現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【比較試乗】「ポルシェ・カイエン vs カイエン・クーペ vs BMW X5M」高性能SUVのレシピは走りのブランドならでは。ポルシェとMの流儀

ここから本文です

【比較試乗】「ポルシェ・カイエン vs カイエン・クーペ vs BMW X5M」高性能SUVのレシピは走りのブランドならでは。ポルシェとMの流儀

掲載 更新 19
【比較試乗】「ポルシェ・カイエン vs カイエン・クーペ vs BMW X5M」高性能SUVのレシピは走りのブランドならでは。ポルシェとMの流儀

初代の登場以来、ポルシェ躍進の立役者となったカイエンも現行モデルですでに3代目。いまやスポーツカーブランドがSUVを手がけること自体、珍しくなくなったが、その威光は衰えるどころか従来にも増して強固になっているようにも見える。では、その正味の実力は? クーペ版やライバルとの比較を通じてそれを明らかにする。

カイエンの味付けはボディタイプでどう違う?

【比較試乗】「ポルシェ 911 ターボS カブリオレ vs マクラーレンGT」日常と非日常を自在に行き来できる、高性能GTスポーツの魅力の源泉とは?

ポルシェにおけるベストセラーの座こそ弟分のマカンに譲っているが、依然そのラインナップでは主力として安定した支持を集めているカイエン。2018年にデビューした現行型は3代目だが、2019年には新たなボディバリエーションとしてクーペを追加。現在のグレードはそれぞれ6つずつと、選択肢も豊富になった。その構成は、従来からのSUVボディとクーペでまったく同じ。グレードごとに用意されるパワートレインの中で、どちらかでなければ選べないものは存在しない。となれば、気になるのは両ボディの具体的な違いだろう。そこで今回のライバル対決では、まずカイエン同士の比較から始めてみることにしよう。

まずは最大の違いとなる見ためだが、初代からポルシェに見えることを主眼に作られてきただけに、ベースボディでも“それらしさ”は十二分だ。SUVとしては小振りに見えるグラスエリアと豊満さとワイド感を強調するフェンダー、そしてシャープなフロント回りの造形という組み合わせは、いまやスポーツカーブランド作のSUVが珍しくない状況でも決して埋没しない存在感を放つ。

そんなベースボディと比較すると、ショルダー部分から上が一層コンパクトでワイド感が強調されるクーペは、2ドアのポルシェに通じるスポーツテイストが実感できる出来映え。だが、それは両者を直接見比べて初めて認識できる類のもの。なまじベースボディがスポーティなだけに、例えば今回の取材に同行したX5Mとそれのクーペ版であるX6Mほどの違いが見出せるかというと個人的には多少の疑問も残る。

そうした印象は、室内においても変わらない。クーペはルーフを低くしたことに対応して前後席のヒップポイントがベースボディより下がり、荷室容量が若干控えめになるといった違いは確かにある。だが全長が5m近いSUVだけに、クーペの室内や荷室が明確に狭くなったという印象はない。後席に座ると多少フロアの位置が近くなったとは感じるが、それとて明確なデメリットというわけではなく居心地は上々。つまり、クーペでもSUVとしての実用性には何ら問題がないわけだ。
では、走りのパフォーマンスはどうか?

今回の試乗グレードはクーペがターボ、ベースボディはターボS Eハイブリッドということで残念ながら厳密な比較が難しい状況だった。アウトプットは後者が130psと130Nmも上回る一方、車重は300kg近く重い。また、どちらもリアアクスルステアリングは装備していたが、クーペは軽量なカーボンルーフを含むライトウェイト・スポーツパッケージやPDCC(ポルシェ・ダイナミックシャシーコントロール)を装着。ドライブフィールを高める“チューニング”が施された仕様でもあった。

だが、そうした違いを差し引いても、今回の2台ではクーペの方が走りの洗練度が高いという結論になる。特に路面からの入力の伝わり方はクーペの方が正確。かつ、そのいなし方もスッキリしていて持ち前のスポーツ性と快適性が高い次元で両立されている。それと比較すれば、ベースボディの試乗車は特にボディの剛性感でわずかながら譲る印象。

これには前述の車重も少なからず影響を及ぼしているはずだし、単体で評価すればこちらでも高性能なSUVとして何ら不満はない。だが、どちらがよりポルシェらしい走りを堪能できるかといえば、今回の組み合わせだと個人的にはクーペを推したくなる。もしも、この走りの違いがベースボディとクーペの全般に通じるものだとすれば、SUVらしさとポルシェらしさのどちらをより重視するかが選択の分かれ目になるといえそうだ。

カイエンとは走りのベクトルが異なるX5M

では、そんなカイエンに対するライバルの現状はどうか? 今回連れ出したX5Mに関していえば、単に高性能SUVとひと括りにはできない走りのキャラクターの違いがとりわけ印象的だった。

ご存じのように、そのスペックの過剰ぶりはカイエンの上位仕様に勝るとも劣らない水準にある。現状、日本に導入されているのは高性能版のコンペティションのみで、搭載する4.4L・V8ターボのパワーはカイエンの4Lターボを75ps上回る625psを発揮。一方、トルクは20Nm控えめで発生回転数も若干高めの設定だが、いかにもMモデルのユニットらしく積極的に回すほど精彩を放つ味付けとなっている。

どちらかというとエンジンのマスを意識させない、一種の軽さを湛えたカイエンに対し、X5Mは精緻さの中にも排気量相応の物量を感じさせる仕立て。このあたりは、まさにスポーツ性を重視したエンジンの味付けに対する考え方の違いだろう。

そうした違いは、身のこなしを比較しても明白だ。車重はどちらも2トンを超えるヘビー級だが、それを乗り手に意識させないように振る舞うのがカイエン。一方、X5Mはガッチリと強化した足回りと高度な制御デバイスによって「それがどうした?」とばかりに重さのハンデをねじ伏せていく。

どちらもコーナーを攻めれば並みのSUVとは次元が違う旋回力を発揮してくれるが、乗り手の感じ方はまるで異なるわけだ。X5Mの場合、それゆえに日常領域では多少スパルタンに過ぎると感じる場面もある。だが、特別なクルマに乗っているという刺激のわかりやすさでは、むしろカイエンを凌ぐ出来映えといえそうだ。

となれば結論は明らか。もはやSUVとしての走りを上限の域まで高めた両者の場合、単純な優劣は付けられない。選択基準は、どちらが好きかということだけだ。

【Specification】PORSCHE CAYENNE TURBO S E-HYBRID
■全長×全幅×全高=4926×1983×1673mm
■ホイールベース=2895mm
■車両重量=2565kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ツインターボ+電気モーター/3996cc
■最高出力=550[136]ps(404[100]kW)/5750-6000rpm
■最大トルク=770[400]Nm(78.5[40.8]kg-m)/2100-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=(前後)マルチリンク
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤサイズ=(前)285/40ZR21、(後)315/35ZR21
■車両本体価格(税込)=24,080,000円
お問い合わせ
ポルシェジャパン 0120-846-911

【Specification】PORSCHE CAYENNE TURBO COUPE
■全長×全幅×全高=4939×1989×1653mm
■ホイールベース=2895mm
■車両重量=2275kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ツインターボ/3996cc
■最高出力=550ps(404kW)/5750-6000rpm
■最大トルク=770Nm(78.5kg-m)/1960-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=(前後)マルチリンク
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤサイズ=(前)285/40ZR21、(後)315/35ZR21
■車両本体価格(税込)=20,630,000円
お問い合わせ
ポルシェジャパン 0120-846-911

【Specification】BMW X5M COMPETITION
■全長×全幅×全高=4955×2015×1770mm
■ホイールベース=2970mm
■車両重量=2400kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V+ターボ/4394cc
■最高出力=625ps(460kW)/6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5 kg-m)/1800-5860rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=(前)Wウイッシュボーン、(後)マルチリンク
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤサイズ=(前)295/35ZR21、(後)315/30ZR22
■車両本体価格(税込)=18,590,000円
お問い合わせ
BMWジャパン 0120-269-437

こんな記事も読まれています

マジ!? マツダが「次期CX-5」開発を明言!決算会見で明らかに!? 売上&営業利益は過去最高
マジ!? マツダが「次期CX-5」開発を明言!決算会見で明らかに!? 売上&営業利益は過去最高
くるまのニュース
【MotoGP】ホンダはライダーの墓場? ジョアン・ミル「来たときより良くなった人がいない」と爆弾発言
【MotoGP】ホンダはライダーの墓場? ジョアン・ミル「来たときより良くなった人がいない」と爆弾発言
motorsport.com 日本版
アルピーヌ、今季初のハイパーポール進出。ミレッシ「散々だった前戦イモラの”癒やし”になったよ」
アルピーヌ、今季初のハイパーポール進出。ミレッシ「散々だった前戦イモラの”癒やし”になったよ」
motorsport.com 日本版
日産「新型エルグランド」登場! ド迫力の「超ワイドグリル顔」に反響あり! 進化する次期型「キング・オブ・ミニバン」のデザインどうなる!
日産「新型エルグランド」登場! ド迫力の「超ワイドグリル顔」に反響あり! 進化する次期型「キング・オブ・ミニバン」のデザインどうなる!
くるまのニュース
マツダCX-5級だから「日本にジャストサイズ」 BMWの新型「X2」は“クーペSUVらしく”カッコいい! ゆとりの室内&力強い走りも魅力的
マツダCX-5級だから「日本にジャストサイズ」 BMWの新型「X2」は“クーペSUVらしく”カッコいい! ゆとりの室内&力強い走りも魅力的
VAGUE
ご飯がススム「かつ鍋」に大満足!! 夜の首都高「大黒PA」
ご飯がススム「かつ鍋」に大満足!! 夜の首都高「大黒PA」
バイクのニュース
「アバルト595」の柔と剛を使い分け!? トライアルのストリート仕様とサーキット仕様を乗り比べました【デモカー試乗】
「アバルト595」の柔と剛を使い分け!? トライアルのストリート仕様とサーキット仕様を乗り比べました【デモカー試乗】
Auto Messe Web
トラック好きじゃなくても圧倒される展示内容! ジャパントラックショー2024は激熱車両だらけだった
トラック好きじゃなくても圧倒される展示内容! ジャパントラックショー2024は激熱車両だらけだった
WEB CARTOP
至極のラグジュアリースポーツ「グラントゥーリズモ」にオープンスーパースポーツの「MC20」も! マセラティ出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
至極のラグジュアリースポーツ「グラントゥーリズモ」にオープンスーパースポーツの「MC20」も! マセラティ出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
LE VOLANT CARSMEET WEB
【映画】F1界の帝王を描く「フェラーリ」の場面写真などが解禁に。公開は2024年7月5日!
【映画】F1界の帝王を描く「フェラーリ」の場面写真などが解禁に。公開は2024年7月5日!
Webモーターマガジン
新コースレコード樹立のマルティンPP獲得。マルケス、Q1敗退の13番手|MotoGPフランスGP予選
新コースレコード樹立のマルティンPP獲得。マルケス、Q1敗退の13番手|MotoGPフランスGP予選
motorsport.com 日本版
マツダ『CX-5』次期型に、マツダ製ハイブリッド搭載へ
マツダ『CX-5』次期型に、マツダ製ハイブリッド搭載へ
レスポンス
マツダ、好調な業績を発表:2024年3月期決算
マツダ、好調な業績を発表:2024年3月期決算
レスポンス
ホンダ「過去最高」の営業利益1.4兆円! 2020年後半に向けて電動化追及へ
ホンダ「過去最高」の営業利益1.4兆円! 2020年後半に向けて電動化追及へ
くるまのニュース
煙幕にドアハンドルの電気ショックの007パッケージってナニ!? コルベットを1000馬力に仕上げた「ビースト」がもはやSFアニメのクルマだった
煙幕にドアハンドルの電気ショックの007パッケージってナニ!? コルベットを1000馬力に仕上げた「ビースト」がもはやSFアニメのクルマだった
WEB CARTOP
ステランティス ジープラングラーの24年モデルを発表し国内販売を促進
ステランティス ジープラングラーの24年モデルを発表し国内販売を促進
Auto Prove
フォーミュラE、バッテリーに懸念? ベルリン連戦でアタックモード使用時間を短縮
フォーミュラE、バッテリーに懸念? ベルリン連戦でアタックモード使用時間を短縮
motorsport.com 日本版
初日3番手の勝田貴元「今回は最初から最後までとにかく攻め続ける」/WRCポルトガル デイ1後コメント
初日3番手の勝田貴元「今回は最初から最後までとにかく攻め続ける」/WRCポルトガル デイ1後コメント
AUTOSPORT web

みんなのコメント

19件
  • カイエンターボ ほんとにいい車だよ
    実は乗り心地もやたら良いです
  • 走りは知らんが、組み付け精度が違いすぎる。
    BMWはこの価格帯の、たとえMであっても組み付け精度が緩く剛性感に欠ける。
    また、ドアの隙間の幅も場所によって微妙に違い、かなり興醒め。
    その点だけでも、充分カイエン(クーペ)を選択する理由になる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1198.01561.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.82750.0万円

中古車を検索
カイエンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1198.01561.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.82750.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村