F1ベルギーGPではメルセデスが躍動した。1ストップ戦略でトップチェッカーを受けたジョージ・ラッセルは最低重量違反で失格となったものの、ルイス・ハミルトンは2ストップ戦略でその後ろでフィニッシュしていたため、優勝を引き継いだのだ。
しかしメルセデスにとって、ベルギーGPは順風満帆な週末ではなかった。初日のプラクティスを終えた段階でハミルトンとラッセルが下を向き、肩を落としながらフラフラとエンジニアトラックの階段を上る姿は、メルセデスにとって最悪の1日だったことを如実に物語っていた。
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スパ・フランコルシャンのコース特性とアップデートされたフロアで上位争いに復帰できるというほのかな自信を胸にベルギー入りしたメルセデスは、初日の走行で厳しい現実を突きつけられた。
ペースが上がらず、トップから1秒以上も離されてしまった。さらに悪かったのは、マシンのフィーリングがまったく良くなかったことだ。
走行を終えたハミルトンはメディアに 「かなりひどい1日だった。なんて言ったらいいかわからない」と語っていた。
「ここ数戦はフィーリングが良かったのに、まったく違う感じだった」
メルセデスが直面した最大の問題は、何が起こっているのかについて明確な説明ができなかったことだ。FP1ではマクラーレンやレッドブルに比べてツイスティなセクター2で苦戦を強いられたため、FP2ではセクター2でのパフォーマンス改善に重点を置いた。しかしその結果、第1セクターと第3セクターのストレートスピードが伸び悩み、ストレートだけで0.9秒もタイムロスしてしまっていた。ここ最近は安定して優勝や表彰台を争うことができていたメルセデスが、全く異なる状況に陥ってしまったのだ。
問題を解決するため、ブラックリーのファクトリーで作業が続けられ、シミュレータは未明まで稼働した。
その結果、ベルギーGP土曜日以降のセッションは、自分たちが知っていることに戻る必要があるという結論に達した。それはまず、新フロアの使用を放棄することを意味した。なぜなら、それを使うことで空力やバランスの面で意図していない影響がないとは言い切れなかったからだ。
さらにメルセデスは、マシンの性能をより引き出すために、そしてスパの高速セクションにうまく対応するために、いくつかのメカニカルセッティングを戻す必要があると判断した。
チーム代表のトト・ウルフは次のように説明した。
「金曜日は競争力がなかった。でも、それがなぜなのか明確な方向性はなかった。正直なところ、金曜から土曜にかけてブラックリーで行なわれた夜間作業、シミュレーション、そしてここでのエンジニアリングが鍵だったことは認めざるを得ない」
「金曜日に向けて多くのことを変更した。メカニカルなアライメントがおかしくて、クルマがこうなると思っていたものとは違っていた。だから、それを改善したんだ」
メカニカルなセットアップの微調整と古いフロアに戻すという変更によって、W15は高速のシルバーストンで速かった時の状態に戻った。しかしそれが浮き彫りとなるのは、ドライコンディションとなった日曜日のレースになってからだった。
イギリスGPのレースで、トップチームの勢力図が天候によって変動することが明らかになったように、スパでも雨の土曜日と日曜日でパフォーマンスが大きく変動し、決勝はメルセデスが優位に立った。
レース後、ハミルトンは次のように語った。
「今日は文字通り、全く違ったよ。金曜日はふたりともかなり悲惨で、バランスに苦しんでいた」
「そして今日、マシンが生き生きとしてきて、まずトップに立って、それからみんなを引き離すことができて本当に驚いた」
トップチェッカーを受けながら、マシンの重量不足で失格となったラッセルは、メルセデスの”変身”は単にチームがマシンを適切な操作ウィンドウに入れることができたからだと苦々しげに説明した。だからこそラッセルは、使用を断念した新フロアがまた戻って来ると信じて疑っていないのだ。
「僕たちはいろいろなことを試せるし、金曜日は間違ったウインドウに入れただけだと思う」
「僕たちはそれを変えたかったから、フロアを戻したんだ。でもザントフールト(夏休み明けのオランダGP)では新しいエアロ・パッケージに戻し、メカニカル的に少し違うウィンドウにマシンを入れることになるだろう」
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