市場の影響が感じられた。基本線はメルセデス流なのだが、部分や味付けにアメ車的だったり、スポーティのあざとさを感じたりした。


その違和感を完全に払拭したのが先代。「メルセデス哲学」の再確認であり、以来登場したモデルはクラスやカテゴリーのコンセプトに適応しても、いずれもブレのないメルセデスらしさを持っている。


そんなメルセデス哲学のフラッグシップがSクラスだが、このMCではフェイスリフトなどの定番変更だけでなく、V12以外のエンジンラインナップを一新した。試乗した2モデル、S400(青)は内部抵抗軽減などの効率化を図った3ℓのV6直噴ツインターボ、S560ロング4MATIC(白)には低負荷時に4気筒(片バンク2気筒ずつ)を休止させる可変気筒制御を備えた4ℓのV8ツインターボを採用。ミッションにはトルコンと遊星ギアを組み合わせた9速ATを用いる。



リモートパーキングアシスト初採用


MCの機能面のもうひとつのハイライトは安全&運転支援機能の向上だ。ACCやLKA、自動車線変更機能などはEクラスに採用されたレーダーセーフティパッケージと共通した機能だが、リモートパーキングアシストがメルセデス車では初めて採用された。


新世代と言うほどでないにしても、時代の最先端にある頂点クラスに相応しい内容を揃えたMCである。

どんな感じ?


プレミアムの源流はショーファードリブン、要はVIPカーにあると考えている。この心地よさをドライバーにまで展開したのがプレミアムサルーンと言っていい。従って、ドライビングプレジャーもスポーツカーとは自ずと違ってくる。と、語れば異論反論を唱える人もいるだろうが、Sクラスに好感を覚える理由を意訳すればそんな感じなのである。



ストローク制御 大きさ/重さをどう抑える?


後席に座って居心地よく贅を愉しむのは当然だが、運転していても同じ感覚だ。半自動化制御の運転支援機能が違和感なく運転ストレスを低減しているのも、その理由のひとつだが、すべてをオフにして自分の意識と判断力、そして肉体的な能力のみで走らせても、目減りはあるものの同様に感じられる。


フットワークはサイズと重量を感じさせる重質なストローク感を特徴にする。大きく重いクルマならではの車格感である。しかし、「大」と「重」のハンデを感じさせないのが見事だ。「大」も「重」も動きを穏やかにするが、揺れ返しや揺れ残りが出やすい。Sクラスのストローク制御は動き出しが緩やかだが、抑えも早い。沈み込みも伸びも変位量は少なめなのに重質な味わいがある。


この特性はコンフォートモードでもスポーツモードでも変わらない。スポーツモードを選択すれば腰はさらに強まるが、路面当たり感に荒さはない。操舵反応が鋭くなるわけでもなく、緊張を持って運転する必要はない。



スポーツモードはどうか?


スポーツモードではパワートレインの制御も変更され、ダウンシフトが早く、アップシフトを遅くして加速時の回転数を高く保つ。ならばエコ/コンフォート/スポーツで運転の緊張が変わるかというと、フットワーク同様にそうならないのである。


微小なペダル制御にもタイムラグ少なく反応する。エンジンフィールはV6やV8そのものなのだが、ペダル操作に即応する加減速反応に多気筒的重さがない。踏んだ分だけすっと出る様はちょっと電動的でもある。深く踏み込んでも戻しでも同様である。


S400/S560ともに深く踏み込めばパワースペック相応に加速。高回転まで回してもストレスがない。ただし、迫力はほどほど。高性能を意識するが、音質音量は程よく抑えられている。



S560 4気筒休止をチェック


ちなみに可変気筒制御を用いるS560だが、どこで4気筒ー8気筒で切り替わったのか分からなかった。それだけに神経を集中すれば何かを掴めるかもしれないが、一般的な試乗チェックではまったく気にならない。


これらを一言にまとめるならば「上品な高性能」であり、ドライバーの負担軽減を軸脚にしている。標準ボディのS400でも全長は5.1mを超え、全幅は1.9mだが、狭いクランク路や駐車場以外の運転ではサイズや重さをあまり意識しない。車格感たっぷりの重質な乗り味なのに肩肘張らない扱いやすさなのだ。だからドライバーも寛いでいられるわけだ。



「買い」か?

リモートパーキングアシストを体験


S400の最小回転半径は5.5m。車体サイズの割に小回りが利くが、狭い駐車場では取り回しも乗降も面倒だ。そこで威力を発揮するのがリモートパーキングアシスト。


専用アプリとスマホで自動駐車させるシステムで、車外からスマホに表示されたジョグダイアルをくるくる回せば、切り返しも含めてクルマが勝手に駐車運転をする。このシステムの興味深い点は左右(縦列なら前後)にクルマまたは障害物があってこそ使えること。左右のスペースが狭い駐車場では先に同乗者を降ろしてから駐車するのもよくある。その時にドライバーも一緒に降りて、後はクルマに任せればいい、というのがこのシステム。なお、途中で止めたい時は開始に戻せる自動復帰モードも用意。Sクラスの使われ方を知った機能である。


しかもこのシステム、S600/AMG S65系を除くモデルに標準装着。このように走行ハードウェアや安全&運転支援機能、快適装備を全モデルで充実させているだけあって、価格は日本導入モデルではベーシックモデルとなるS400でも1128万円だ。Sクラスを堪能するに十分なモデルだけの構成にしたための高い価格ハードルでもある。相応の可処分所得がなければ手が出ないが、ハードルを越えられるユーザーならばきっと「さすがにSクラス」と納得できるだけの魅力を持っている。

メルセデス・ベンツS400(アンスラサイト・ブルー)

■価格 11,280,000円
■全長×全幅×全高 5125×1900×1495mm
■燃費 10.5km/ℓ
■乾燥重量 1970kg
■エンジン V型6気筒2996cc
■最高出力 367ps/5500-6000rpm
■最大トルク 51.0kg-m/1600-4000rpm
■ギアボックス 9速オートマティック
■駆動方式 後輪駆動
メルセデス・ベンツS560 4MATICロング(ダイヤモンド・ホワイト)

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