1月の東京オートサロン2020で1.6L+4WDのRZ系ファーストエディションが発表され、その先行予約が2020年6月30日(火)までとなっているGRヤリスにおいて、9月頃の発売が予定されるカタログモデルのラインナップが発表された。
同時にファーストエディションに関し、若干ながら明らかになったところもあり、この2つをRZハイパフォーマンスのファーストエディションを発表当日に予約した筆者が解説していく。
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文:永田恵一/写真:TOYOTA
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2020年9月からカタログモデルの販売を開始
GRヤリスはWRCの次期マシンのベースとして専用開発されたラリーコンペティションで、日欧で高い人気を誇っている
まず、GRヤリスってどんなクルマ? という人のために、GRヤリスについて簡単に説明しておく。
GRヤリスは、トヨタが次期WRCマシンのベースとして選んだクルマで、ヤリスをベースに専用開発されたクルマで、GRという名前のとおり、Gazoo Racingが手掛けていて、GRファクトリーで生産される。
全長3995×全幅1805×全高1460mmというショート&ワイドのボディで、前後のグラマラスなフェンダーが特徴的。
このコンパクトなボディに、272ps/37.7kgmの1.6L、直3DOHCターボを搭載。駆動方式はWRC技術がフィードバックされた4WDとなっている。
このGRヤリスの発表を記念したファーストエディションが2020年6月30日までの受け付けで、その後9月頃からカタログモデルの販売を開始することが発表された。
そのラインナップは、1.6Lターボ+4WD、競技ベースグレード、1.5L、NA+CVTのRSという3種類となる。それでは具体的にそれぞれについて見ていこう。
カタログモデルの価格は未発表
1.6Lターボ+4WD系
ファーストエディション同様に1.6Lの4WDターボ系は、RZとRZハイパフォーマンスというグレードが設定される(価格は未発表)
まず1.6Lターボ+4WDのRZ系が標準と、鍛造BBS社製ホイール+18インチミシュランのパイロットスポーツ4S、前後トルセンLSD、インタークーラーウォータースプレー、プレミアムスポーツシートなど加わるハイパフォーマンスとなる点はカタログモデルも変わらない。
1.6Lターボ+4WDのパワートレーンを持つGRヤリスで今回明らかになったのは、その存在が公然の秘密となっていた競技ベースグレードである。
現行86の初期モデルに設定されていたベースグレードと同じRCと命名された競技ベースグレードは、標準のRZから走りに必要なもの以外を極力排除し、軽量化とカスタマイズのしやすさを持つグレードと考えて間違いないだろう。
東京オートサロン2020には競技ベースグレードも展示されていた。装備が簡素化され、ノーマルより30kgの軽量化されて1250kg
具体的にはディスプレイオーディオ(モニター)レスとなる点、タイヤサイズがRZ系の225/40R18に対し205/45R17となること(17インチとなると86RCのようにスチールホイールなのかというのも、妙な意味で興味深い)が公表されており、車重はRZ系の1280kgに対し30kg軽い1250kgと発表された。
このほか軽量化のため省かれる装備としてはエアコン(OP設定で用意される可能性もある)、スピーカー、86RCと同様の遮音のためにフロアカーペット下に敷き詰められるアスファルトシート、エンジンカバー、改造を前提としたシートの簡易化、ブレーキの変更、LEDヘッドライトからハロゲンヘッドライトへの変更などが予想される。
競技参戦や大幅なカスタマイズのベースとしてGRヤリスを買うならRCで決まりなのは当然で、86RCのように前後パンパーが塗装されない素地の黒いものになるのかも興味を覚える。
なおRCの価格は330万円から350万円といったところだろうか。
1.5L、NA+CVTのRS
1.5L、NA+CVTのRSが新たに公開された。駆動方式はFFとなる。見た目は4WDターボとの違いは少ない
東京オートサロン2020でステージに置かれたRZハイパフォーマンスファーストエディションに対し、1.5L、NAエンジンを搭載しヒッソリと展示され、当サイトで、「WRC参戦のホモロゲーション取得のため連続する12カ月に2万5000台の生産が必要なGRヤリス拡販のための大きな後押し」と書いたCVTコンセプトもカタログモデルとしてRSのグレード名でラインナップされる。
RSはCVTコンセプトがほぼそのままの形で市販化される形で、見た目は対向キャリパーのRZに対し普通のものになると思われ、ブレーキとリアの駆動系以外ほとんど変わらない。
クルマ自体もCVTコンセプトからの変更はないようで、エンジンはヤリスと同じ1.5L、NA(120ps&14.8kgm)。
トランスミッションは残念ながら現時点ではMTは設定されず、10速マニュアルモードとパドルシフト付のCVT(ドライブモードでスポーツを選択すればヴィッツGRにように常にレッドゾーン付近をキープし、MTより速いという可能性は十分ある)となる。
クルマ自体ではRZと同じボディとサスペンションでタイヤサイズも同じ18インチということもあるのか、車重は(そもそも別のクルマと考えるべきなのだが)5ドアのヤリスの1.5L、NA+CVTに対し約100kg重い1130kgと、ちょっと重い。
RZ、RZハイパフォーマンスとも違うRS用のファブリックシートとなる。トランスミッションがCVTになっているほかはあまり差はない
RZハイパフォーマンスのインテリア。シート素材にこだわっているため、RSよりもスパルタンな印象を受ける。デザインはほぼ同じ
そのため速さはあまり期待できないかもしれないが、車体が1.5L、NAにはかなり余裕があると思われるので、ボディ剛性に代表される運転して感じる質感は非常に高そうだ。
インテリアもCVTコンセプトとほぼ同じで、この点には賛否がわかれそうだがパーキングブレーキは電動、その代わり先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールは停止まで対応すると思われ、アイドリングストップはなしとなるようだ。
価格はGRヤリスファミリーという特別なクルマという要素と、GRヤリス拡販を総合してフル装備で250万円程度を期待したい。
RZ、RZハイパフォーマンスに比べると少々安っぽくは見えるが、スポーツドライビングを楽しむのにはこれで十分すぎるくらい
RZ、RZハイパフォーマンスのシートはサイドサポート性により優れている。RZハイパフォーマンスはシートを2種類から選べる
ファーストエディションについての新情報
2020年6月30日(火)まで先行予約がネット上から受け付けられるファーストエディション(申込金10万円が必要)については、新たにフロントガラスの助手席側下に豊田章男社長のモリゾウサインがプリントされることになった(レスもあり)。
新たに判明したファーストエディションの特典が、助手席側のフロントウィンドウ下側にモリゾウサインがプリントされている(レスもあり)
同時にRZハイパフォーマンスのファーストエディションで選べる、シートのステッチがシルバーからレッドになるエモーショナルカラーと、RZ、RZハイパフォーマンスとも設定されるカーボンルーフのマーブル柄はファーストエディション限定となることが明らかになった。
マーブル柄のカーボンルーフはファーストエディション専用となる。カタログモデルではシートタイプのカーボンルーフが用意される
また装備面では先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールやトヨタ最高水準の自動ブレーキなどから構成されるオプションの予防安全パッケージには、ヘッドアップディスプレイも含まれることになった。
RZハイパフォーマンスはエモーショナルカラーを選択すれば、シートステッチがレッドになるが、これもファーストエディション専用だ
ただ室内の間接照明となるイルミネーテッドエントリーシステムとクリーンエアフィルターが、いまだRZのみにメーカーオプションという理解しにくいところもあるのも事実だ。
まとめ
現在GRヤリスの先行予約台数は日本と欧州を合せて約6000台だという。早期のホモロゲーション取得を考えると、約5カ月でこの台数は先行予約した1人としてちょっと不安も感じる。
それだけにRZ系のGRヤリスに興味がある人にはカタログモデルとの同価格での各種特典も加味し、ファーストエディションの先行予約を今一度勧めると同時に、RSも使い方が合致する人やトヨタのWRC参戦を応援する人には存在を常に頭に置いてほしい。
GRヤリスが販売台数を伸ばすためには、イージードライブができるRSの存在は必要不可欠。このド迫力ボディだけでも手に入れる価値あり
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みんなのコメント
RSも面白い選択だと思う