自動車大国を自認するにしてはあまりにお粗末な政策
5月のGWはドライブに出かけるのに最適の時期で、ドライバーにとって待ち遠しい季節。と同時、5月は自動車税を納付するタイミングでもあり、自動車ユーザー独特の5月病の原因にも……。とくに、新車登録から13年経過したクルマのユーザーには、概ね15%の増税が課せられ頭が痛い。
今年=2018年から、新たに13年経過車の仲間入りをするのは下記の通り。
・マツダ NCロードスター ・スズキ スイフト(2代目 ZC31Sなど) ・日産 ノート(初代) ・三菱 アウトランダー(初代) ・ホンダ シビック(8代目 FD)
そして、レクサスも日本国内での展開は2005年から!(GS、IS、SC)
この増税の根拠「自動車税のグリーン化特例」では、古いクルマ=13年経過車は「環境負荷が大きいから税金を高くする」という名目になっているが、NCロードスターやスイフト、ノートが環境に悪いクルマなのだろうか?
もともと日本の自動車税(自家用乗用車)は、諸外国に比べかなり高い税額(たとえば、ドイツの2.4倍)にもかかわらず、13年経過車は、自動車税が15%増額。さらに、車検時に収める自動車重量税は、新車登録時から13年以上で2倍以上、18年以上で2.5倍以上に!
自動車メーカーも、この「自動車税のグリーン化特例」(エコカー減税)を、「新車の需要喚起」になると後押ししてきたわけだが、新たに生産ラインを作って新車を開発し、そのクルマがスクラップになるまでのライフサイクルアセスメントで考えたら、たとえ古いクルマでも、すでに使用しているクルマをそのまま使い続けた方が、環境には優しいはず。
しかも、エコカー減税は新車から1年限定だが、13年経過車の自動車税の増税はそのままずっと継続。これはどうにも割が合わない。ドイツなどでは、30年以上の古いクルマでオリジナルの状態でレストアされているクルマには、Hナンバー=ヒストリックナンバー制度が適用され、自動車税が一定額になり、自動車保険も減額される特典がある。
スイス、イギリス、オーストラリアなどにも、ヒストリックカーを優遇する仕組みがあるが、自動車大国を自認する我が国が、それに逆行するような流れというのは情けない。日本の自動車メーカーからすれば、「古いクルマなんて早く手放して(スクラップにして)、新しいクルマに乗りなさい」というのが本音なのかもしれないが、真のエコカーの条件は、「みんなに愛されるクルマ」であること。
つまり、カッコよくって、気持ちがよく、ずっと乗っていたくなるようなクルマ。そういうクルマが登場すれば古いクルマのオーナーも積極的に乗り換えたいと思う人もいるはず。逆にいえば、そういう新車がないからこそ、たとえ増税になっても、クルマ好きは古いクルマを愛し続けているともいえるだろう。
ここへきて、日産、マツダ、ホンダが、往年の名車(R32GT-R、NAロードスター、ビート)などのレストア、部品再生プロジェクトをスタートさせているが、もう一歩踏み込んで、税制面でもヒストリックカーを守るような働きかけをメーカーにも取り組んでもらいたいし、我々ユーザーももっと声を上げて、文化としての自動車をみんなで守る気運を盛り上げていこうではないか。
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