「なんでこうなった!?」 開発した人を小一時間ほど問いただしてみたい、でも憎めない「ざんねん」なクルマたち、エピソードを集めた『ざんねんなクルマ事典』『ますます! ざんねんなクルマ事典』(小社刊)。
日本のクラシックカーや絶版車、珍車についての知識にも定評あるモータージャーナリスト、片岡英明氏監修による本書から、マツダの果敢な挑戦の歴史を彩った5台をピックアップ!
カペラ、ユーノス コスモ&プレッソ、AZ-1、ボンゴフレンディ……マツダ挑戦の歴史を彩る、ちょっとざんねんなクルマたち5選
監修/片岡英明、写真/マツダ
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■「気合充分でも仕上がり不十分」というバブル期あるある マツダ 5代目カペラ(1987~1997年)
マツダ 5代目カペラ(1987~1997年)。海外にファンの多いクルマ。西ドイツでは、オートモーター・ウント・スポルト誌の「読者が選ぶインポート・カー・オブ・ザイヤー」に連続選出されました
●「初」の機能を盛り込もうとしすぎたのが敗因
5代目のマツダ カペラは、1987年から1997年まで製造販売された中型乗用車です。
4ドアセダンのほかに5ドアハッチバックや2ドアクーペ、そしてステーションワゴンもラインナップし、さらには「世界初の電子制御車速感応型4WS(四輪操舵)」や「量産エンジン初のプレッシャーウェーブスーパーチャージャー(脈動型過給器)ディーゼル」も採用するなど、かなり前のめりな開発が行われたモデルでした。
しかし電子制御車速感応型4WSもプレッシャーウェーブスーパーチャージャーディーゼルも今ひとつ信頼性が低く、大ヒットには至りませんでした。気合は充分だったのですが。
・発売年月:1987年5月
・エンジン種類:直4 SOHC ディーゼルターボ
・総排気量:1998cc
・最高出力/最大トルク:82ps/18.5kgm
・全長/全幅/全高:4515×1690×1410mm
・車両重量:1200kg
・諸元記載グレード:ディーゼル SG-X
●ざんねん度:★★★★☆
■アクセルを踏み込めば1km/L台 マツダ ユーノス コスモ(1990~1996年)
⚫️環境省には聞かれたくない「超高出力にして超高燃費」
ユーノス コスモは、マツダが販売チャネルの多角化を行っていた1990年にユーノスブランドの旗艦車種として登場した高級2ドアクーペです。
量産車としては世界初の3ローター式ロータリーエンジンを搭載し、その滑らかさは「V12エンジン並み!」とも言われました。
またデザインも本当にカッコ良くてステキです。しかし……燃費は最悪でした。
超高出力の代償として「超高燃費」になってしまい、カタログ燃費ですら6km/L台。街中での実燃費は「3km/L台いけば御の字」という感じで、アクセルを踏み込むと「1km/L台」という悲しい数字を叩き出してしまうことも、しばしばでした。
・発売年月:1990年3月
・エンジン種類:直3ローター+ターボ
・総排気量:1962cc
・最高出力/最大トルク:280ps/41.0kgm
・全長/全幅/全高:4815×1795×1305mm
・車両重量:1590kg
・諸元記載グレード:20B タイプS
●ざんねん度:★★★★★
■「1.8LなのにV6」という超発想 マツダ ユーノス プレッソ&AZ-3(1991~1998年)
マツダ ユーノス プレッソ&AZ-3(1991~1998年)。プレッソとAZ-3の外観上の違いはエンブレムが違う程度。V6エンジンを搭載していたのは当初プレッソのみでしたが、後にAZ-3にも同エンジン搭載車が登場しました
●パワフル過ぎたスペシャルティカー
ユーノス プレッソは、多チャンネル戦略を展開していた時代のマツダが1991年に発売した3ドアハッチバッククーペで、AZ-3はオートザム店で販売された兄弟車です。
当時の量産エンジンとしては世界最小であった「1.8L V型6気筒」という凝った設計のエンジンを搭載したのですが、日本市場ではその良さがいまひとつ伝わりませんでした。
そして普通のエンジンより部品点数が多いため、故障発生の確率が上がり、いよいよ人気薄になったのです。
・発売年月:1991年6月
・エンジン種類:V6 DOHC
・総排気量:1844cc
・最高出力/最大トルク:140ps/16.0kgm
・全長/全幅/全高:4215×1695×1310mm
・車両重量:1130kg
・諸元記載グレード:Hi-X
●ざんねん度:★★★★★
■ユニークさは満点だが不満点もそれなりに…… マツダ オートザムAZ-1(1992~1995年)
●スーパーカーというよりは……
AZ-1は1992年に発売された「軽自動車のスーパーカー」というか、スーパーカー消しゴムみたいな(お好きな方、ごめんなさい!)軽自動車です。
スーパーカーと同じようにエンジンを車体中央に搭載し、俊敏なハンドリングを獲得したのですが、車内はとにかく狭く、シートはリクライニング不可能なバケットシートでした(助手席は前後のスライドもできない)。
跳ね上げ式のガルウイングドアも、格好はいいんですが、そのダンパーはわりとすぐにヘタってしまい、ユーザーは途方に暮れたものです。
でも4392台も生産され、今なおマニアには大人気です。ちなみにスカートの女性が乗り込むのはかなり難しいです。
・発売年月:1992年10月
・エンジン種類:直3 DOHC+ターボ
・総排気量:657cc
・最高出力/最大トルク:64ps/8.7kgm
・全長/全幅/全高:3295×1395×1150mm
・車両重量:720kg
・諸元記載グレード:AZ-1
●ざんねん度:★★★★★
■ミニバンの時代に抗い続けた努力のクルマ マツダ ボンゴ フレンディ(1995~2005年)
マツダ ボンゴ フレンディ(1995~2005年)。エンジン位置の都合から床面がやや高く、室内空間はイメージよりも狭い印象でした。しかし、キャンピングカー的な用途で使える点やオートフリートップのインパクトから、アウトドア派のユーザーには根強い人気のあった一台です
●商用バンベースながら創意工夫で善戦も……さすがに限界はあった
マツダのボンゴ フレンディは、1995年から2005年にかけて販売されたワンボックス車。ルーフ部分が電動で持ち上がる「オートフリートップ」という装備をご記憶の人も多いでしょう。
頑張って作られたボンゴ フレンディでしたが、当時の日本はすでに「ミニバン」の時代。
商用バンをベースとするボンゴフレンディはエンジンが運転席の下にあるという設計上、車内をウォークスルーにすることもできず、商用バンベースゆえに高速走行時の横風にもかなり弱いという、弱点を抱えざるを得ませんでした。
でも年々改良されましたし、多くの人に愛されたクルマではありました。
・発売年月:1995年6月
・エンジン種類:直4 SOHC/ディーゼルターボ
・総排気量:2499cc
・最高出力/最大トルク:125ps/30.0kgm
・全長/全幅/全高:4585×1690×2090mm
・車両重量:1730kg
・諸元記載グレード:RS-V オートフリートップ
●ざんねん度:★★★☆☆
* * *
なんでそうなったの!!? ざんねんだけど、でも愛おしい。そんなクルマたちの数々を集めた『ざんねんなクルマ事典』『ますます! ざんねんなクルマ事典』は講談社ビーシーより好評発売中です。
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みんなのコメント
ユーノスコスモは維持できる人が乗るクルマ
だから燃費燃費と言ってた人は軽自動車乗ればいいこと
貧乏人がごちゃごちゃうるせえ