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【モダンに再定義】マイナーチェンジ遂げたミニの「デザイン」 デザイン部門責任者に聞く

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【モダンに再定義】マイナーチェンジ遂げたミニの「デザイン」 デザイン部門責任者に聞く

スマホ世代にうれしいマイチェン

text:Tatsuya Otani(大谷達也)

【画像】デザイン新たに【マイナーチェンジしたミニを詳しく見る】 全178枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

ミニがマイナーチェンジを受けた。

今回対象となるのは3ドア、5ドア、コンバーチブルの3タイプで、ストップ&ゴー機能を盛り込んだアダプティブ・クルーズ・コントロールやレーン・デパーチャー・ウォーニングなどの安全装備が強化されたほか、新しいスマートフォン・アプリ「MINI App」が使用可能なMINIコネクテッドが全車に標準装備されることになった。

このうち「MINI App」は、従来のアプリをリニューアルする形で誕生したもので、たとえばスマートフォン上のグーグル・マップやアップル・マップで検索した目的地情報を車両に転送することで、車載のナビゲーションシステムへの目的地登録を簡単におこなえるようにしたのが大きな特徴。

現時点では、目的地情報はメッセージの形で車両に転送されるため、ドライバーはメッセージを開いたうえでナビゲーションに登録するという2ステップを踏むことになるが、これはそう遠くない時期に直接ナビゲーションに登録できるようになるという。

そのほかにも「MINI App」にはサービス入庫の予約をリクエストする機能や、車両の位置や状況を確認したり、車両のロック/ロック解除、換気操作などをリモートでおこなう機能を有している。

スマホ世代には嬉しいアプリといえるだろう。

フェイスリフト 際立つ存在感

もっとも、今回のマイナーチェンジで多くのミニ・ファンが注目しているのはフェイスリフト、つまりデザインの大幅な見直しだろう。

ひと目でわかる違いは、フロントグリルが大型化された一方で、デザインの全体的な印象がよりシンプルになったことにある。

これはフロントグリル全体を太い枠で囲むと同時に、その下端をチンスポイラー部分にまで拡大。

新たにグリル内部を貫通することになったバンパー部分を、従来のブラックではなくボディ同色としたことも、新しいデザインを強く印象づけるのに役立っている。

さらに、これまでは独立していたフォグライトを廃し、そこに空力デバイスの1種であるエアカーテンを追加したことも新型の特徴の1つだ。

結果として新型ミニは、ひと目でミニとわかるスタイリングを維持しながらも、より現代的で際立った存在感を示すようになった。

こうしたデザイン上の変化は、どのような背景から生まれたものなのか?

ミニ・デザイン部門責任者のオリヴァー・ハイルマー氏にリモートインタビューするミニ・デザイン・ワークショップが先ごろ開催されたので、その模様をここで紹介しよう。

「デザインをよりピュアなものに」

「今回のマイナーチェンジで、わたしはミニのデザインをよりピュアなものにしたいと考えました」

ハイルマー氏はそう語り始めた。

「ここでいうピュアにするというのは、必要に応じてコンポーネントの数を減らすことを意味しています。たとえば新型では新しい高機能なヘッドライトを採用することで、これまで独立していたポジショニングライトやフォグライトを省略することができました」

「その代わりに新型ではエアカーテンを設け、空力性能を大幅に向上させています」

グリル内のバンパー部分をボディ同色にした理由をハイルマーは「よりクリーンなデザインにするため」と説明し、結果として「フロント全体のデザインが一体感を強めたものになったと自負しています」と語った。

もう1つ特徴的なのは、クーパーSではフロントグリルの低い部分に2つのエアインテークが追加されている点にある。これについてハイルマーは次のように語った。

「新しいミニを見たとき、どんなエンジンが積まれているかをひと目でわかるようにしたいと考えました。そこで、高性能なエンジンを積んでいて冷却能力を強化する必要があったクーパーSについては、このようなエアインテークを追加しました」

「結果としてクーパーSはよりスポーティに、そしてスタンダードなクーパーはよりエレガントなデザインになったと考えています」

美しく面白い「マルチ・トーン・ルーフ」

新型ミニのデザインを語るうえで忘れることができないのが、マルチ・トーン・ルーフと呼ばれるルーフ部分の新しい塗装方法だろう。

会場に展示されていた車両でいえば、ルーフの前端部分は濃いブルー、そこから明るいブルーに転じたうえで、後端はブラックでペイントされている。しかも、この3色がグラディエーションで連続的に変化していることが、マルチ・トーン・ルーフの大きな特徴である。

このユニークな塗装方法が生まれた背景について、ハイルマー氏はこう説明した。

「ミニのルーフはいつでも特別なものでなければいけません。あるとき、デザイン・チームの1人が『もしも前のクルマを塗装するペイントが残っている状態で次のクルマを塗装したら、どうなるだろうか?』と思いついたことが、マルチ・トーン・ルーフが生まれるきっかけとなりました」

「このメンバーがすぐにイギリスのオックスフォード工場に飛んで試したところ、想像以上に面白い効果の塗装ができあがりました。そこで、すぐにこれを採用することが決まりました」

ただし、安定したグラディエーションを再現し、万一の修理のことまで考慮して完成させるまでのプロセスは容易なものではなかったとハイルマー氏は振り返った。

「塗装は完全に自動化されていますが、それでもちょっとした温度や湿度、塗料を送るパイプ内の流速などによって仕上がりが微妙に異なります。この『コントロールされた不完全さ』を備えている点に、わたしはマルチ・トーン・ルーフの大きな魅力を感じています。

オリジナル・ミニのデザイン 現代流に再定義

筆者は新しいミニを目の当たりにして、「2001年に誕生したモダン・ミニのなかで、デザイン上の進化としては今回がいちばん大きなステップになった」と感じている。

その理由は、安易にオリジナル・ミニに似せることなく、オリジナル・ミニのデザインを現代流に再定義、再解釈したことにあったと推測しているのだが、この考えをハイルマー氏にぶつけたところ、彼からはこんな答えが返ってきた。

「その言葉を聞いて、とても嬉しく思います。わたしが1日として欠かさずに考えていることは、レトロに陥ることなく、モダンに再解釈した素晴らしいラインを見つけ出すことです」

「また、デザイン・チームとしては、常に原点に立ち戻ることを意識しています。そのために重要なのが『ミニの父であるアレックス・イシゴニスだったら、どうしただろうか?』という視点です。イシゴニスであれば、極めて現実的で、なにひとつ無駄のないデザインにしたのは間違いありません」

クラシック・ミニをデザイン的に再生産するだけであれば、いつか限界がやってくる。

しかし、ハイルマー氏の考え方であれば、テクノロジーの進化や時代背景の変化にあわせて、ミニのデザインをいかようにも発展させていくことができる。その意味で、新型のデザインは今後のミニに期待を抱かせるものといえるだろう。

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