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【祝! F1参戦60周年】ホンダはレースの現場で技術を磨き、技術者を鍛える。現在のF1の圧倒的な速さと強さは本物である!

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【祝! F1参戦60周年】ホンダはレースの現場で技術を磨き、技術者を鍛える。現在のF1の圧倒的な速さと強さは本物である!

最強チームにパワーユニット供給。負ける気がしない!

 「負ける気がしない」とは、まさにこのことだ。2021年以降、ホンダF1が快進撃を続けている。いや、厳密にいえばホンダの「第4期F1」は2021年をもって終了している。いまはレッドブル・パワートレーンズ社の活動をサポートする形だ。とはいえ実質的にホンダが開発/製作したパワーユニットをレッドブルとVISAキャッシュアップRB(前アルファタウリF1)に供給している。したがって、「ホンダF1が快進撃を続けている」と記しても、何の問題もない。

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 ところで、2015年に復帰した当時はどん底だった第4期ホンダF1が、ここまで強くなった要因は何だろうか?
 ターニングポイントは2018年。その前年に「名門」マクラーレンとの提携を解消したホンダは、レッドブルのジュニアチームだったトロロッソ(現VISAキャッシュアップRB)へのパワーユニット供給を開始。万年Bグループのトロロッソをパートナーとすることで「すぐに結果を出せ!」というプレッシャーから逃れることができた。

 これと前後してホンダの体制にも変化があった。新井康久氏から長谷川祐介氏へと引き継がれたF1プロジェクトの責任者を、2018年からは浅木泰昭氏が務める展開になった。技術者として第2期ホンダF1の栄光を支えた浅木氏は、1986年に量産車部門に移籍。Nシリーズの開発責任者に抜擢されると、撤退の瀬戸際に立たされていたホンダのKカー事業を立て直すきっかけを作った。
 その浅木氏は、浮き足だったことはせず、ひとつひとつの開発を積み上げていく方針を新たに打ち出した。

 この時期のマクラーレンは技術力の点でトップクラスにあるとは言い難かった。そのしわ寄せがホンダにもおよび、技術開発の方向性を惑わせている側面があった。しかも、2014年からの新レギュレーションに向けて周到な準備を積み重ねたライバルたちとは異なり、ホンダは1年ほどの準備期間だけであたふたとF1に復帰していた。当時のホンダF1は「軟弱な足場」でもがき苦しんでいたのだ。

 その足場を強固にする猶予が、トロロッソと組むことで手に入った。しかも、翌2019年からはトップチームのレッドブルとタッグを組むことが内々に決まっていた。ホンダが本領を発揮する舞台は、着々と出来上がっていたのである。

ホンダらしい工夫で「最強のエンジン」を開発。今後は全社体制でのF1参戦を望む!

 それでも、無敵を誇っていたメルセデスやフェラーリに追いつき、追い越すことは容易ではなかった。当時、浅木氏は私にこう打ち明けている。「ヨーロッパの会社だったら、F1で勝つために年俸が何億円もするスターエンジニアを雇える。けれど、ホンダにそれはできません」

 そこで浅木氏は、組織には馴染みにくくてもポテンシャルが際立って高い技術者を登用し、彼らの能力を存分に発揮させた。同時にホンダ社内の技術を積極的に活用した。熱エネルギー回生(MGU-H)のトラブルが多発していた当時、ホンダ・ジェットの知見を生かして問題の解消を図ったことは、有名なエピソードだ。

 2020年にホンダのF1撤退が決まったとき、一度は棚上げにされた新骨格エンジンの開発を上層部に納得させ、最終シーズンとなる2021年の実戦投入を実現したのも浅木氏の功績だった。しかも、2022年以降は全メーカーにパワーユニット開発の凍結を認めさせ、2026年の次期レギュレーション実施までホンダのアドバンテージを維持できる環境を整えたことも絶妙な判断だった。

 運もホンダに味方した。新骨格エンジンは、通常とは別次元のスピードで開発したため、信頼性試験などが不十分。いわばぶっつけ本番で実戦に投入された。しかし、幸運にも致命的な問題が見つからなかったばかりか、むしろライバルを上回る信頼性とパフォーマンスを発揮したのである。もちろん、現在のレッドブル、そしてドライバーのマックス・フェルスタッペン選手が当代一の実力を誇っていることも忘れるわけにはいかない。

 ホンダは2026年からはアストンマーティンとタッグを組み、新体制でF1に正式復帰する。ここでひとつお願いしたいことがある。
 F1に復帰し、また撤退を繰り返す歴史は、もう終わりにしてほしい。撤退を発表するたびに、ホンダの評判は下がっていくからだ。しかも、数年のブランクをおいての復帰には、膨大な開発予算が必要になる。つまり、何もいいことはない。

 では、ホンダが継続的にF1に参戦するためには、どうすればいいのか? 最大のポイントは、F1活動を全社活動へと引き上げることである。そうすれば景気の変動や開発環境の変化にもぶれることのない参戦体制を築けるはずだ。

 全社体制を実現するには、F1で培った技術やブランドバリューを量産車にも積極的に反映する仕組みを構築し、営業、販売、宣伝などの各部門にとっても「F1はなくてはならない存在」とすることも重要となる。
 ホンダF1の快進撃を未来につなげるため、新たな体制作りにぜひ取り組んでほしい。

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みんなのコメント

7件
  • クムクム
    オールホンダで出ないのはやはりシャシーの開発が下手だからなのかも!
    しかし、オールホンダで出て欲しい。
  • dor********
    技術者は育ててきたかもだけど
    経営者は育てられなかったホンダ
    あっつ、デザイナーやマーケティング担当もか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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