トヨタ「センチュリー」に、これまでなかったSUVがくわわった。はたして新しいモデルの存在意義とは? 実車を見た今尾直樹がレポートする。
初代センチュリー誕生の背景
日本を考えたクロスオーバー、完成度高し!──新型スバル・レヴォーグ・レイバック試乗記
新しいセンチュリーは、トヨタにとって新しいチャレンジに満ちていて、非常に興味深かった。なにより説得力があった。発表会の構成もとてもよかった。
「おなじではダメだ、どんなクルマとも違う、日本の高級車をつくろう」
そんな想いで、日本の持てる技術のすべてを注ぎ込み、ゼロから開発したのが初代センチュリー──というセンチュリーの歴史を紹介する冒頭のビデオがNHKの往年の人気番組『プロジェクトX』風で、じ~んとした。
初代センチュリーの開発が始まった1963年当時、高級車外国車ばかりで、世界に認められる国産高級車は存在していなかった。
「伝統も名声もないトヨタが、本当に高級車をつくることができるのか」。そう危惧する声もあったが、主査の中村健也はこう話した。
「伝統は後から自然にできるものだ。無いのにあるように見せるのは偽物だ。今までにない新しい高級車をつくろう。今の高級車のアキレス腱は新しいことがやれないことだ」
初代クラウンの主査でもある中村健也が担当した初代センチュリーは、果たして3.0リッターV8エンジンにトヨグライドと称した3ATを組み合わせ、パワー・ステアリングにパワー・ブレーキ、ドア・ロック、シート、ウインドウなどの操作がすべてパワー化され、強力なエアコンも備えていた画期的な超高級車として華々しくデビューした。
顧客の注文をなんでも聞く時代は巡って、新しいセンチュリーはなんのために生まれたのか? それが筆者の個人的な関心事だった。だって車両価格2500万円で買えないですからね。そこで新しいセンチュリーのそばにいらっしゃった「製品企画」と書かれた名札をつけた方にあれこれ質問した。
これはつまり、現在のセンチュリー(セダン)があまり売れてなくて、製造ラインがヒマだから、そのラインに仕事をつくるためのものですか? 答は“否”。
現在のセンチュリーは愛知県・豊田市の元町工場でつくっていて、それなりに粛々と生産している。ここの生産量を増やすわけにはいかない。塗装に8時間もかかることもある。新しいセンチュリーは愛知県田原市にある田原工場でつくる、ということであった。
月販目標はわずか30台。車両価格2500万円で儲かるのでしょうか? 答は、“正直ギリギリ”。損はしないけれど、利益は薄いという。
では、いったいなんのためなのか? この方の答はこうだった。
「ロールス・ロイス『カリナン』やベントレー『ベンテイガ』、あるいはメルセデス・マイバッハ『GLS』ばかりがわがもの顔で走っている。対抗するニッポンの高級SUVが欲しいではないですか」
新しいセンチュリーは、初代センチュリーがそうであったように、ニッポンのプライド、威信をかけた、新しいニッポンの成功者たちのための、新しいかたちのショーファードリブンとして生まれたのだ。ま、それにしてはCピラー周辺がカリナンそっくりなところが気になるところですけれど、これもロールス・ロイスへのリスペクトのあらわれだと思うことにして、世界の超高級SUV市場へニッポンのトヨタが挑むのである。それはもう、スポーツの世界でのチャレンジ同様、私たちニッポン人を大いに元気づけることになる。がんばれ、ニッポン!
聞くところによると、新しいセンチュリーでは顧客の注文をなんでも聞いてくれるビスポークのシステムを用意しているという。それでは、もしも、仮の話ですけれど、私が買うときにはひとつお願いをしたい。
それはロールス・ロイスのスピリット・オブ・エクスタシーみたいに、フロント・グリルのてっぺんにセンチュリーの象徴である鳳凰の、格納式の3次元像をつけることです。カッコいいと思うなぁ。
どなたか注文してください。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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NSXやセルシオの時のように、世界を驚かせる頂点に君臨する自動車に成長させてほしい。
どうぞご勝手に