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来季のSFはレース数過去最多! WECや東京E-Prixとの重複は仕方ないのか?|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

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来季のSFはレース数過去最多! WECや東京E-Prixとの重複は仕方ないのか?|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

 2025年のスーパーフォーミュラは、近年で最も大規模なシーズンを迎えようとしています。全7大会、12レースというカレンダーが組まれているのです。

 8月のもてぎで、8大会13レースの開催日程が明らかにされて2ヵ月。その後に韓国のインジェ・スピーディウムでのレースが開催されないことが発表されたのは筆者も残念ですが、それでも12戦は国内トップフォーミュラで過去最多のレース数となります。

■スーパーフォーミュラ、2025年の韓国ラウンド開催を断念「期限までに要件が整わなかった」

 レース数を増やしたいという思いを公言してきたプロモーターのJRP(日本レースプロモーション)は、その思いを実行に移してきました。2022年に全10戦に増やした後、その数は一旦9戦に減少……しかし来季に向けては大会数はそのままで、2レース制の大会を大幅に増やすという大胆な決断で12戦にしてみせたのです。決して口だけではない、その実行力は評価されて然るべきだと思います。

 話を韓国戦のキャンセルに移しましょう。韓国戦の開催は、契約が正式に締結されていない8月の段階でアナウンスされました。これは、FIA国際スポーツカレンダーの登録申請期限の兼ね合いで、交渉がまとまっていない段階で申請(つまり公表)せざるを得なかったという側面もあります。8月時点でJRP側はポジティブな話し合いが進んでいるとして、9月中旬には何らかのアナウンスができるのではと話していましたが、そのデッドラインまでに合意に至らなかったのだと思われます。

 JRPは、2026年以降にインジェでレースを開催する可能性については否定していませんが、その一方で韓国・インジェが海外戦の唯一の選択肢というわけでもないようです。

 スーパーフォーミュラが2004年以来となる海外戦の開催を模索したことは、勇気のいる決断だったと思います。過去にはインジェが開業したばかりの2013年に開催を目指すも実現ならず。アジア地域で言えば、マレーシアのセパンやタイのチャーンなどで開催する方が、より簡単だったのかもしれません。ただ、他の主要選手権が訪れていないサーキットを選ぶという点で、スーパーフォーミュラはユニークなイベントを作り出すチャンスがあったと言えます。いずれにせよ、ファンは少なくとも2026年まで海外戦を待つ必要があります。

 韓国戦のキャンセルがもたらした副次的な効果のひとつに、WEC(世界耐久選手権)との日程重複が1ヵ所解消されたということがあります。韓国戦が予定されていた週末には、ル・マン24時間のテストデーがあったのです。

 ただ、現状ではそのほかに残念な日程重複がふたつ存在します。そのひとつが、スーパーフォーミュラのオートポリス戦とフォーミュラEの東京E-Prix。どちらも5月17日、18日の開催です。

 来季のラインアップ次第ではありますが、もしかするとこの日程重複に影響を受けるドライバーやチームはいないかもしれません。とはいえ、フォーミュラEはニック・キャシディやサッシャ・フェネストラズらの活躍により、関心を持っているスーパーフォーミュラのファンも少なくないはずです。

 JRPの上野禎久社長としては、オートポリスが東京から遠く離れていることから、両者は全く異なる市場に訴えかけていると言えるため、この日程重複が容認できるものだと考えているようです。実際、首都圏に住むファンにとって、九州のオートポリスに向かうのは費用も時間もかかります。

 とは言っても、フォーミュラEの日本ラウンドは年に一度であり、初開催となった今年も多くの来場者を集めたことからも、F1、MotoGP、WECの日本戦と同じように扱い、重複を避けるのが賢明だったと思います。もっと言えば2025年の東京E-Prixの日程は早くから発表されていたので、JRPはそこを避けることを優先事項とすることもできたはずです。

 そしてもうひとつの重複が、4月18日~20日に行なわれるスーパーフォーミュラもてぎ戦とWECのイモラ6時間レースです。

 近年のスーパーフォーミュラは伝統的に、WECとの日程重複を避けてきました。その結果、小林可夢偉や中嶋一貴、平川亮らがその恩恵を受けてきました。しかしながらスーパーフォーミュラがそのポリシーから脱却したことで、小林の来季に影響を与える可能性があります。

 理想論を言うならば、スーパーフォーミュラが全てのドライバーにとって、どのカテゴリーよりも優先されるものになるのが理想です。しかしながら現実問題として、トヨタからスーパーフォーミュラとWECを戦うドライバーにとって後者が優先となるのが実情。この状況が、小林のような優秀なドライバーのスーパーフォーミュラ参戦の障壁となってしまったら、それは残念なことです。

 とはいえおそらく小林も、単にもてぎ戦を欠場して残りのレースに参戦するという形で、スーパーフォーミュラに継続参戦するのではないでしょうか。上野社長もそれを望んでいます。

 ただ、スーパーフォーミュラ参戦ドライバーの中で世界的な知名度が最も高い小林の参戦の可能性が下がるような動きをJRPが取ることは、なかなかのギャンブルだと感じます。彼に次いでSNSフォロワーがいるJujuも、フォロワー数は小林の4分の1強です。

 スーパーフォーミュラのカレンダーを組むのも、一筋縄ではないのは確かでしょう。参戦ドライバー・チームの多くがスーパーGTやスーパー耐久に参戦していることを考えると、まずはこれらのカテゴリーとの重複回避を優先するのも十分理解できます。

 しかしながら、スーパーフォーミュラが年間のレース数を増やせば増やすほど、この問題は年々顕著になっていくでしょう。来年に向けてはインジェ戦がキャンセルされて7大会になったとはいえ、2026年は8大会になる可能性がありますし、将来的にはもっと増える可能性があります。

 これだけカレンダーが過密になっている昨今では、スーパーGTやスーパー耐久と同じ週末にレースを開催することも、いずれは必要になるのかもしれません。それについては、またいつかのコラムで……。

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