CBブランド60年の魂と未来を凝縮
開催が叶わなかった’20年の大阪/東京モーターサイクルショーに向けて用意された、ホンダ衝撃の隠し球…。これこそ『ヤングマシン』本誌が長年スクープで追いかけてきた、CB750Fモチーフの現代版「CB-Fコンセプト」だ。Z、カタナに続く、“あの頃”の熱狂が今再び甦る!
「CB-Fコンセプトはアリ? ナシ?」CB750F/CB900Fに熱狂した男・丸山浩に聞く
ホンダCB-Fコンセプト詳説| P1 | P2 | P3 |
CBブランド、60年の魂と未来を1台に凝縮
天才ライダーがスーパーバイクで駆った鮮烈な姿、はたまた世界GPで頂点に駆け上がった主人公の愛車、あるいは喧噪に満ちた土曜夜のパーキングエリアで一際輝きを放っていたカスタムマシン 。コンセプト車を前に、’80年代を知るライダーの胸には特別な感情が湧き上がる。かたや”あの頃”を知らないライダーの目には、どこか懐かしくも新しいバイクとして映る。
ホンダから突如発表された「CB-Fコンセプト」は、写真を見てのとおりCB750F/900Fがモチーフ。’79年のデビュー以来、数々の伝説に彩られた「エフ」は、現代でも熱狂的に愛され続けている名車だ。
ホンダがFコンセプトに賭ける熱量は、エフ愛に満ちたライダーにも劣らない。’19年にCBブランドが生誕60周年となった節目に、改めてCBの歴史を振り返り、ホンダを代表するスポーツバイクであるCBの「守り抜くこと・変革すること」を徹底的に議論。その成果が凝縮されているのだ。
―― 本作はホンダHPで世界初公開され、メディア向けに実車を披露。CBのスピリットを継承しつつ、今後のCBのあるべき姿を世界に向けて提案するのがテーマだ。
【モチーフは”俺達のエフ”】ベースは水冷カフェのCB1000R。モチーフは一目瞭然、CB750F/900Fだ。同社初のDOHC4バルブ直4を搭載したCBFは、軽快な車体に、当時先進のFVQダンパー、ジュラルミン製セパレートハンドルなどを与えたスーパースポーツ。走りに加え、タンクからテールまで連なる流麗なストリームラインで大ヒットとなった。82年のAMA開幕戦デイトナでは、CBFレーサーでフレディ・スペンサーが劇勝。さらに漫画「バリバリ伝説」で巨摩郡の愛車として活躍したほか、走りのカスタムを施した「改」がブームにもなった。
―― 【’79 HONDA CB750F】 ■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ748cc 68ps/9000rpm 5.9kgm/8000rpm ■乾燥重量 228kg ■燃料タンク容量20L ■タイヤF=3.25H19 R=4.00H18
CB1000RベースにFフォルムを召喚
―― タンクからサイドカバー、テールへ流れるラインはまさにエフ。あの頃の感情を掻き立てられるのは、本質を上手く掴んでいるからだ。
―― (左)正面から見るとタンクのボリュームは控えめ。セパレートハンドルのエフに対し、アップかつワイドなリゾマ製バーハンドルを装着し、上体が起きたライディングポジションとなりそう。(右)フェンダーは未装着ながら、シンプルなテールとマフラーで後ろ姿はスマートになりそう。タイヤはダンロップ製ロードスポーツ2で、190→180mmに変更。
―― (左)【クリーンで整ったサイドに対しトップビューは艶気で魅せる】端正かつスクエアなサイドビューと異なり、上から見下ろすと意外やグラマラス。しかも滑らかな曲線美が現れる。角度によって表情を変え、決して見飽きない。(右上)【シンボルのスクエアタンクをキッチリ再現】今時珍しい角型のロングタンクで、エフの象徴を上手く再現。特に前後に張り出したエラは丸くなりがちだが、見事にエッジが立っている。(右下)【伸び上がった尻にレーシーなシート】長く、跳ね上がったテールはまさしくエフ。シートはスペンサーのCB-Fレーサーを思わせる段付きだ。フチに配した青ラインが現代的。
―― (左)【それでも雰囲気は踏襲】ヘッドライトはダミーだが、伝統的な真円タイプ風。市販版は外縁がライン発光となる?特徴的な2連ホーンも再現。(右上下)【ヘッド&テールライトは現代的なLED?】ルーバー状の溝がある角型テールライトも原典がモチーフ。面発光のLEDとしている。テールと一体のサイドカバーは独自のポイント。
―― (左)【サブフレームは新設計】ピボットプレートは、ベース車のCB1000Rと異なる、プレーンなデザイン。クイックシフターもベース車と同様に標準搭載か。(右上)【エンジン外観もよりオーソドックスに】黒塗りでリブをあしらうCB1000Rのケースカバーに対し、シルバーのフラットな形状に変更。ラジエターガードも普遍的。(右下)【メガホンマフラーを継承、逆に斬新!?】マフラーはエフが4in2、本作は膨張室付きの4in2in1だが、メガホンは不変。近頃のマシンは凝った形状が多いだけに新鮮。
―― 【リヤサスをショート化し、均整の取れた姿に】片持ちアームなどの足まわりはベース車を基本的に踏襲するが、CBらしいスタイルをつくるためにリヤショックは若干ショート化した。
―― 【SFF-BPにラジアルキャリパー、最新マシンの脚】CB1000Rと同様、フル調整式のSFF-BP倒立にラジアルキャリパーを採用。キャリパーからトキコの文字が消え、フェンダーなどが色分けされた。
―― 【新しくも不滅のバイクらしさ、これぞCB感】この角度は、ボディラインの美しさ、カタマリ感のあるリッターバイクらしい重厚感が漂う。懐かしさと新しさが調和した普遍的なフォルムこそCBの真髄と言わんばかりである。
●文:沼尾宏明 ●写真:真弓悟史 ●CG:白圡学
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