最近のクルマは進歩が早いこともあり乗っているクルマが古いクルマだったり、購入時に希望のグレードが買えなかった場合、後から「○○が欲しい」というケースもよくあるだろう。
エアロパーツのような追加するパーツやサスペンションのような入れ替えるものなら後付けもしやすいが、コンピューターなどが絡むようなパーツだと後付けを諦める人も多いかもしれない。
【安全装備の充実が目覚ましいが……】軽自動車の安全性能は登録車より劣るのか?
しかし後付けできるものというのも意外に多く、当記事では「これもできるの?」と感じる後付けパーツを紹介する。
文:永田恵一/写真:奥隅圭之、平野学、BMW、TOYOTA、ベストカー編集部
後付けサンルーフ
シェードを外せば車内が明るくなる、チルトアップが換気に使える、見た目がカッコいいといったメリットを持つサンルーフは、根強いファンがいる装備である。
サンルーフの装着率は下がってきているが、サンルーフを開けた時の爽快感を一度でも味わうと、サンルーフが欲しくなる。ドライブを快適にしてくれるアイテムだ
しかし中古車などで付いていないクルマを買った場合だけでなく、新車でも設定されていないクルマが多々ある。
「サンルーフが設定されていないから、(新車を買う際でも)そのクルマを諦める」という人もいるかもしれないが、後付けサンルーフというものもあるので諦めることはない。
代表的なのがドイツのベバストのもので、バリエーションは手動式チルトアップ+脱着サンルーフ、電動チルトアップ&アウタースライドがあり、価格は後者で10万6920円。
取り付けはルーフのカットを要するにもありプロに任せることが多いと思うが、パーツ代と工賃の総額は15万円から20万円といったところ。
サンルーフは新車のメーカーオプションでも10万円はするのを考えれば、納得できる価格だろう。
なお後付けサンルーフは車検も問題なく、ベバストでは後付けキャンバストップもラインナップしている。
規制緩和によりサンルーフの後付けは取り付け方に問題がなければそのまま車検に通るので安心。逆に言えば安心できるメーカー、業者選びが重要になる
後付けヘッドアップディスプレイ
スピードなどの各種情報がドライバー前方のガラスに映るヘッドアップディスプレイは視線の移動が減ることで安全性が向上するなどのメリットがあり、現行車では珍しくない装備だ。
ヘッドアップディスプレイにも後付けできるものもあり、代表的なものとしては以下のようなものがある。
■A8 ヘッドアップディスプレイ スピードメーター:アマゾンで4585円
OBDII(共通規格の自己診断装置)との簡単接続で、スピード、エンジン回転、水温、各種コーションなどが表示される。
■HUDWAY CAST ヘッドアップ ディスプレイ:アマゾンで3万6900円
こちらは12V電源に接続しスマホと接続すると、ナビ機能などがヘッドアップディスプレイに表示されるというモニターのような商品。
両者とも価格や機能を考えれば、買ってみてもいい商品ではないだろうか。
ヘッドアップディスプレイは古くから搭載されているがここ数年で大きく進化。視界確保など安全性にも関与するパーツなので慎重に選びたい
後付け追加メーター
最新のスポーツモデルについている水温や油温、過給機のブーストを表示する機能はカッコいいし、クルマの状態を把握するためにも役立つ。以前追加メーターは各種センサーも必要で、後付けするには費用も手間もかなり掛かるものだった。
しかし現在はヘッドアップディスプレイのところで書いたOBDIIの登場のおかげで、手間なく各種情報が得られる追加メーターが買えるようになっている。
例えばHKSのOB LINK(定価はクルマによって異なり2万円台前半)をOBDIIに接続し、専用アプリとインストールしたスマホやタブレットに接続するとクルマによる違いもあるが、水温、油温をはじめ、吸入空気温度やアクセル開度、ステアリング角度といったマニアックな情報まで表示され、楽しみながら情報を得られる。
HKSの OB LINK は後付けメーターの人気アイテム。その理由は使い勝手に優れ、いろいろ活用できる点にある。機能を考えると価格も割安感が出てくる
後付けパドルシフト
AT車のMTモードが普及しても、ハンドルから手を離さずシフトできるパドルシフトはできれば欲しいパーツだ。
マツダ車では非装着車でもディーラーオプションでデミオ(取り付け工賃込み2万1313円)、CX-3、CX-5、CX-8に後付けでき、ディーラーオプションなので購入時に付ければ割引の対象になることもある。
またクルマによっては上級グレードのものが流用できることもあるので、ネットで情報収集するなどで、自己責任でチャレンジするという手もある。
パドルシフトは基本的にメーカーの工場出荷時でないと装着できなかったが、マツダでは車種限定ながら購入後も装着できる。写真はCX-3
後付けクルーズコントロール
今や当たり前の先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールは後付けできないが、深夜などの空いている高速道路などでは一定速で走り続ける通常のクルーズコントロールもあると非常に有難い装備だ。
現代のクルマはアクセルペダルとエンジンの出力調整を行うスロットルバルブが機械的にではなく電気的につながっている電子制御スロットルなので、クルーズコントロールの後付けも可能になっている。方法としては大きく2つに分けられる。
クルーズコントロールは高速道路を走行する時に便利だし快適。しかも一定速度を保つことができるので燃費もよくなっていいことずくめ。それを後付けできるのはうれしい
■社外品を使うケース
電子制御スロットルのレスポンスを調整するスロットルコントローラーなどと呼ばれる商品の機能のひとつとして、クルーズコントロールも含まれるものもある。
例えばPIVOTの3-drive · ACという商品は、車種専用ハーネスは別売りで定価2万953円(税別)だ。
■純正品の流用
上級グレードに付くクルーズコントロールのスイッチやハンドルを流用することで、クルーズコントロールが後付けできることもある。これはパドルシフトの流用と同様に自己責任かつ情報収集も必要となる。
また86&BRZには、赤池カーコミュニケーツシステムズというところが純正パーツを使ったクルーズコントロールのキット(前期用で税別3万5000円)を販売しており、こういうものがあると最も確実だ。
後付けペダル踏み間違い加速抑制システム
高齢者による大きな事故を毎日のようにニュースで耳にするが、その中にもペダルの踏み間違えが原因となっている事故も多い。
自動ブレーキは後付けできないが、ペダルの踏み間違いによる暴走を抑制するデバイスには後付けができるものがある。
ペダル踏み間違い加速抑制システムは新しいクルマには標準装備されていることが多くなってきたが、高齢者が乗るちょっと前のクルマには後付けで対処したい
■トヨタ「ペダル踏み間違い加速抑制システム」(部品代5万5080円)
■ダイハツ「つくつく防止」(部品代3万4560円)
この2つは前後4か所のソナーで約3m以内にある壁などを検知し、アクセルが深く踏まれた際に前述の電子制御スロットルと連携してアクセルが大きく開くのを抑制し、暴走を防ぐというもの。
トヨタ車用はバックの際に5km/h以上スピードが出ないという機能も付く。
対象車はトヨタが先代プリウス、プリウスα、アクア、現行プレミオ&アリオン、現行ポルテ&スペイド、ウィッシュ、ダイハツが先代タント、ミラココア、ムーヴコンテ、タントエグゼなどとなっている。
■ペダルの見張り番(部品代3万2399円)
オートバックスで販売されるこの商品は、約10km/h以下の低速走行時にアクセルを深く踏まれた際にアクセルの踏込量を抑制し、暴走を防ぐというもの(三段階に調整可能)。
なお東京都では高齢者が乗るクルマへのこの種のデバイスの装着にかかる費用について、高齢者の負担が1割程度になるような補助する方針を明らかにしているので(制度開始から1年間)、特に高齢者の運転するクルマにはぜひ装着したいところだ。
東京都庁によれば、補助の開始時期、対象となる高齢者の年齢、申請方法など細かな点については現在調整中ということだが、それほど時間はかからないと思われる。
★ ★ ★
後付けとは若干意味が違うが、ボルボのように安全装備のアップグレードが安価にできると本当に重宝する。これなら長く乗っても安心できる
後付けとは違うが、ボルボのそれぞれハードウェアはそのままでソウトウェアの更新で行う安全装備のアップデート(導入初期のXC90、S90、V90、V90クロスカントリーが対象で9288円)や、ポールスターパフォーマンスソフトウェアと呼ばれるパワーアップ(工賃込み18万8000円、保証も継続される)などもあり、購入後のグレードアップは意外に多い。
それだけにクルマを買い換えずに、今のクルマを楽しみながら性能アップさせるというのも一考するべきクルマの乗り方といえるのではないだろうか。
昔は安全装備などを装着できるのはメーカーの出荷時だけで後付けすることは不可能だったが、1台のクルマに長く乗るようになった日本では、後付けできるパーツが充実するのは大歓迎だ。
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