■かつては憧れた「エアコン・パワステ・パワーウインドウ」
日々進化していくクルマ。パワートレインや運転支援システムはもちろんですが、快適装備の面も昔と比べて大きく進化しています。
今や当たり前となっているエアコン・パワステ・パワーウインドウですが、贅沢装備とされていた時代もあり、少し前まで中古車販売では、この3つの装備が付いていると「フル装備」と記載されることもありました。
では、これらの装備はいつ頃登場したのでしょうか。
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現代の夏の日本をクルマで移動するには、必須の装備ともいえるエアコン。エアコンはエア・コンディショナーの略称で、室内の温度や湿度を調整する装備のことを指します。
そのため、クルマに装備されているエアコンも当然、冷やすこともできれば暖めることもできます。
しかし、昔は冷やすことに特化したクーラーと、暖めることに特化したヒーターは別々でした。
クルマ用のヒーターが登場したのは戦前のアメリカといわれていますが、国産車で採用されてきたのは戦後となる1950年代中頃以降です。
国産車にクーラーが登場したのは1957年のこと、初代「トヨペット・クラウン」に装備されたのが初めてでした。
ちなみに、エアコンを搭載したのもトヨペット・クラウンが初、1965年に2代目モデルで装備されました。
設定温度に合わせて自動でエアコンを調節してくれるオートエアコンが国産車に登場したのは1971年のことで、これはトヨタ「センチュリー」が初採用しました。こうしてみるとトヨタは車内空調のパイオニアであることが分かります。
なお、カークーラーやカーエアコンが出始めだったころは、当然贅沢な装備であったので憧れの装備ともいえる存在でした。そのためアフターパーツで後付けのクーラーなども販売されていました。
パワステことパワーステアリングが普及したのは1950年代のアメリカだといわれています。
日本車記録が残っているのは、1965年の日産「プレジデント」での採用となり、日産はこれが国産乗用車初のパワーステアリングと説明しています。
その後、高級車を中心にパワーステアリングの装備が広がっていきますが、1988年に革新的なパワステが登場します。
それはスズキ「セルボ」に世界初搭載された電動パワステです。それまでのパワステは油圧方式を採用しており、エンジンのエネルギーを利用しているため、エンジンパワーのロスなどが発生していました。
しかし、電動パワステならばエンジンのエネルギーを利用することがなく、パワステによるパワーロスが無くて済みます。
現在では広く普及している電動パワステですが、その第一歩は日本の軽自動車から始まったのです。
■いまでは当たり前の「パワーウインドウ」はいつから?
クルマの窓を自動で開け閉めするパワーウィンドウも発祥は戦前のアメリカといわれています。
国産車で初めて採用されたのは1964年のことで、プリンス「グロリア」の上位モデルとなるグランドグロリアが初です(プリンスは後に日産自動車に合併)。
国産車でパワーウィンドウの採用が広まったのは1980年代のことですが、それまではドアの内装に取り付けられたハンドルをクルクル回すことで、窓を開け閉めしていました。
パワーウィンドウもほかの快適装備同様に贅沢装備であり、憧れの対象ともいえる存在でした。
そのため、後付けのパワーウィンドウキットが販売されていたのはもちろんですが、「パワーウィンドウ風」に定速で窓を開け閉めするテクニックが流行っていたという声もあります。
なお、当初のパワーウィンドウスイッチは現在のように、「押して開ける、引いて閉める」というタイプではなく、「スイッチの後側を押して開ける、前側を押して占める」というタイプでした。現在のようなタイプのスイッチは1985年に登場したマツダの6代目「ファミリア」で初採用されました。
今や当たり前となっている快適装備たちを振り返ってみると、その起源がアメリカにあることが分かります。
それだけアメリカ車は、快適性を優先する文化であることが表れているともいえるでしょう。
しかしながら、アメリカ発祥の快適装備を進化させ、世界のスタンダードにする日本の自動車メーカーも、素晴らしいアイデア力と技術力を持っているといえます。
今後はどんな快適装備が登場し、どんな形で進化していくのでしょうか。クルマの進化で楽しみな面のひとつとなるでしょう。
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