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高性能をマシュマロでくるんだみたいな極楽快適ラグジュアリーSUV──新型BMW X5 M60i xDrive試乗記

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高性能をマシュマロでくるんだみたいな極楽快適ラグジュアリーSUV──新型BMW X5 M60i xDrive試乗記

大幅改良を受けた新しいBMW「X5」に追加された「M60i xDrive」に、今尾直樹が乗った!

主役は4394ccV8

新しいホンダのアフリカツインが登場した!

昨年、フェイスリフトを受けて第4世代の後期型に移行したBMWの中型SUV、X5にX5 Mに次ぐ高性能バージョンがくわわった。X5 M60i xDriveがそれだ。

ご存じかどうか、近年、BMWはMモデルを2本立てにしている。すなわち「サーキットでの本格的な走行を可能とすべく開発されたM ハイパフォーマンスモデル」と、「サーキットで培われた技術を余すことなく取り入れ、走行性能を高めたMパフォーマンスモデル」である。

X5でいうと、前者がX5 M、後者がX5 M60i xDriveということになる。“ハイ”のつかないMパフォーマンスは限界性能をおさえることで日常領域の快適性を確保している。実際、X5 M60i xDriveはすこぶるコンフォートで、“やさしい悪魔”と、呼びたいほど、快適性と悪魔的な高性能を両立させている。そのカギは新たに採用されたエアサスペンションにある。これについては後述する。

内外装はX5のほかのモデルに準じている。外観は最新のBMW各車同様、両サイドに対して外向きの“く”の字型のデイタイムラニングライトが装着されている。ウインカーも光が流れるタイプに変更され、グッとアップデートされた感がある。

内装では緩やかに湾曲した大型液晶スクリーンが前席乗員を囲むようにダッシュボード上部に鎮座し、これぞ21世紀的モダニティを得ている。ギヤのセレクターも古典的なスティック型から、平べったいスイッチに変わり、センターコンソールがスッキリした。ただし、平べったいATのシフトスイッチは慣れるまで探す必要がある。

内装はエレクトロニクスの塊のようだけれど、パワーユニットは古典的V8。という矛盾がM60i xDriveの魅力だ。マイルドハイブリッドシステムが初めて組み合わされたとはいえ、主役は4394ccV8であることは疑いない。環境派は眉をひそめるかもしれないけれど、好きなひとにはたまらない。

排気量4394ccのV8は、ボア×ストローク=88.3×89.0mmのほぼスクウェア型で、90度のVバンク内に2基のツインスクロールターボチャージャーを収めている。最高出力は530ps/6000rpm、と最大トルク750Nm/1800~4600rpmで、X5 Mコンペティションの625ps、750Nmと較べれば控えめながら、500ps以上もあるのだからスーパーSUVに分類される。マイルドハイブリッドのモーターは12psと200Nmを発揮し、アイドリングストップからの再始動と担い、発進・加速時にはエンジンをアシストして、ともかく燃費を稼ぐ。

足まわり関連では、X5 Mを除く、新型X5全車にエアサスペンションが採用されている。7シリーズでも採用されているこのエアサスペンションが、X5 M60i xDriveにストローク感たっぷりの乗り心地を生み出している。ソフトで、ふわふわの極楽。試乗車はスーパーカータイヤの代名詞であるピレリPゼロの、超大径22インチで、前275/35、後ろ315/30という、前後異サイズの超極太ウルトラ扁平サイズを装着しているというに、じつに楽ちんで、雲のじゅうたんの上を飛んでいるような感覚が味わえる。バネ下で、大きなタイヤが動いている感は当然あるものの、それは遠い隔壁の向こうの出来事に思える。

わかったひとの知的選択街中の40km/hぐらいだと、メモリの大雑把なタコメーターだと、エンジン回転数は0に近い。それでも、ドラゴンが呼吸しているようなV8の存在感は隠しようがない。信号待ちでエンジンが休止すると、あたりは静寂に包まれ、ブレーキの踏力をゆるめると即座に目を覚まし、発進時にグオッと控えめな咆哮をあげる。なんとなく戦車感がある。車重が車検証値で2410kgもあるからだろう。

「ドライビングパフォーマンスコントロール」という名称のドライブモードでコンフォートを選んでいると、8ATは2500rpmもまわらないうちにシフトアップする。タンクのくせに、乗員にはやさしく接することを心がけている。

試しにアクセルを深々踏み込むと、たちまちダウンシフトし、一瞬つんのめる。でもっていきなりターボパワーが炸裂し、空に飛び上がるような加速と振る舞いを披露する。

ドライブモードをスポーツ、スポーツ+へと切り替えると、乗り心地は俄然引き締まり、エンジンもドライバーの指令を待ち構える態勢をとる。アクセルをガバチョと踏み込んでも、フロントやテールが沈み込んだりはしない。スポーツ+だと液晶スクリーンが赤く発光し、アクセルオフではブリッピング入れながらダウンシフトする。V8が雄叫びをあげ、ドライバーを興奮させる。ぐるるるるるッ、グオオオオオオオンッ!

群雄割拠の高級SUV市場にバイエルンからウォリアーっとばかりに送り込まれた新たな戦士。生産しているのは初代以来、アメリカ南部、サウスカロライナ州のスパータンバーグにあるBMW工場だけれど、つくりはメイド イン ジャーマニーと違わない。価格は1520万円で、X5 Mコンペティションの1972万円よりおよそ450万円もお求めやすい。あえてX5 M60i xDriveにとどめておく。というのも、わかったひとの知的選択のように思える。それにはもちろん、分厚いお財布が必要……いや、最近は電子マネーだからいらないか。

インテグレイテッドアクティブステアリングなる後輪操舵を備えているから、操舵に対して俊敏で、実際のサイズから想像するより運転しやすい。ただし、当たり前ですけれど、物理的に小さくなるわけではない。全長4935×全幅2005×全高1770mmの巨体ゆえ、とりわけ狭い道はご用心。そういうのを気にせず、でっかいSUVを都会で乗りこなしている姿がはたから見て、冒険的でカッコいいわけである。

高性能をマシュマロでくるんだみたいな極楽快適ラグジュアリーSUV。いまどき反道徳的ではあるものの、だからおいしい。おひとつ、どうぞ。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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